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序章
1・六花とリッカ
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はじめまして。
私はとある貧乏男爵家の三男六女の兄弟の中で末娘の『リッカ』です。
そんな私の前世の名前は『水無月六花』。
日本の総合商社勤務のOLで、海外まで股にかけてユーザーのニーズにできるだけ応えるため、日々世界中を駆け回っていました。
過酷なノルマや納期を乗り越えて久しぶりにわが家へと帰ったあの日、アラサーからアラフォーになる誕生日の前日に一人寂しく晩酌をしていたと思ったら、いつの間にか死んでしまったようで……アラフォーにならずに済んだのです。
っという冗談はさておき、この貴族社会の存在するファンタジーな世界に転生してしまったようなのです。
私は貧乏男爵家の最後の子供として生を受けたのですが、家から望まれていたのは男の子、結果は残念ながら女の私が生まれてしまい……さらに母は産褥期の具合が悪く儚くなってしまったと聞いています。
そんなこともあり、ある種疫病神のような視線を受けながらも、特に生活に窮することもなくほとんど放任状態で暮らして早3歳、この頃にはほぼ一人で自由にいろいろと――本当にいろいろと活動していました。
前世の知識を持つ私ですが、赤ん坊時代を過ごすにあたり悟りを開いたのか、精神年齢は大きく幼児退行したようで……。
一人で川に行って溺れかけたり(3歳児が)。
一人で森に行ってくまさんに出会ったり(3歳児が)。
一人で町に行ってぼったくりを言い負かしたり(3歳児が)。
一人でスライムに襲われたり(3歳児が)。
森でつい気を抜いた時があってスライムに襲われそうになってしまった……そんなピンチの時!
少し年上の男の子が颯爽と助けてくれて、その瞬間に緊張が解けて気を失ってしまったみたいです。
後で聞いた話では、この時助けてくれた男の子はなんとこのあとからとってもお世話になる侯爵家に向かう予定だったようで……気絶した私を、なんとお姫様抱っこで連れ帰ってくれたらしいのです!
そんなこんなで侯爵家で介抱された私はというと、娘のいない侯爵様の奥様が私をとてもとても……とっても可愛がってくれて、何かをしているとき以外の定位置は、ぬいぐるみのように奥様の膝の上になってしまいました、良くも悪くも背中に感じるクッションがとても柔らいのですぐに寝てしまいますが……。
奥様の強い希望もあり、貧乏男爵の娘としては少々引け目はあるのだけれど、いつのまにかこの侯爵家は私にとって第二の我が家のようになっていたのです。
そんなラッキーな状況の中でも群んを抜いて私が嬉しかったのは本です!
この侯爵家には貧乏な我が家には存在しない図書室があったのです!
前世で世界中を飛び回っていた私が飛行機の中ですることは寝るか読書か、その本のジャンルは問わずで、何時間もあるフライトを何本も飛び回るうち、言語系や風土系、その由来や技術体系や恋愛本などなど、大量に読み漁ってきたので、なにか空いた時間があると何か読書をしたくなってそわそわしていたのでした。
さすが侯爵なだけあって蔵書内容は多岐にわたり、政治や地理、技術書など様々なジャンルの本がありました。
公爵や王都の王立図書館などに比べると本の数は当然少ないらしいのですが、お庭での読書、奥様の膝の上での眠気と抗いながらの読書、さらに何故か娘として来客対応を奥様の膝の上でしながらも本を読み続けて蔵書のほとんどを読みつくそうとしたころ。
4歳になろうとしていました。
私はとある貧乏男爵家の三男六女の兄弟の中で末娘の『リッカ』です。
そんな私の前世の名前は『水無月六花』。
日本の総合商社勤務のOLで、海外まで股にかけてユーザーのニーズにできるだけ応えるため、日々世界中を駆け回っていました。
過酷なノルマや納期を乗り越えて久しぶりにわが家へと帰ったあの日、アラサーからアラフォーになる誕生日の前日に一人寂しく晩酌をしていたと思ったら、いつの間にか死んでしまったようで……アラフォーにならずに済んだのです。
っという冗談はさておき、この貴族社会の存在するファンタジーな世界に転生してしまったようなのです。
私は貧乏男爵家の最後の子供として生を受けたのですが、家から望まれていたのは男の子、結果は残念ながら女の私が生まれてしまい……さらに母は産褥期の具合が悪く儚くなってしまったと聞いています。
そんなこともあり、ある種疫病神のような視線を受けながらも、特に生活に窮することもなくほとんど放任状態で暮らして早3歳、この頃にはほぼ一人で自由にいろいろと――本当にいろいろと活動していました。
前世の知識を持つ私ですが、赤ん坊時代を過ごすにあたり悟りを開いたのか、精神年齢は大きく幼児退行したようで……。
一人で川に行って溺れかけたり(3歳児が)。
一人で森に行ってくまさんに出会ったり(3歳児が)。
一人で町に行ってぼったくりを言い負かしたり(3歳児が)。
一人でスライムに襲われたり(3歳児が)。
森でつい気を抜いた時があってスライムに襲われそうになってしまった……そんなピンチの時!
少し年上の男の子が颯爽と助けてくれて、その瞬間に緊張が解けて気を失ってしまったみたいです。
後で聞いた話では、この時助けてくれた男の子はなんとこのあとからとってもお世話になる侯爵家に向かう予定だったようで……気絶した私を、なんとお姫様抱っこで連れ帰ってくれたらしいのです!
そんなこんなで侯爵家で介抱された私はというと、娘のいない侯爵様の奥様が私をとてもとても……とっても可愛がってくれて、何かをしているとき以外の定位置は、ぬいぐるみのように奥様の膝の上になってしまいました、良くも悪くも背中に感じるクッションがとても柔らいのですぐに寝てしまいますが……。
奥様の強い希望もあり、貧乏男爵の娘としては少々引け目はあるのだけれど、いつのまにかこの侯爵家は私にとって第二の我が家のようになっていたのです。
そんなラッキーな状況の中でも群んを抜いて私が嬉しかったのは本です!
この侯爵家には貧乏な我が家には存在しない図書室があったのです!
前世で世界中を飛び回っていた私が飛行機の中ですることは寝るか読書か、その本のジャンルは問わずで、何時間もあるフライトを何本も飛び回るうち、言語系や風土系、その由来や技術体系や恋愛本などなど、大量に読み漁ってきたので、なにか空いた時間があると何か読書をしたくなってそわそわしていたのでした。
さすが侯爵なだけあって蔵書内容は多岐にわたり、政治や地理、技術書など様々なジャンルの本がありました。
公爵や王都の王立図書館などに比べると本の数は当然少ないらしいのですが、お庭での読書、奥様の膝の上での眠気と抗いながらの読書、さらに何故か娘として来客対応を奥様の膝の上でしながらも本を読み続けて蔵書のほとんどを読みつくそうとしたころ。
4歳になろうとしていました。
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