高貴なオメガは、ただ愛を囁かれたい【本編完結】

きど

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第二十二話

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「んっ…ふあっ」

可愛いことを言うヴィルの唇に俺の唇を重ね、深く口付けをする。するとそれに反応する様にまだ繋がったままの結合部が締め付けられ、ヴィルの中にいる俺の屹立がぴくりと反応する。

「っ。次の発情期には必ずここを噛むね。」

「…うん。でも次の発情期は、シャロル王子の誕生日パーティーの後になると思う」

ネックガードをしているヴィルのうなじを指で撫でながら伝えれば、ヴィルが物憂げに返す。ヴィルの発情期の周期は2ヶ月に1回で期間は通常ならば7日間だが、アルファに抱かれれば3日程で収まる。それにヴィルが成長し周期が安定してからは、規則的にきていることを考えると、次の発情期はヴィルの言う通りシャロル王子の誕生日会の後になる。

「絶対にヴィルをシャロル王子に嫁がせないから安心して。ヴィルと番になるのは俺だから」

「でも…出来るの?」

「うん。俺に任せて。…やっぱり、ここを今すぐ噛んでいい?」

相手はあのリドール帝国となると一筋縄ではいかないだろうが、打開策がない訳ではない。俺はヴィルを手放す気は毛頭ないことを口だけでなく行動で示せば、すこしはヴィルの不安も和らぐだろうかと思いヴィルの頸に触れて聞く。

「ちょっとアーシュ。今は発情期じゃないから噛んでも意味がない」

「今はまだ番にはなれないけど、ヴィルはもう俺のものだという印をつけたい」

「アーシュ…。噛んでいいよ」

俺の返答を聞いてヴィルが照れた様に言いながら、また結合部が締め付けられたので俺自身に熱が集まり始める。俺の体が反応していることをヴィルに悟られない様にして、ヴィルのネックガードの南京錠の鍵を差し込む。この鍵は俺以外の誰かの手に渡ることがない様にネックレスチェーンに通し、俺の首にかけている。いつも肌身離さず持っているから、こういう時でも開錠が出来る。

「あっ」

ネックガードを外した首の前面を柔らかく撫でると抱かれたばかりの敏感な体はピクリと反応し甘い声を上げる。
体を繋げたままヴィルの体を横向きにし、そのまま背後から抱き抱える。

「んっ、アーシュ。早く」

発情期の時につけたキスマークが散る背中を指でなぞるとヴィルの体がびくりと反応し、中も俺を絞り取る様にうねる。それを自分でも分かったのか耳を真っ赤にしながら、俺を促す。

「ああ、ごめん。つい。
少し痛いだろうから痛かったら俺の手を思い切り握って」

「うん」

ヴィルの体に背後から腕を回し、手を繋いで指を絡める。握り合う掌からヴィルの緊張を感じながら、白い綺麗な頸に歯を立てた。

「いっ…」

「っ!」

「え?」

噛まれた痛みを耐える様にヴィルが小さく声を漏らし体を固くすると、まだ繋がっている俺自身も当然、刺激を受ける。小さな刺激が積み重なり最後の決定打を受けた俺の屹立はヴィルの中で硬さを取り戻し脈打ち始める。それにヴィルが困惑した様に声をあげる。俺が頸から口を離せば白い頸に赤く充血した噛み跡がくっきりついている。
独占欲が満たされるのを感じ、噛み跡をなぞる様に舌を這わせる。

「ひあっ、アーシュ何してっやぁ」

「俺のこんな風になっちゃったから、もう一回だけ付き合って」

「あっ…待って、んあっ」

焦った様に声をあげるヴィルの体の奥に触れる様に腰を動かし快感を与えればヴィルは甘く啼く。ヴィルの制止を聞かないふりをして深く穿てば、俺たちは二人の意識はまた快感の中で溶け合っていくのだった。

* * *
深夜の静寂の中、夜空に浮かぶ月の光で青白く照らされた屋敷の廊下を歩くと、自分の足音だけが虚しく響く。
結局一回だけでは終わらず欲望のまま求めた結果、ヴィルは意識を飛ばしてしまった。ヴィルが目覚めるのを待ってから帰宅したのでこの時間になった。父親にリドール帝国との婚姻の件について、はやく話しをしたかったが流石に夜分遅くに父親の私室に伺うのは憚れた。なのでそのまま自分の部屋に向かい扉を開くと

「随分遅かったなアーシュレイ。お前にヴィルム殿下の事について話がある。」

俺を待っていたらしい父にそう告げられる。
その表情は厳つく、よい話ではないことは分かった。






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