突然現れた27才の超イケメンの息子、産んでないし

中川四角

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後悔

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 次の日の朝、客人が話しかけてきた。

「母さん、あたし昨日酔っぱらって何か変な事言ってなかった?」

「うーん、どうだっけ。いつも通りかな?誰かの名前呼んでたよ。彼女さんかな。ひ・そ・か。」

チラリと客人を見ると、客人の顔は数秒蒼白だった。よく、そういう表現は使われるけれど、実際、顔面蒼白な人を見たのは初めてかもしれない。

「彼女はいない。女の子の名前なんていちいち憶えてないよ。本気になった事も、無いし。
その名前もしらない。」

客人らしからぬ発言の様な気がした。
そしてそのセリフの何かに、私が反応した。
私は、冷たい視線を客人に向けそしてそらした。たぶん、その時の私、かなり恐い顔だったと思う。

客人は、

「ごめんあたし、いない方がいいかな。朝ごはんいらない。このまま学会に行くから、4日戻らない。」

と何故か申し訳なさそうに言った。しばらくすると、玄関の戸が閉まる音だけが響いた。

行ってしまった。大事な学会にこんな送り出し方になった事が悔やまれた。

私はいったい客人の台詞のどこに反応してしまったのか。


 家事をしていると、携帯の呼び出し音がなった。 

「あっ豊蔵さん、私、金田です。」

「あー、都市伝説好きの?」

「違います。ルドルフ・シュタイナーを敬愛する金田です。」

はいはい、ちょっと変わったおじさんね。

「豊蔵さん、以前お話しした時に、神様から玉を貰ったとおっしゃってましたよね?」

「金田さん、たぶんそれ違う人ですよ。私、神様に会ったこともないし、玉も貰ってません。」

「私それ、ノートに書いてあるんです。豊蔵さんと話した内容、全部じゃないんですけど。豊蔵さんが話して無いとおっしゃるなら、パラレルワールドでの事かな。」

「金田さん、神様から私が頂いた玉はどこにあるんでしょうか?」

一応聞いてみる。

「豊蔵さんの胸の中に、吸いこまれる様に入っていったそうです。私、豊蔵さんが羨ましくて、羨ましくて。」

パラレルワールドに行ったり来たりしていると言うおじさんからだった。私は用があるからと早めに話を切り上げた。

半分何言っちゃってんの?と思っている。だから普段は私も自分の不思議な体験を人に語ることは殆ど無い。

金田さんとは全く話がかみ合わない訳では無いけどパラレルワールドの話は、ついていけない。

それでも、今朝の客人の悲しそうな顔をしばらく忘れる事ができた。

琥太朗、もう帰ってこないかも知れない。ふとそんな不安が頭をよぎる。










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