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友人を呼ぶ
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私の隣の部屋の角部屋は誰にも貸さないという事でしたが、大家さんの息子が時々使っていると下の階の人達が話しているのを聞いたことがあります。大家さんの息子さんは、30代後半位に見えました。独身のようです。
大家さんの息子なら私の部屋の鍵を持っていてもおかしくありません。良く知らないのに疑ったりしてはいけないと思いつつ、不安が拭いきれません。
まさか。そんな事はないと思うけど。
私は、なんだかこわく悪くなって、週末は部屋に女の友達2人に来てもらい楽しむことにしました。2人は快く来てくれました。
「なんか思ったより、ずっと広いんだね。ベランダからの景色も良い感じ。」
「私もひとり暮らししたいなあ。」
久しぶりに会った女友達との時間は楽しくて心がホッとしました。ビールを飲んで少し酔いが回った頃、私は2人に青い服の男の事を打ち明けました。
そして、それがもしかしたら大家さんの息子かも知れないことも。たまたま、上下青い服だっただけかも知れないけど、恐いといいました。
「でも、合鍵で勝手に入っちゃうと犯罪だし、それがわかったら入居者いなくなるしね。それはさすがに、無いと思うなあ。」
「それより、朱里さあ、会社の先輩に告られてなかった?返事はしたの?」
「えっ、あっ、未だだけど。まだよく知らないし。優しそうだけど。」
「あんまり待たせたら良くないよ。良いなあ、私も告られたい。」
「私もー。1回も告白なんてされたことないよー。」
少し場が和んだ。そう、良いこともある。
「何度かデートしてみてから、ゆっくり決めても良いんじゃない?」
「そういうものなんだあ。」
私はそういう事に疎い人間です。どうもいつも受け身で、今までも良い感じになってもグズグズしていていつの間にか自然消滅していたり。
楽しい週末を過ごして、友達が帰るとき、ひとりがじっと何か壁のような所をみて黙っているのが気になりました。その後も少し無口になったような、気がしました。
もう一人は、寂しくなったら、またすぐ泊まりに来るからね。安心してと言ってくれました。
その後しばらく何もなかったのですが、私は風邪をひいて熱を出してしまいました。
食材も乏しくなってきて、こんな時はひとり暮らしは心細いと感じました。そんな時、同僚の蓮くんと、まなが、食料を買って来てくれました。
ピンポーン
「大変だったね。私、何か少し作るね。」と、まなが、ご飯を作ってくれました。
蓮くんも一緒に少し部屋にあがって、話したりしていました。
その時です。私は確かに感じました。
背中に刺さるような冷たい視線。
ゾクッとする。
私は気が付かないフリをして、その場をやり過ごしました。2人がいるから怖い事は起きないと思いました。
熱も下ってきたしもう大丈夫。私は自分にそう言い聞かせていました。2人が帰ると私はしっかりと戸締まりをして眠りました。
どうか何事も起きませんように。
次の日、告白してくれた先輩からメールが来ていました。
一風邪ひいたんだって?大丈夫?
一はい、熱も下がってきて、明日には会社に行けると思います。ありがとうございます。
一無理しないで、困った事や、やって欲しい事があったら連絡して。
優しい言葉にちょっとほっこりしました。こういう時、優しい彼氏がいたら安心できて幸せなのかな。
幸せになりたい。
部屋の姿見をふと見た私は、上の方に指紋がついているのに気がついた。私はそこまできれい好きの潔癖症ではないけれど、鏡だけは綺麗にしていたいので良く拭いています。
その指紋は私の指より大きくて女性のものという感じではありませんでした。
こじつけて考えれば、蓮くんもこの部屋に入ったから、何気なく鏡を触ったのかもしれません。
そんな風に考えても気は晴れませんでした。
すぐに引っ越せたら良いのに。敷金や礼金、引っ越し費用の事を考えるとすぐには動けない自分がいました。
私はしばらく鏡についた、指紋を見ていました。
大家さんの息子なら私の部屋の鍵を持っていてもおかしくありません。良く知らないのに疑ったりしてはいけないと思いつつ、不安が拭いきれません。
まさか。そんな事はないと思うけど。
私は、なんだかこわく悪くなって、週末は部屋に女の友達2人に来てもらい楽しむことにしました。2人は快く来てくれました。
「なんか思ったより、ずっと広いんだね。ベランダからの景色も良い感じ。」
「私もひとり暮らししたいなあ。」
久しぶりに会った女友達との時間は楽しくて心がホッとしました。ビールを飲んで少し酔いが回った頃、私は2人に青い服の男の事を打ち明けました。
そして、それがもしかしたら大家さんの息子かも知れないことも。たまたま、上下青い服だっただけかも知れないけど、恐いといいました。
「でも、合鍵で勝手に入っちゃうと犯罪だし、それがわかったら入居者いなくなるしね。それはさすがに、無いと思うなあ。」
「それより、朱里さあ、会社の先輩に告られてなかった?返事はしたの?」
「えっ、あっ、未だだけど。まだよく知らないし。優しそうだけど。」
「あんまり待たせたら良くないよ。良いなあ、私も告られたい。」
「私もー。1回も告白なんてされたことないよー。」
少し場が和んだ。そう、良いこともある。
「何度かデートしてみてから、ゆっくり決めても良いんじゃない?」
「そういうものなんだあ。」
私はそういう事に疎い人間です。どうもいつも受け身で、今までも良い感じになってもグズグズしていていつの間にか自然消滅していたり。
楽しい週末を過ごして、友達が帰るとき、ひとりがじっと何か壁のような所をみて黙っているのが気になりました。その後も少し無口になったような、気がしました。
もう一人は、寂しくなったら、またすぐ泊まりに来るからね。安心してと言ってくれました。
その後しばらく何もなかったのですが、私は風邪をひいて熱を出してしまいました。
食材も乏しくなってきて、こんな時はひとり暮らしは心細いと感じました。そんな時、同僚の蓮くんと、まなが、食料を買って来てくれました。
ピンポーン
「大変だったね。私、何か少し作るね。」と、まなが、ご飯を作ってくれました。
蓮くんも一緒に少し部屋にあがって、話したりしていました。
その時です。私は確かに感じました。
背中に刺さるような冷たい視線。
ゾクッとする。
私は気が付かないフリをして、その場をやり過ごしました。2人がいるから怖い事は起きないと思いました。
熱も下ってきたしもう大丈夫。私は自分にそう言い聞かせていました。2人が帰ると私はしっかりと戸締まりをして眠りました。
どうか何事も起きませんように。
次の日、告白してくれた先輩からメールが来ていました。
一風邪ひいたんだって?大丈夫?
一はい、熱も下がってきて、明日には会社に行けると思います。ありがとうございます。
一無理しないで、困った事や、やって欲しい事があったら連絡して。
優しい言葉にちょっとほっこりしました。こういう時、優しい彼氏がいたら安心できて幸せなのかな。
幸せになりたい。
部屋の姿見をふと見た私は、上の方に指紋がついているのに気がついた。私はそこまできれい好きの潔癖症ではないけれど、鏡だけは綺麗にしていたいので良く拭いています。
その指紋は私の指より大きくて女性のものという感じではありませんでした。
こじつけて考えれば、蓮くんもこの部屋に入ったから、何気なく鏡を触ったのかもしれません。
そんな風に考えても気は晴れませんでした。
すぐに引っ越せたら良いのに。敷金や礼金、引っ越し費用の事を考えるとすぐには動けない自分がいました。
私はしばらく鏡についた、指紋を見ていました。
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