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又モン ダンス
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この時期、私は主治医から、これからの過ごし方と言う手紙?のような物を貰った。
そこには、いかに今リハビリが大切か、実感が無くてもデータ的に、間違いなく良くなってるという事。これからの気持ちの持ち方、それでも辛い時は、などなど、いろんな事が書かれていた。
それを貰った時は、良くなっている実感が少なくて、そうかなあという感じだった。
ところが、この手紙、後から心にきいてくる。
こんな事までしてくれる先生他にいるだろうか?改めて、この先生を信じようと思った。
次の日も又モンはとても静かな感じに思えた。33歳から37才くらいに見えるけど、全然ちがうのかもしれない。男子の年齢と言うのはなかなか難しく、当てられそうで当たらない事も多い。
少し硬そうな髪は不思議な寝癖が付いていて一部だけ何かで固まっている。おそらく、何かを整えたらカッコよくなりそうで、整えない所が味があって良いような、ツッコミどころ満載感。
親しみの持てる笑顔。
独身なのかもしれない。奥さんか彼女が整えれば、カッコよくなると思う。
新さんは又森さんの事を、
「彼は、又モンと呼ぶと喜びます。」
と言ってたっけ。
「そういえば、又森さんは、又モンと呼ばれると嬉しいと聞きました。」
率直に私は聞いてみた。
「あっ、その、嬉しいと言うか。私がここに来たときに自己紹介で、ゆるキャラのまるモンが好きと言ったら、そう言う話になっているみたいです。まるモンがずっと好きで。」
あらら、新さんの話とちょっと違う。今日も寝癖と、一部固まった髪型だ。
「又森さん、私、トイレに1人で行けるようになりたいけど、全然ダメなんです。うまくいきません。」
「わかりました。ちょっとやってみますか。」
又森さんはそう言って微笑んだ。
「こうやって、こうやって。」
あれ?何だかできそう。あんなにできなかったのに。博士を目指している新さんの上司という事もあって、やはりすごい人なのかも?
リハビリが終わると、リハさんはみんな決まりなのかこう言う。
「何か僕にやって欲しいことありますか?」
私は冗談で、キバちゃんにも、新さんにもこう言っていた。
「じゃあね、ダンス。」
当然、それはちょっとできませんという返事が、2人から返ってきていた。
今回も、冗談ですよと言う返事を用意して待っていると、又森さんは、
「えーっと、少しなら。」
と言った。そして、小さなベッドサイドのスペースで踊り始めた。
えっ?
このダンスはなんて言うのでしょうか?高校野球とかで、応援の人達で「アゲアゲホイホイ」っていう感じの??
すごく嬉しそうに又モンは踊っている。踊るのが好きなようだ。
「ありがとう、又モン。」
こんな真面目そうな人が、いきなりの無茶振りにここまで答えてくれるなんて、私はなんだか嬉しくなった。
又モンは照れくさそうに笑うと、
「また明日来ます。」
と、言って静かに去っていった。又モンとは筆談だけど、うまく会話ができていると思う。
柔軟に私に合わせてくれている。
その5分後に、美形の主治医がやってきた。
そこには、いかに今リハビリが大切か、実感が無くてもデータ的に、間違いなく良くなってるという事。これからの気持ちの持ち方、それでも辛い時は、などなど、いろんな事が書かれていた。
それを貰った時は、良くなっている実感が少なくて、そうかなあという感じだった。
ところが、この手紙、後から心にきいてくる。
こんな事までしてくれる先生他にいるだろうか?改めて、この先生を信じようと思った。
次の日も又モンはとても静かな感じに思えた。33歳から37才くらいに見えるけど、全然ちがうのかもしれない。男子の年齢と言うのはなかなか難しく、当てられそうで当たらない事も多い。
少し硬そうな髪は不思議な寝癖が付いていて一部だけ何かで固まっている。おそらく、何かを整えたらカッコよくなりそうで、整えない所が味があって良いような、ツッコミどころ満載感。
親しみの持てる笑顔。
独身なのかもしれない。奥さんか彼女が整えれば、カッコよくなると思う。
新さんは又森さんの事を、
「彼は、又モンと呼ぶと喜びます。」
と言ってたっけ。
「そういえば、又森さんは、又モンと呼ばれると嬉しいと聞きました。」
率直に私は聞いてみた。
「あっ、その、嬉しいと言うか。私がここに来たときに自己紹介で、ゆるキャラのまるモンが好きと言ったら、そう言う話になっているみたいです。まるモンがずっと好きで。」
あらら、新さんの話とちょっと違う。今日も寝癖と、一部固まった髪型だ。
「又森さん、私、トイレに1人で行けるようになりたいけど、全然ダメなんです。うまくいきません。」
「わかりました。ちょっとやってみますか。」
又森さんはそう言って微笑んだ。
「こうやって、こうやって。」
あれ?何だかできそう。あんなにできなかったのに。博士を目指している新さんの上司という事もあって、やはりすごい人なのかも?
リハビリが終わると、リハさんはみんな決まりなのかこう言う。
「何か僕にやって欲しいことありますか?」
私は冗談で、キバちゃんにも、新さんにもこう言っていた。
「じゃあね、ダンス。」
当然、それはちょっとできませんという返事が、2人から返ってきていた。
今回も、冗談ですよと言う返事を用意して待っていると、又森さんは、
「えーっと、少しなら。」
と言った。そして、小さなベッドサイドのスペースで踊り始めた。
えっ?
このダンスはなんて言うのでしょうか?高校野球とかで、応援の人達で「アゲアゲホイホイ」っていう感じの??
すごく嬉しそうに又モンは踊っている。踊るのが好きなようだ。
「ありがとう、又モン。」
こんな真面目そうな人が、いきなりの無茶振りにここまで答えてくれるなんて、私はなんだか嬉しくなった。
又モンは照れくさそうに笑うと、
「また明日来ます。」
と、言って静かに去っていった。又モンとは筆談だけど、うまく会話ができていると思う。
柔軟に私に合わせてくれている。
その5分後に、美形の主治医がやってきた。
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