貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

文字の大きさ
108 / 370

お転婆姫✕お転婆姫

しおりを挟む
「そうじゃカレン、わらわのことはクジャと呼んで構わぬぞ」

 アンソニーさんに注文を終えたクジャクさんはこちらを向きそう話す。

「いいの?多分……私のほうが歳下だと思うけれど……」

 おずおずとそう言えばクジャクさんは口を開く。

「わらわは十六歳だが、友人に歳の差など関係なかろう。構わぬ。わらわの家の者しか呼ばぬクジャという愛称で呼んでくれぬか?」

「分かったわ、クジャ。ねぇ聞いても良い?さっき自分のことを『あちき』って言ってたわよね?」

 ただ単に疑問に思ったことを口にすれば、真っ赤になって年相応にうろたえている。

「あ、あれはな……我が国では女は自分のことを『あちき』と言うのじゃ。……平民に限られるがの。あち……わらわはその響きが好きで真似ておるのじゃ」

「じゃあ私の前では『あちき』で良いんじゃないかしら?公式の場でもないし友人なんだから」

 そう笑って言えば、他に誰もいなければなとクジャも笑う。じいやとモズさんも意気投合したようで会話が盛り上がっており、時折イチビたちも会話に混ざっていた。そうしてしばし談笑をしているとアンソニーさんが緊張の面持ちで料理を運んできた。

「お……お待たせいたしました。こちらスネックの揚げ焼きと蒸し焼きになります。……カレンちゃんが開発した料理ですが」

 その最後の言葉にじいやが反応している。いや、もしかしたらスネックという言葉にかもしれない。ふと同じ席に座っている人たちの顔を見れば、イチビたち四人以外は真顔になっている。

「……スネックとは、あのスネックか?」

 真顔で料理を見つめるクジャはそう呟く。どうやらスネックは誰もが食べるものではないようだ。

「まさかカレンが捕まえたのか?わらわも狩りはするが、さすがにスネックは……」

「え!?クジャは狩りをするの!?私は狩りをしたことがないのよ」

 驚いてそう言うと今度はクジャが驚く。

「森の民なのに狩りをせんのか?」

「狩る動物もいないのよ。このスネックはペーターさんや、このイチビたちが捕まえたのよ」

 そう言うとクジャは悲しそうな顔をする。動物がいない土地というのを悲しんでくれているようだった。

「……出されたものは食す。食材には感謝をする。我が国ではそれが普通なのだが……スネック食べるのは初めてじゃのう……」

 若干引きつった笑顔で食べようとするが、クジャの手は震えている。まぁ当然よね……。どこの姫だってさすがにスネックは食べないでしょうし……。それでもクジャは頑張ってスネックの揚げ焼きを口に入れる。引きつりながらもなんとか噛むと、段々と表情が変わっていく。

「んん!?……美味い」

 そう言い次に蒸し焼きを食べると、今度は明らかに笑顔で言った。

「美味いではないか!食わず嫌いは駄目じゃのう」

 そのクジャの言葉にモズさん、ニコライさん、マークさんも恐る恐る口に運ぶ。そして噛むごとに表情は明るいものへと変わっていく。そしてよほど気に入ってくれたのか奪い合いのようになっているが、気付けばじいやまで参戦している。

「じいや!?大丈夫なの!?」

「見た目が駄目なだけですからな!しかも姫様の手料理とあっては食べないわけがありませんな!」

 こんな状態になってしまえばもちろんすぐに皿は空になり、クジャたちは「おかわり!」と叫んでいる。するとアンソニーさんはわざわざこちらへ来て申し訳なさそうに頭を下げる。

「スネックの肉はあるのですが、もう揚げ焼きしか出来ません。蒸し焼きに使う異国の酒がもうないのです」

 それを聞いたニコライさんが口を開いた。

「もしやテックノン王国で作られている『ワイン』という名の酒ですか?その香りが料理からしたのですが」

「ニコライさん、多分それで間違いないわ」

 アンソニーさんに代わり私が答えると、ニコライさんは旅のお供にといくらかお酒を持って移動しているらしく、馬車に積んであるという。マークさんがすぐさま立ち上がり馬車へと走り、戻ってきた時には二つのトランクのようなケースに入れた白ワインを持ってきた。その数合計八本だ。

「この町はあまりお酒を飲まれないと聞いていましたが、全く飲まないわけではないのですね。このように料理に使っていますし。次回来る時にでもたくさん持って参りますよ?それまでこちらをどうぞ」

 ニコライさんがそう言えばアンソニーさんはとても喜んでいる。そして定期的に購入することを決めたようだった。

 そんな明るいムードの中、じいやに小声で話しかけられる。

「姫様……いつの間にスネック料理など……」

「あぁ、うん、手が空いた時にパパっとね」

 苦笑いで答えていると、今度はペーターさんが小声で話しかけてきた。

「いつの間にこの町の名物料理があのスネック料理になったんだ?……まぁ名物らしい名物が無かったからいいんだが。そして美味かったしな」

 と少し困惑気味であった。そして定期的にスネックを獲りに行かなきゃな、という呟きにじいやは震えていたのだった。
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...