19 / 137
後悔
しおりを挟む
次の日の朝、客人が話しかけてきた。
「母さん、あたし昨日酔っぱらって何か変な事言ってなかった?」
「うーん、どうだっけ。いつも通りかな?誰かの名前呼んでたよ。彼女さんかな。ひ・そ・か。」
チラリと客人を見ると、客人の顔は数秒蒼白だった。よく、そういう表現は使われるけれど、実際、顔面蒼白な人を見たのは初めてかもしれない。
「彼女はいない。女の子の名前なんていちいち憶えてないよ。本気になった事も、無いし。
その名前もしらない。」
客人らしからぬ発言の様な気がした。
そしてそのセリフの何かに、私が反応した。
私は、冷たい視線を客人に向けそしてそらした。たぶん、その時の私、かなり恐い顔だったと思う。
客人は、
「ごめんあたし、いない方がいいかな。朝ごはんいらない。このまま学会に行くから、4日戻らない。」
と何故か申し訳なさそうに言った。しばらくすると、玄関の戸が閉まる音だけが響いた。
行ってしまった。大事な学会にこんな送り出し方になった事が悔やまれた。
私はいったい客人の台詞のどこに反応してしまったのか。
家事をしていると、携帯の呼び出し音がなった。
「あっ豊蔵さん、私、金田です。」
「あー、都市伝説好きの?」
「違います。ルドルフ・シュタイナーを敬愛する金田です。」
はいはい、ちょっと変わったおじさんね。
「豊蔵さん、以前お話しした時に、神様から玉を貰ったとおっしゃってましたよね?」
「金田さん、たぶんそれ違う人ですよ。私、神様に会ったこともないし、玉も貰ってません。」
「私それ、ノートに書いてあるんです。豊蔵さんと話した内容、全部じゃないんですけど。豊蔵さんが話して無いとおっしゃるなら、パラレルワールドでの事かな。」
「金田さん、神様から私が頂いた玉はどこにあるんでしょうか?」
一応聞いてみる。
「豊蔵さんの胸の中に、吸いこまれる様に入っていったそうです。私、豊蔵さんが羨ましくて、羨ましくて。」
パラレルワールドに行ったり来たりしていると言うおじさんからだった。私は用があるからと早めに話を切り上げた。
半分何言っちゃってんの?と思っている。だから普段は私も自分の不思議な体験を人に語ることは殆ど無い。
金田さんとは全く話がかみ合わない訳では無いけどパラレルワールドの話は、ついていけない。
それでも、今朝の客人の悲しそうな顔をしばらく忘れる事ができた。
琥太朗、もう帰ってこないかも知れない。ふとそんな不安が頭をよぎる。
「母さん、あたし昨日酔っぱらって何か変な事言ってなかった?」
「うーん、どうだっけ。いつも通りかな?誰かの名前呼んでたよ。彼女さんかな。ひ・そ・か。」
チラリと客人を見ると、客人の顔は数秒蒼白だった。よく、そういう表現は使われるけれど、実際、顔面蒼白な人を見たのは初めてかもしれない。
「彼女はいない。女の子の名前なんていちいち憶えてないよ。本気になった事も、無いし。
その名前もしらない。」
客人らしからぬ発言の様な気がした。
そしてそのセリフの何かに、私が反応した。
私は、冷たい視線を客人に向けそしてそらした。たぶん、その時の私、かなり恐い顔だったと思う。
客人は、
「ごめんあたし、いない方がいいかな。朝ごはんいらない。このまま学会に行くから、4日戻らない。」
と何故か申し訳なさそうに言った。しばらくすると、玄関の戸が閉まる音だけが響いた。
行ってしまった。大事な学会にこんな送り出し方になった事が悔やまれた。
私はいったい客人の台詞のどこに反応してしまったのか。
家事をしていると、携帯の呼び出し音がなった。
「あっ豊蔵さん、私、金田です。」
「あー、都市伝説好きの?」
「違います。ルドルフ・シュタイナーを敬愛する金田です。」
はいはい、ちょっと変わったおじさんね。
「豊蔵さん、以前お話しした時に、神様から玉を貰ったとおっしゃってましたよね?」
「金田さん、たぶんそれ違う人ですよ。私、神様に会ったこともないし、玉も貰ってません。」
「私それ、ノートに書いてあるんです。豊蔵さんと話した内容、全部じゃないんですけど。豊蔵さんが話して無いとおっしゃるなら、パラレルワールドでの事かな。」
「金田さん、神様から私が頂いた玉はどこにあるんでしょうか?」
一応聞いてみる。
「豊蔵さんの胸の中に、吸いこまれる様に入っていったそうです。私、豊蔵さんが羨ましくて、羨ましくて。」
パラレルワールドに行ったり来たりしていると言うおじさんからだった。私は用があるからと早めに話を切り上げた。
半分何言っちゃってんの?と思っている。だから普段は私も自分の不思議な体験を人に語ることは殆ど無い。
金田さんとは全く話がかみ合わない訳では無いけどパラレルワールドの話は、ついていけない。
それでも、今朝の客人の悲しそうな顔をしばらく忘れる事ができた。
琥太朗、もう帰ってこないかも知れない。ふとそんな不安が頭をよぎる。
11
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる