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忙しいはずなのに
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「看護師は、忙しいを言い訳にするのは許されないので。」
「決して忙しい、人手がたりないを言い訳にしてはいけない。」
これはHCUと、一般病棟の師長さんの口癖だった。2人ともいつも優しくて熱心で素敵な人だ。2人とも、現場にでて仕事をしているので、始めは師長さんとは気が付かなかった。
ICUの師長のさんには一度お会いしただけだったけど、ちょっとした看護師さんの勘違いがあった時、私が不安になったら、すぐに飛んで来てくれた。丁寧に謝ってくれて、きちんと指導しておきますね。と言われた。
「ただ、行き違いがあっただけですので。看護師さんも悪くないです。すみません。師長さんにまで来ていただいて。」
と、私は紙に書いた。
師長さんを呼んで欲しいとは一言も言っていないのだけど、ここは徹底した患者ファーストなのだ。看護師さんは自分が患者さんを不安にさせてしまったと自ら師長に必ず申し出る決まりのようだ。
看護師さん不足の中、多くの入院患者さんを抱えて、それでも看護師さん達は、ある程度私と向き合ってくれる時間があった。
看護師さんと筆談の時間は短くてもとても、私を癒してくれた。
手を抜かれている感じがしなかった。むしろ手厚いと思う。手抜きな人が1人もいないわけでは無いけど、その人は、もう辞める時期が決まっている人なので私は何も言わなかった。
例えば私の顔に貼る胃管をとめるテープの貼り方を、関わってくれる看護師さん達が共有しながら、どうやったら一番私が楽で安全なのか皆で考えてくれる。
共有しながら、一人一人の手技も日に日に上がっているので、結果的に無駄な時間がなくなっていく。
私が何をされると嫌かも知っていて、共有されて行くのでいろんな事がスムーズに進む。
この逆の場合、その場しのぎの処置と大切な事が共有されて無いので、何度も同じ事を看護師さんに言う事になり、毎回無駄な時間を費やす事になってしまう。
手抜きをすればその時は時短になった気になるのかもしれないけど、やればやるほど良くない流れになると思う。
この病院にはいないけど、手技が上手でも他の看護師さんにそのやり方を教えない人がいる。
自分が特別上手であり続けたいのかも知れないけど、患者側から見たら困った人という事になる。病院にとっても不利益では無いだろうか。
藤橋さんは、痛い処置を我慢して無理やりやろうとはしない。痛いと言えば1回やめて、どうやったらなるべく痛くないか考えてくれるような人だ。随分ありがたい。時間もこちらに合わせてくれる事が多かった。
私が疲れている時間に無理に処置をしたりしない。それをすると、うまくいかずいつもより時間がかかってしまったりするからだ。
この病院では、手厚い看護の結果、時短にもなって、患者との関係性もよくなり感謝もされると言う良い循環が出来ていた。
この事は、もしかしたら人生の他の事にも当てはまるのかもしれない。
私達は時間に追われて、目先の事やコスパに気を奪われてしまう事がある。最も大切な物を蔑ろにしていまってはいないだろうか。
客観的に見たら、もっと違うものが見えてくるかも知れない。
「決して忙しい、人手がたりないを言い訳にしてはいけない。」
これはHCUと、一般病棟の師長さんの口癖だった。2人ともいつも優しくて熱心で素敵な人だ。2人とも、現場にでて仕事をしているので、始めは師長さんとは気が付かなかった。
ICUの師長のさんには一度お会いしただけだったけど、ちょっとした看護師さんの勘違いがあった時、私が不安になったら、すぐに飛んで来てくれた。丁寧に謝ってくれて、きちんと指導しておきますね。と言われた。
「ただ、行き違いがあっただけですので。看護師さんも悪くないです。すみません。師長さんにまで来ていただいて。」
と、私は紙に書いた。
師長さんを呼んで欲しいとは一言も言っていないのだけど、ここは徹底した患者ファーストなのだ。看護師さんは自分が患者さんを不安にさせてしまったと自ら師長に必ず申し出る決まりのようだ。
看護師さん不足の中、多くの入院患者さんを抱えて、それでも看護師さん達は、ある程度私と向き合ってくれる時間があった。
看護師さんと筆談の時間は短くてもとても、私を癒してくれた。
手を抜かれている感じがしなかった。むしろ手厚いと思う。手抜きな人が1人もいないわけでは無いけど、その人は、もう辞める時期が決まっている人なので私は何も言わなかった。
例えば私の顔に貼る胃管をとめるテープの貼り方を、関わってくれる看護師さん達が共有しながら、どうやったら一番私が楽で安全なのか皆で考えてくれる。
共有しながら、一人一人の手技も日に日に上がっているので、結果的に無駄な時間がなくなっていく。
私が何をされると嫌かも知っていて、共有されて行くのでいろんな事がスムーズに進む。
この逆の場合、その場しのぎの処置と大切な事が共有されて無いので、何度も同じ事を看護師さんに言う事になり、毎回無駄な時間を費やす事になってしまう。
手抜きをすればその時は時短になった気になるのかもしれないけど、やればやるほど良くない流れになると思う。
この病院にはいないけど、手技が上手でも他の看護師さんにそのやり方を教えない人がいる。
自分が特別上手であり続けたいのかも知れないけど、患者側から見たら困った人という事になる。病院にとっても不利益では無いだろうか。
藤橋さんは、痛い処置を我慢して無理やりやろうとはしない。痛いと言えば1回やめて、どうやったらなるべく痛くないか考えてくれるような人だ。随分ありがたい。時間もこちらに合わせてくれる事が多かった。
私が疲れている時間に無理に処置をしたりしない。それをすると、うまくいかずいつもより時間がかかってしまったりするからだ。
この病院では、手厚い看護の結果、時短にもなって、患者との関係性もよくなり感謝もされると言う良い循環が出来ていた。
この事は、もしかしたら人生の他の事にも当てはまるのかもしれない。
私達は時間に追われて、目先の事やコスパに気を奪われてしまう事がある。最も大切な物を蔑ろにしていまってはいないだろうか。
客観的に見たら、もっと違うものが見えてくるかも知れない。
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