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第5章の13「僕は…倒れない!」
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A階段では鏡と利也の戦いが繰り広げられていた。
「いつまでも逃げらんねぇぞ!」
利也の武器が鏡を何度も襲う。辛うじてかわしている鏡の表情に笑みは無い。しかし…
「くっ…腹立つなぁ。」
息をつく暇もないほど攻撃していた利也が、その手を止めた。
「…何でだ?」
鏡を見た後、周囲を見渡す利也。道後達を見ているのではない。空間そのものを見ていた。
「お前の武器は腕…それはもう使えねぇ武器だろ。次に足…得意のフットワークはこんな狭くて足場の悪い所じゃ意味が無ぇ。つまりお前には今何にも無ぇって事だ。なのに…」
利也の言葉を無言で聞いている鏡。その目には光がある。
「何だよ、その目は?」
鏡を正面から睨む利也。
「何でもっと顔を歪めねぇ?何で苦しまねぇ?…何で諦めねぇんだ!」
そして攻撃を再開する為、武器を構えた。
「場凌ぎの足技なんて俺には通用しねぇ…つまりお前は俺に勝てねぇんだよ!…だからもう観念して倒れろよ!そうすりゃ…楽になれるぞ。」
利也の様子がおかしい。鏡は、今までと違う雰囲気を感じ取った。
「…僕を倒せるのは、竜沢くんだけだからです。」
「はぁ?」
「竜沢くん以外に、僕は倒せません。」
「意味分かんねぇ…が、じゃあもう倒れなくてもいいぞ。…立ったまま気絶させてやらぁ!」
利也が左手の武器を投げ、それを左側に避ける鏡目掛けて右手の武器で攻撃する!今までで最も速い動きだった!
「くらえよ!」
「僕は…倒れない!」
左腕を上げ、利也の武器を真正面から前腕で受ける!肉がえぐられる様な痛みに耐え、右腕を下から上へ振り上げる!
「ごぶっ?!」
利也の顎に、鏡の渾身の右アッパーが決まった。顔がひしゃげ、後方に飛ばされる利也。
「がはっ!…な、なん、で…お前、腕…」
床面に倒れ、言葉を絞り出す利也。もう立ち上がれそうもない。
「最後まで取っといたんです。腕がもう上がらないと思っていたあなたを、確実に一発で倒す為にね。」
「だ、だからって、き、傷だらけの…腕で、受け、る…なん…」
「…竜沢くんと会えて僕は変われた。竜沢くんと戦った後、僕はそれまで以上に鍛えました。でもそれは、竜沢くんと会う前とは全然違うものだった。何をするのも楽しくなくて本当につまらない毎日だったのが、あれからは全てが楽しくて…トレーニングももっと楽しくなって…何より、明日が来る事が楽しくてしょうがなかった。」
話しながら倒れている利也に近付いて行く鏡の左腕からは血が滴り落ちていた。しかしその表情は、先程と打って変わって笑顔になっていた。利也はその笑顔に、今まで味わった事の無いもの…何か分からない暖かいもの…その何かを、確かに感じていた。
「竜沢くんは僕にとって最高の人です。竜沢くんは誰よりも強い。僕なんかよりずっと強い。そしてあなたは絶対に竜沢くんに勝てない。僕を倒せなかったのが、その証拠です。」
「う…うう…」
利也の目に、誇らしげな表情をした鏡が映る。
「…あなたは僕と似てます。けど、大きく違うところがある。…それは竜沢くんと出会えなかったこと。それに尽きます。」
鏡は竜沢と出会った時の事を思い浮かべていた。その後、甲や隆正、七月、学美、そして流香の顔を思い浮かべる。
