貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

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疲労困憊

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 休日から一夜明け、目が覚めると動けない。これは熱が上がったようね……。無理もない。川で泳ぎ、すぐに乾くからと体を暖めることもせずに歩き、昨日も起きた時に本調子ではなかったのだ。予兆はあったのに丸一日走り回って遊び倒したのだから具合が悪くならないほうがおかしい。

「カレン? なんか具合が悪そうだけど……」

 隣でスイレンがおずおずと声をかけてきた。

「……うん……熱が上がったみたい……ちょっと……動けそうにないわ……」

 ハァハァと息も上がりようやく言葉を口にするとスイレンは慌ててお母様を呼びに行った。

「カレン! 大丈夫なの!? ……熱っ!」

 慌てて部屋に入って来たお母様は私のおでこに手を当て驚いている。どうやらかなりの熱のようだ。

「……お母様……私……今日は……無理そう……」

「もちろんよ。カレンは毎日頑張っていたもの。今日は子どもたちは全員お休みね」

 お母様は苦笑いでそう言うのでどういうことかと尋ねると、丸一日走り回った子どもたち全員が疲れが抜けずにいるとのことだった。普通に暮らしていればなんてことはなかっただろうが、何年も食べ物もない暮らしで動けず最近ようやく動き始めたのだ。それを目一杯体力を使わせてしまったことに反省する。

「……みんなに……謝らなきゃ……」

「良いから寝ていなさい。熱を出しているのはカレンだけなのだから」

 そして慌ただしくお父様も部屋に入って来た。

「カレン! 体が熱いぞ!? どうしたら良いのだ!? 水に入れたら良いのか!?」

「……お父様……それは死んでしまうわ……」

 どうやらお父様は一度も熱が上がったことがないらしく、体を冷やせば治ると考えたのか私を連れ出そうとしてお母様に激しく怒られている。リトールの町で聞いたお父様の弱点はお母様だというのは本当らしい。かなりお父様は落ち込んでいるようだ。そんなお父様を苦笑いで見ているうちに眠ってしまったようだ。

 次に目を覚ましたのは自分の咳でだ。どうやらこの世界にも風邪のウイルスがいるようで、ケホケホと咳をしているとお母様が部屋に入って来た。

「まぁカレン、咳も出てきたのね……。まずはこれを飲んで」

 そう言ってお母様は私を起こす。手渡された物はお茶のような液体だが、鼻も詰まり味も分からない。

「お母様……これは?」

 そう聞くと同時に心配そうな顔をしたスイレンが部屋に入って来る。手には木のコップを水差し代わりにした花が活けられている。それを棚の上にそっと置く。

「カレン大丈夫? ハコベさんが薬を作ってくれたの。その花だよ」

「ハコベが戻って来てくれて、そしていろいろな薬を保管していてくれて助かったわ。オッセキソウと言うのよ」

 その花は日本で言うツユクサだった。綺麗な青い花が涼し気で見ていて気持ちが落ち着く。どうやらこのツユクサを乾燥させて煎じると解熱効果があるらしい。森を作り始めた時にシャイアーク国から木や土を持って来たが、その中に種があったのか少量だが生えてきたらしいのだ。それを体の弱いハコベさんはもしもの為にと採取していたようだ。本当に有り難い。

「……ハコベさんに……ありがとうと伝えて……」

 そう言いまた横になる。そうだ、風邪といえばビタミンCが重要だ。

「あの……アポーの実と……オーレンジンが食べたい……」

 ケホケホとしながらそう言うと「分かった!」とスイレンは走って行ってしまった。

「スイレンだって疲れているでしょうに……。食欲はあるのね? 少し待っていて」

 お母様もスイレンの後を追って部屋から出て行く。その後ろ姿を見送りながら考えるのは医療についてだ。この国には医者もいなければ病院もないのだ。ハコベさんが保管している薬草も限りがあるはずだ。これはクジャに頼んでリーンウン国の薬を輸入すべきだろう。自分が病気になってその重要性に気付くなんて遅すぎる。リトールの町で別れた時にクジャもニコライさんも次に来る日を言っていた。やはり行くべきか……と目を瞑り悩んでいるといつの間にかスイレンが部屋に入って来ていたようだ。

「カレン考え事をしてるでしょ? 具合が悪いんだから難しいことは考えたらダメだよ」

 目を開けてスイレンを見ると、手には食べやすく小さく切られたアポーの実とオーレンジンの乗った皿を持っている。

「スイレンには……なんでもお見通しなのね……」

 起き上がりあまり味を感じないがありがたく果実を食べていると、お母様もコップを手にして部屋に来た。

「カレン、食べたらこれを飲んで。咳止めよ」

 またハコベさんに頼んで薬草をいただいたらしい。これも煎じてお茶にしているようだがやはり鼻が利かないせいか味が分からない。

「オバッコという草よ。ほら」

 お母様の手には日本で見慣れすぎているオオバコの葉が握られていた。

「それ……薬になるんだ……」

 野草や山菜は漢方薬の原料になるものがたくさんあるが、あの道端で踏みつけられてもたくましく生きているオオバコも薬になるとは知らなかった。

「さあ、また少し休みなさい」

 お母様は私を寝かしつけてくれる。そして数時間おきにオッセキソウのお茶とオバッコのお茶を飲ませられ、合間合間に滋養強壮に良いとモリノイモを細かく刻んだものを食べさせてもらい、その日一日至れり尽くせりの看病をしてもらった。
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