貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi

文字の大きさ
280 / 370

新たな玩具

しおりを挟む
 王国の民たちが楽しんでいる中、しょんぼりとしているお父様を不憫に思い、何かしようと思いを巡らせる。あれこれ考えているうちに私は閃いた。

「ヒイ……」

 手先の器用なヒイラギを呼ぼうとしたが、奥さんのナズナさんやタデ夫妻、それに私のお母様と共にお父様をいじって楽しそうに笑っている。

 楽しい時間を邪魔をするのも申し訳なくなり、辺りを見回したが、人が多すぎて誰が誰だか分からなくなってしまう。一つ言えるのは、水に入るのに抵抗のある者もこの場を気に入って笑ってくれているのが救いだ。

「どうかされましたか?」

 ふと背後から声をかけられビクリと肩を震わせた。振り向くとそこにはシャガが立っていた。

「シャガ……」

「何か用事ですか?」

 さすが私の行動をよく見ているだけある。すぐに私がそわそわしていることに気付いて来てくれたのだろう。

「えぇ、皆が楽しめるものを作ろうと思って」

 それを聞いたシャガは一度この場を離れ、ハマスゲだけを連れて来た。イチビは老若男女問わず人気者で、水への抵抗を無くそうと無理のない範囲で皆を楽しませようと頑張ってくれている。
 そしてオヒシバは普段は残念な部分が目立つが、意外にも子どもたちに人気なので子どもたちと共に水遊びをしている。

「道具がありませんよね? 一度戻りましょう」

 何も言わずとも、二人はそう言って歩き出した。その二人を追って歩き出すと「待ってー!」と声が聞こえ、一旦足を止めて振り向いた。

「カレンどこに行くの?」

 スイレンは不思議そうな顔で私に問いかけた。走って来た割には息切れをしておらず、スイレンも体力がついたなぁと姉としては嬉しく思う。

「何か楽しいことをしようとしているのかな?」

 そのスイレンの後ろにはワクワク顔のブルーノさんまでいるではないか。

「玩具を作ろうと思って……」

 『玩具』の『が』の辺りから二人の目は輝き始めた。スイレンは私の考えるものを応用すれば、もっと良い何かを思い付けるかもしれないと言い、ブルーノさんは私といると自分の知らないものを知ることが出来ると、二人は純粋な探究心から私についてくると言う。
 シャガもハマスゲもそれを聞き、笑いながら「ではご一緒に」と、また歩き始めた。

────

 水車の脇に置きっぱなしだった道具やタッケを手にすると、皆はまた蛇籠を作ると思ったのかタッケを割ろうとし始めたのでそれを止める。

「あ、違うの。タッケを使うのだけれど、蛇籠ではないのよ」

 そう言いながら程よい太さのタッケと、細いタッケを選んで行く。シャガに他に必要な道具はあるのかを聞かれたので欲しいものを伝えると、わざわざ広場の方へ取りに行ってくれた。

「カレンちゃんは何を作るのかな?」

 スイレンよりも幼い子のように、ブルーノさんはお父様とは違った意味ではしゃいでいる。

「うーん……説明するよりも、完成品を見て楽しんだほうが早いと思うわ」

 それを聞いたスイレンとブルーノさんは顔を見合わせ、楽しそうに笑い合っている。この二人は歳の差を感じさせないほど仲が良く、とてもウマが合うようなのだ。

 シャガが戻る前に作業を進めようと、皆でタッケを切っていく。あの貧弱だったスイレンは、それは見事なノコギリさばきを見せ、立派な男の子になったものだと感心してしまう。これもきっとブルーノさんのおかげなのだろう。

 太いほうのタッケをスイレンとブルーノさんに任せ、節の近くで切ってもらう。私とハマスゲは細いタッケを切っていると、シャガが荷物を持って戻って来た。

 スイレンたちが切ったタッケに穴を開け、私が切ったタッケに布を巻き付け紐で縛る。スイレンたちは興味津々といった様子で見ているので、ちゃんと使えるかの確認をするために水路へと向かう。

「行くわよ! スイレン!」

 そう叫びながらスイレンの顔を目掛けて水をかける。

「ひゃあ!」

 突然水をかけられたスイレンは情けない叫び声を上げながらも、目を輝かせ私の作ったものを見ている。そう、これはタッケの水鉄砲だ。

「何それ! どうなってるの!?」

「詳しく見ても良いかな!?」

 なんてことはない、美樹の近所のおじいちゃまたちが作ってくれた水鉄砲を真似ただけだが、スイレンとブルーノさんの食いつきが半端ない。

 簡単な作りではあるが、仕組みなどを説明すると二人は「はー!」とか「ほー!」とか、思い思いの感嘆の言葉をもらしていた。
 その間にシャガとハマスゲは、私の作っていた姿を真似て水鉄砲を作っていた。

「……布が少なくても駄目なんですね」

 見様見真似で作ったシャガとハマスゲの水鉄砲は、布の巻きが足りないためにあまり水が飛ばない。ならばと二人は布を足し、ちゃんと水が飛ぶ水鉄砲を作り上げた。

「これはみんな喜ぶよ!」

 子どもらしく水鉄砲で遊びながらスイレンはそう言った。普段、現場を任せっきりにし、この歳で監督のようなことをさせてしまっているので、スイレンが純粋に遊んでいる姿がとても嬉しい。

 それから私たちは手分けして、数十個の水鉄砲の製作に励んだ。早く皆の驚いたり喜んだり楽しんだりする姿が見たい。それを想像してニヤニヤが止まらなくなってしまったのだった。
しおりを挟む
感想 72

あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

処理中です...