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私は風邪がほぼ治ってきても、会社に行けないでいました。身体がとても重い感じがするのです。近所のクリニックに行って診てもらったのですが、身体が重いのは風邪がまだ治りきらないせいだろうと言う事でした。
夕方、心細い思いでいると、
ピンポーン
誰かが来ました。私に告白してくれた先輩でした。
「柳下先輩。」
「ごめん、こんな所まで急に来ちゃって。心配だったから。」
「いえ、どうぞコーヒー入れます。コーヒーでいいですか?」
「うん、僕がやろうか?」
「いえいえ、もうだいぶ良くなってますから。」
「これ、食べ物が無いと大変だと思っていろいろ買って来てみたよ。冷蔵庫に入れてもいい?」
「あっ、はい。ありがとうございます。」
私のひとり暮らしの小さい冷蔵庫がいっぱいになるくらいの食糧を先輩は買って来てくれました。
嬉しかったてす。
「先輩、私まだあのお返事をして無くて。」
「こんな時だし、急がなくて良いんだよ。今は体を治すことだけを考えて。僕は全然待てるから。」
「はい。」
私は頷いた。そしてホッとした。ゆっくり友達から始められたら良い感じになるかもしれない。
「それじゃあ、僕はこれでもう帰るから、何かあったら連絡して。」
柳下先輩はそう言って帰っていきました。
いい人とか優しいとかと、好きは違うんだろうか?
私は、知らず知らず心身共に弱った状況で判断力まで鈍っているかのようでした。
柳下先輩は、私のどこが良いのかな。そんなにお話した事も無いし、特別かわいいとかでも無いし、優柔不断だし。
ベランダから外を見ると、東京の夜景の中に大家さんの敷地の林だけがひっそりと沈黙を守るかのように細長く広がっていました。
かなりの敷地だと思います。
今日は何だか違う景色のようです。
初めは美しく感じたこの景色が、何だが異様にすら思えました。
その夜の事です。
隣の角部屋の方から声が聞こえてきました。とても微かな男の人の声です。大家さんの息子なんだろうか?
「お前は男を誰でも部屋に上げるのか?その為に部屋を借りたのか?汚れたメス豚め。恥をしれ。」
多少違うかもしれませんが、そんな風に聞こえました。誰かがテレビでも見てるのかもしれない。そう思っていると、
「簡単に男を招きいれて、お前は汚い、醜い。」
また声が聞こえました。そんな事を言ってるみたいです。
私は怖くなり、壁の近くから離れて頭を抱えてしゃがみ込んでしまいました。
私、監視されてるのかな?
その日の夜も柳下先輩が来てくれました。私はまた先輩を部屋に通しました。
「困ったことはない?」
全部、先輩に話してしまいたくなっていました。結局、なんと言ったら良いのかも良くわからず黙ってしまい、目から涙が溢れそうになりました。
「何か心配な事があるんだね。心細いのかな。直ぐじゃなくてもいいから、話したくなったら話してみて。」
「はい、話せる時がきたら。」
その後、たわいも無い話をしているうちに時間がたち、いつの間にかソファーでお互いの身体が密着して来ていました。
ぐっと引き寄せられて、先輩は私に、
「良いよね?」
と言いました。
自分の心臓の音が早くなって大きくなってるのがハッキリとわかって、それが先輩に気づかれ無いか恥ずかしくて⋯。
私は、急に我に返って咳き込んだふりをして、逃げました。
「すみません。まだ調子がちょっと。」
少しだけ気まずい感じがありましたが、
「ごめん、ゆっくり休んで。今日は帰るから。」
先輩はそう言って帰って行きました。なし崩しになるのは嫌だったので、先輩が強引な人じゃなくて本当に良かったです。
ところが、その日の深夜、ふと目を覚ますと私の寝室の戸の所に誰かが立っていました。
誰?顔がよく見えない。
「誰なの?」
夕方、心細い思いでいると、
ピンポーン
誰かが来ました。私に告白してくれた先輩でした。
「柳下先輩。」
「ごめん、こんな所まで急に来ちゃって。心配だったから。」
「いえ、どうぞコーヒー入れます。コーヒーでいいですか?」
「うん、僕がやろうか?」
「いえいえ、もうだいぶ良くなってますから。」
「これ、食べ物が無いと大変だと思っていろいろ買って来てみたよ。冷蔵庫に入れてもいい?」
「あっ、はい。ありがとうございます。」
私のひとり暮らしの小さい冷蔵庫がいっぱいになるくらいの食糧を先輩は買って来てくれました。
嬉しかったてす。
「先輩、私まだあのお返事をして無くて。」
「こんな時だし、急がなくて良いんだよ。今は体を治すことだけを考えて。僕は全然待てるから。」
「はい。」
私は頷いた。そしてホッとした。ゆっくり友達から始められたら良い感じになるかもしれない。
「それじゃあ、僕はこれでもう帰るから、何かあったら連絡して。」
柳下先輩はそう言って帰っていきました。
いい人とか優しいとかと、好きは違うんだろうか?
私は、知らず知らず心身共に弱った状況で判断力まで鈍っているかのようでした。
柳下先輩は、私のどこが良いのかな。そんなにお話した事も無いし、特別かわいいとかでも無いし、優柔不断だし。
ベランダから外を見ると、東京の夜景の中に大家さんの敷地の林だけがひっそりと沈黙を守るかのように細長く広がっていました。
かなりの敷地だと思います。
今日は何だか違う景色のようです。
初めは美しく感じたこの景色が、何だが異様にすら思えました。
その夜の事です。
隣の角部屋の方から声が聞こえてきました。とても微かな男の人の声です。大家さんの息子なんだろうか?
「お前は男を誰でも部屋に上げるのか?その為に部屋を借りたのか?汚れたメス豚め。恥をしれ。」
多少違うかもしれませんが、そんな風に聞こえました。誰かがテレビでも見てるのかもしれない。そう思っていると、
「簡単に男を招きいれて、お前は汚い、醜い。」
また声が聞こえました。そんな事を言ってるみたいです。
私は怖くなり、壁の近くから離れて頭を抱えてしゃがみ込んでしまいました。
私、監視されてるのかな?
その日の夜も柳下先輩が来てくれました。私はまた先輩を部屋に通しました。
「困ったことはない?」
全部、先輩に話してしまいたくなっていました。結局、なんと言ったら良いのかも良くわからず黙ってしまい、目から涙が溢れそうになりました。
「何か心配な事があるんだね。心細いのかな。直ぐじゃなくてもいいから、話したくなったら話してみて。」
「はい、話せる時がきたら。」
その後、たわいも無い話をしているうちに時間がたち、いつの間にかソファーでお互いの身体が密着して来ていました。
ぐっと引き寄せられて、先輩は私に、
「良いよね?」
と言いました。
自分の心臓の音が早くなって大きくなってるのがハッキリとわかって、それが先輩に気づかれ無いか恥ずかしくて⋯。
私は、急に我に返って咳き込んだふりをして、逃げました。
「すみません。まだ調子がちょっと。」
少しだけ気まずい感じがありましたが、
「ごめん、ゆっくり休んで。今日は帰るから。」
先輩はそう言って帰って行きました。なし崩しになるのは嫌だったので、先輩が強引な人じゃなくて本当に良かったです。
ところが、その日の深夜、ふと目を覚ますと私の寝室の戸の所に誰かが立っていました。
誰?顔がよく見えない。
「誰なの?」
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