龍青学園GCSA -ぷち-

楓和

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第4章の14・今までの戦いは何だったんだ?!…の ぷち話し

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曲がりくねった道を、右に左にひたすら走る竜沢。

 「はぁ、はぁ、はぁ…」

竜沢は足を止めた。

 「い、一体何だってんだよ。」

周囲を見回す竜沢だが、三メートルくらいある壁に行く手を遮られている。ここは行き止まりだ。

 「また戻るのか…」

来た道を戻る竜沢。静かな時間が過ぎる。
しばらくすると、どこからともなく笑い声が聞こえて来た。

 「だ、誰だ?!」
 「ケ…ケケケッ!」

大きな壁を越えるほどの大きな身体。それは緑色の肌をした化け物だった!

 「で、デカい!お前は…迷い道妖怪?!」

見下ろされる竜沢。

 「ケッケケケケ!」

耳まで裂ける程の大口を開けて笑う迷い道妖怪。曲がりくねった二本の角が不気味だ。

 「ここはお前の作った迷路の中か!」
 「ケッケケッ、ケッケ?ケケェッ、ケッケッ!」
 「何を言ってんのか分からん!だが馬鹿にされてるのは何となく分かる!」

迷い道妖怪の仕草で理解し、ムカつく竜沢。

 「くそっ…とにかくこの迷路を抜けなければ。」

闇雲に迷路内を走る竜沢だが、何度も何度も行き止まる。

 「だ、駄目だ…」

竜沢は片膝をついた。迷い道妖怪の笑い声が響く。挫けている竜沢を嘲笑っているのだ。

 「このままじゃ奴の思うつぼ。何とか脱出しなけれ……い、いや!そうか!」

竜沢は閃いた。

 「迷い道妖怪、破れたり!」
 「ケ?」

突然得意気な表情で指を差され、首を傾げる迷い道妖怪。

 「お前は迷い道妖怪!そこにヒントがあったんだ!」

カシュアカシュアカシュア!
懐からスマホを出し、ドヤ顔の自撮りをする竜沢。しかも三回、三方向から撮影。

 「ケ…ケケ?」

意味不明な行動に呆然とする迷い道妖怪。

 「よく聞け迷い道妖怪!略して迷怪(まよかい)!」

まよかいって…。

 「俺は………迷ってなどいない!」

ニヤリとする竜沢。

 「………ケ?」
 「俺はここで満足している!迷ってなどいないんだーっ!」

意味はよく分からないが、竜沢は満足気に吠えた。

 「ケ…ケケ…ケーッ?!」

あれ?意外と効いた。苦しみ出す迷い道妖怪。
とりあえずさっきのドヤ顔撮影は全く関係なかったようだ。ただ単に自分のドヤ顔を撮影しただけである。
とにかく苦しみ出した迷い道妖怪に対し、竜沢がとどめの一撃を繰り出す!

 「もはやお前は迷い道妖怪ではない!ただの…道妖怪だ!」
 「ケ、ケケー!」

迷い道妖怪の身体が崩れ出した。そして…溶けてなくなった。同時に竜沢の周囲にあった高い壁も消え去った。

 「勝った。さらばだ迷い道妖怪。もう、会う事も無いだろう。」


 …ていう夢を見たんだけど。どう思う?」
 「どうと言われても…」

昨夜見た迷い道妖怪の夢を淡々と語ってから問い掛ける竜沢に対し、黒点塾に来たことを責められると思っていた鏡は戸惑っていた。まぁその件についてはこの後で怒り出す。

 「朝も早よからアホらしい話ししとるな。」
 「その手が…」

呆れる隆正と、迷い道妖怪攻略のヒントを得た甲であった。
いや、そんな攻略法は無いだろう。
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