「そして、竜沢くんと似てるところもあります。ただ…あなたは仲間を作ろうとしなかった。彼らはあなたの為に自分を犠牲にして戦ったのに、それに気付けない。気付こうとしなかった。そこが…あなたと竜沢くんとの大きな違い。そして、それら全てがあなたの敗因です。」
実際、鏡の両腕はかなりのダメージを負っていた。それでも動かす事が出来たのは、竜沢への思い。
甲の拳、隆正の足、鏡の腕…竜沢への思いは力となり、強さとなる。
「か…は………」
利也は横で倒れている道後達を見た後、気を失った。
「…ふぅ。さて、と。」
鏡は息を吐き、左腕を押さえながら階段を上り始めた。
「竜沢くんを追いますか。…あ、あれ?」
ふら付き、階段の手すりにもたれ掛かる鏡。
「おかしい…ですね。うまく歩けないな。」
三階の方を見上げる鏡。
「今、行きますよ…竜沢くん。」
その思いとは逆に、鏡の両膝は力を無くし、ガクッと崩れ落ちそうになった。
〝鏡、ゆっくりでいいからな………待ってるからな〟
鏡の脳裏に別れ際の竜沢の顔が浮かび、最後に竜沢の心の内が聞こえた気がした。
「…!」
踏みとどまる鏡。そして自分の右腕で左腕を強めに握った。
「ぐっ!」
その痛みで意識を保つ鏡。
「竜沢くんが待ってる…僕は、竜沢くんの所へ行くんです。」
鏡は、一歩ずつ確実に階段を上がって行く。
塾長専用トレーニングルームでは、竜沢とブラックマスクの戦いが熾烈を極めていた。
「はーっはっはっはぐぐっ!」
「ぐぶぅおっ!」
ブラックマスクの右拳を顔面に受けながら殴り返す竜沢。ほとんどの攻撃がカウンター気味にブラックマスクに当たる。竜沢の顔の傷は急速に治るが、ブラックマスクのダメージは残る。仮面を被っている為見た目には分かりづらいが、仮面の下はもう傷だらけである。
「ふぉおう!」
ブラックマスクの回し蹴りが竜沢にクリーンヒット。しかし、その攻撃の威力を利用して一回転した竜沢は、一瞬で間合いを詰めてブラックマスクの脇腹に蹴りをヒットさせる。
「がぐぅ?!」
「くっくくっ!はーはっはっはぁ!」
よろけたブラックマスクに対し、真っ直ぐ突っ込んで右の拳を顔面にぶち込む竜沢。そのまま連続で膝蹴りを腹部に当てる。竜沢の攻撃はスピードも格段に上がっていた。
吹っ飛んで倒れるブラックマスク。
「ぬ…ぬぅぅうん!」
何かに憑りつかれた様に立ち上がるブラックマスクの眼前に、竜沢の凶悪な顔があった。既に近距離まで詰めていたのだ。
「くあっははははっ!」
「ぐごぉお!」
突っ込んで来た勢いそのままの頭突きを額にくらい、後方に倒れるブラックマスク。更に、倒れたブラックマスクの腹部目掛けて竜沢の膝が落ちて来る。
「うぉお?!」
咄嗟に横に転がって竜沢の膝をかわしたブラックマスクだが、床面に膝を強打したというのに怯む事無く直ぐに体を捻り、ブラックマスクの顔面に拳を落として来る竜沢。ブラックマスクはもう一度回転してこれをかわすが、竜沢はそれを追って何度も拳で殴りつけてくる。ブラックマスクは回転の速さを上げて転がり、拳をかわしながら立ち上がった。竜沢は拳を複数回床面に強打したにも関わらず、間髪入れずに立ち上がったブラックマスクとの間合いを詰める飛び蹴りを、笑いながら放つ。
〝な、なんて化け物だ!なんて…ば、化け…物?〟
ブラックマスクの脳裏に黒い闇が浮かんだ。闇が身体を包んで行く…
「鳴尾(なるお)、復讐しろ。」
大柄の男が、鳴尾という男に言う。
「お前を地獄に落とした奴に復讐するんだ。」
「復讐…」
「そうだ。お前の夢を潰すと分かっていたのに、奴はやめなかった。」
「う、うう…」
鳴尾は頭を抱えた。
「あ、あいつは俺の親友…だ。」
「親友?じゃあ何故お前の夢を潰した。」
「ぐ、うう…!」
「親友の夢を潰すのが親友かね?じゃあどうだろう。次はお前が親友の夢を潰してやる、というのは。」
「何…?」
「お前が受けた苦しみを奴にも味わってもらうんだ。そうすれば分かるよ、お前の苦しみ…夢を潰された痛みが。そうすれば本当の親友になれるんじゃないか?どうだ?」
男は黒い仮面を鳴尾に渡す。
「こ、これは…」
「奴は白い仮面を被った化け物だ。化け物は普通の人間には倒せない。お前はこの黒い仮面を被り、黒い化け物となって奴の夢を潰すんだ。」
「化け物…ゆ、夢…」
「そうだ。川波鏡という、奴の大事な夢を…な。」
…ハッとするブラックマスク。向かって来る竜沢が視界に入る。
「ふわっはっはっはぁ!」
「うおお!」
辛うじて竜沢の飛び蹴りをかわすブラックマスクだったが、竜沢は着地した瞬間に右の拳をブラックマスクの顔にヒットさせた。更にもう一発。
「むうぉう!」
たまらず両手で顔を覆うブラックマスクだが、次はガラ空きの腹部に竜沢の蹴りが決まる。
竜沢の動きは全く止まらない。攻撃力も衰えない。スピードは上がってきている。いつまでも続く攻撃に、ブラックマスクは苦しんでいた。中でもブラックマスクを一番追い詰めていたのは…
〝傷が無い。治っている、のか?〟
攻撃のヒット数はほぼ互角。だが竜沢にはダメージが無い…そう感じていた。
ブラックマスクの攻撃力は徐々に下がっている。スピードも落ちてきている。傷も増え、痛みの箇所が分からないぐらいであった。黒い仮面も所々破れていた。
〝負ける…か。もう、それもいいだろう〟
ブラックマスクはこの時、どこかホッとしている自分を感じた。破れる仮面と同調するかの様に、心の闇が消えていく…そんな気がしていた。しかし…
〝復讐しろ〟
利住が言う。
〝復讐しろ〟
利也が言う。
そしてブリオが、フォーターが、ゴンザ、森林、黒房、鶴野、道後……
〝復讐しろ〟
最後に深雪が言う。
「…ふ、ふおおおおおおおおおおお!」
心の闇を消す事など…黒い仮面は許さない。
「いつまでも逃げらんねぇぞ!」
利也の武器が鏡を何度も襲う。辛うじてかわしている鏡の表情に笑みは無い。しかし…
「くっ…腹立つなぁ。」
息をつく暇もないほど攻撃していた利也が、その手を止めた。
「…何でだ?」
鏡を見た後、周囲を見渡す利也。道後達を見ているのではない。空間そのものを見ていた。
「お前の武器は腕…それはもう使えねぇ武器だろ。次に足…得意のフットワークはこんな狭くて足場の悪い所じゃ意味が無ぇ。つまりお前には今何にも無ぇって事だ。なのに…」
利也の言葉を無言で聞いている鏡。その目には光がある。
「何だよ、その目は?」
鏡を正面から睨む利也。
「何でもっと顔を歪めねぇ?何で苦しまねぇ?…何で諦めねぇんだ!」
そして攻撃を再開する為、武器を構えた。
「場凌ぎの足技なんて俺には通用しねぇ…つまりお前は俺に勝てねぇんだよ!…だからもう観念して倒れろよ!そうすりゃ…楽になれるぞ。」
利也の様子がおかしい。鏡は、今までと違う雰囲気を感じ取った。
「…僕を倒せるのは、竜沢くんだけだからです。」
「はぁ?」
「竜沢くん以外に、僕は倒せません。」
「意味分かんねぇ…が、じゃあもう倒れなくてもいいぞ。…立ったまま気絶させてやらぁ!」
利也が左手の武器を投げ、それを左側に避ける鏡目掛けて右手の武器で攻撃する!今までで最も速い動きだった!
「くらえよ!」
「僕は…倒れない!」
左腕を上げ、利也の武器を真正面から前腕で受ける!肉がえぐられる様な痛みに耐え、右腕を下から上へ振り上げる!
「ごぶっ?!」
利也の顎に、鏡の渾身の右アッパーが決まった。顔がひしゃげ、後方に飛ばされる利也。
「がはっ!…な、なん、で…お前、腕…」
床面に倒れ、言葉を絞り出す利也。もう立ち上がれそうもない。
「最後まで取っといたんです。腕がもう上がらないと思っていたあなたを、確実に一発で倒す為にね。」
「だ、だからって、き、傷だらけの…腕で、受け、る…なん…」
「…竜沢くんと会えて僕は変われた。竜沢くんと戦った後、僕はそれまで以上に鍛えました。でもそれは、竜沢くんと会う前とは全然違うものだった。何をするのも楽しくなくて本当につまらない毎日だったのが、あれからは全てが楽しくて…トレーニングももっと楽しくなって…何より、明日が来る事が楽しくてしょうがなかった。」
話しながら倒れている利也に近付いて行く鏡の左腕からは血が滴り落ちていた。しかしその表情は、先程と打って変わって笑顔になっていた。利也はその笑顔に、今まで味わった事の無いもの…何か分からない暖かいもの…その何かを、確かに感じていた。
「竜沢くんは僕にとって最高の人です。竜沢くんは誰よりも強い。僕なんかよりずっと強い。そしてあなたは絶対に竜沢くんに勝てない。僕を倒せなかったのが、その証拠です。」
「う…うう…」
利也の目に、誇らしげな表情をした鏡が映る。
「…あなたは僕と似てます。けど、大きく違うところがある。…それは竜沢くんと出会えなかったこと。それに尽きます。」
鏡は竜沢と出会った時の事を思い浮かべていた。その後、甲や隆正、七月、学美、そして流香の顔を思い浮かべる。
「そして、竜沢くんと似てるところもあります。ただ…あなたは仲間を作ろうとしなかった。彼らはあなたの為に自分を犠牲にして戦ったのに、それに気付けない。気付こうとしなかった。そこが…あなたと竜沢くんとの大きな違い。そして、それら全てがあなたの敗因です。」
実際、鏡の両腕はかなりのダメージを負っていた。それでも動かす事が出来たのは、竜沢への思い。
甲の拳、隆正の足、鏡の腕…竜沢への思いは力となり、強さとなる。
「か…は………」
利也は横で倒れている道後達を見た後、気を失った。
「…ふぅ。さて、と。」
鏡は息を吐き、左腕を押さえながら階段を上り始めた。
「竜沢くんを追いますか。…あ、あれ?」
ふら付き、階段の手すりにもたれ掛かる鏡。
「おかしい…ですね。うまく歩けないな。」
三階の方を見上げる鏡。
「今、行きますよ…竜沢くん。」
その思いとは逆に、鏡の両膝は力を無くし、ガクッと崩れ落ちそうになった。
〝鏡、ゆっくりでいいからな………待ってるからな〟
鏡の脳裏に別れ際の竜沢の顔が浮かび、最後に竜沢の心の内が聞こえた気がした。
「…!」
踏みとどまる鏡。そして自分の右腕で左腕を強めに握った。
「ぐっ!」
その痛みで意識を保つ鏡。
「竜沢くんが待ってる…僕は、竜沢くんの所へ行くんです。」
鏡は、一歩ずつ確実に階段を上がって行く。
塾長専用トレーニングルームでは、竜沢とブラックマスクの戦いが熾烈を極めていた。
「はーっはっはっはぐぐっ!」
「ぐぶぅおっ!」
ブラックマスクの右拳を顔面に受けながら殴り返す竜沢。ほとんどの攻撃がカウンター気味にブラックマスクに当たる。竜沢の顔の傷は急速に治るが、ブラックマスクのダメージは残る。仮面を被っている為見た目には分かりづらいが、仮面の下はもう傷だらけである。
「ふぉおう!」
ブラックマスクの回し蹴りが竜沢にクリーンヒット。しかし、その攻撃の威力を利用して一回転した竜沢は、一瞬で間合いを詰めてブラックマスクの脇腹に蹴りをヒットさせる。
「がぐぅ?!」
「くっくくっ!はーはっはっはぁ!」
よろけたブラックマスクに対し、真っ直ぐ突っ込んで右の拳を顔面にぶち込む竜沢。そのまま連続で膝蹴りを腹部に当てる。竜沢の攻撃はスピードも格段に上がっていた。
吹っ飛んで倒れるブラックマスク。
「ぬ…ぬぅぅうん!」
何かに憑りつかれた様に立ち上がるブラックマスクの眼前に、竜沢の凶悪な顔があった。既に近距離まで詰めていたのだ。
「くあっははははっ!」
「ぐごぉお!」
突っ込んで来た勢いそのままの頭突きを額にくらい、後方に倒れるブラックマスク。更に、倒れたブラックマスクの腹部目掛けて竜沢の膝が落ちて来る。
「うぉお?!」
咄嗟に横に転がって竜沢の膝をかわしたブラックマスクだが、床面に膝を強打したというのに怯む事無く直ぐに体を捻り、ブラックマスクの顔面に拳を落として来る竜沢。ブラックマスクはもう一度回転してこれをかわすが、竜沢はそれを追って何度も拳で殴りつけてくる。ブラックマスクは回転の速さを上げて転がり、拳をかわしながら立ち上がった。竜沢は拳を複数回床面に強打したにも関わらず、間髪入れずに立ち上がったブラックマスクとの間合いを詰める飛び蹴りを、笑いながら放つ。
〝な、なんて化け物だ!なんて…ば、化け…物?〟
ブラックマスクの脳裏に黒い闇が浮かんだ。闇が身体を包んで行く…
「鳴尾(なるお)、復讐しろ。」
大柄の男が、鳴尾という男に言う。
「お前を地獄に落とした奴に復讐するんだ。」
「復讐…」
「そうだ。お前の夢を潰すと分かっていたのに、奴はやめなかった。」
「う、うう…」
鳴尾は頭を抱えた。
「あ、あいつは俺の親友…だ。」
「親友?じゃあ何故お前の夢を潰した。」
「ぐ、うう…!」
「親友の夢を潰すのが親友かね?じゃあどうだろう。次はお前が親友の夢を潰してやる、というのは。」
「何…?」
「お前が受けた苦しみを奴にも味わってもらうんだ。そうすれば分かるよ、お前の苦しみ…夢を潰された痛みが。そうすれば本当の親友になれるんじゃないか?どうだ?」
男は黒い仮面を鳴尾に渡す。
「こ、これは…」
「奴は白い仮面を被った化け物だ。化け物は普通の人間には倒せない。お前はこの黒い仮面を被り、黒い化け物となって奴の夢を潰すんだ。」
「化け物…ゆ、夢…」
「そうだ。川波鏡という、奴の大事な夢を…な。」
…ハッとするブラックマスク。向かって来る竜沢が視界に入る。
「ふわっはっはっはぁ!」
「うおお!」
辛うじて竜沢の飛び蹴りをかわすブラックマスクだったが、竜沢は着地した瞬間に右の拳をブラックマスクの顔にヒットさせた。更にもう一発。
「むうぉう!」
たまらず両手で顔を覆うブラックマスクだが、次はガラ空きの腹部に竜沢の蹴りが決まる。
竜沢の動きは全く止まらない。攻撃力も衰えない。スピードは上がってきている。いつまでも続く攻撃に、ブラックマスクは苦しんでいた。中でもブラックマスクを一番追い詰めていたのは…
〝傷が無い。治っている、のか?〟
攻撃のヒット数はほぼ互角。だが竜沢にはダメージが無い…そう感じていた。
ブラックマスクの攻撃力は徐々に下がっている。スピードも落ちてきている。傷も増え、痛みの箇所が分からないぐらいであった。黒い仮面も所々破れていた。
〝負ける…か。もう、それもいいだろう〟
ブラックマスクはこの時、どこかホッとしている自分を感じた。破れる仮面と同調するかの様に、心の闇が消えていく…そんな気がしていた。しかし…
〝復讐しろ〟
利住が言う。
〝復讐しろ〟
利也が言う。
そしてブリオが、フォーターが、ゴンザ、森林、黒房、鶴野、道後……
〝復讐しろ〟
最後に深雪が言う。
「…ふ、ふおおおおおおおおおおお!」
心の闇を消す事など…黒い仮面は許さない。
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