今日もまた孤高のアルファを、こいねがう

きど

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第十四話 ※無理矢理描写あり

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シャロルが俺の首筋に唇を這わすと船酔いのような不快感に襲われる。きっと番以外のアルファのフェロモンを体が拒否しているのだろう。

「やだっ、いやだっ!触んな!」

シャロルの肩を押し返して拒否したが、シャロルに両手を押さえつけられた。

「居なくなった番に操をたてているのか?…腹立たしい」

シャロルが睨みつけるように俺を見る。その目には、俺に対する怒りがありありと浮かんでいた。
シャロルの言う番は、先日亡くなった子爵のことだろう。
でも、俺の番は子爵じゃない。
それに、番に操を立てるなんて有り得ない。望んで番になったんじゃない。
でも、シャロルにそれを知られる訳にはいかないんだ、絶対に。

「分かってるなら、離せ…んっん"」

拒否する言葉は、シャロルの唇に遮られ飲み込まれる。
シャロルの舌が俺の唇を割って入ろうとするが、俺はキスを受け入れないように固く口を引き結ぶ。
そんなことでシャロルが引き下がるはずがなく、キスをしながら俺の鼻を指で摘んだ。

「んっ、ふっ…んあっ」

息苦しさに口を開いてしまい、シャロルの舌が俺の口腔に侵入してくる。舌を絡め取られ、上顎を舌先でくすぐられる。
口内をくすぐられ腹の底が甘く疼いたすぐ後に胃の方から何かせり上がってきそうになる。
胃の中身が逆流してくる寸前の所で、シャロルの舌に噛みつき、顔を背ける。

「っ!」

「おぇっ…ん"っ」

胃をひっくり返したような勢いで中身が口から飛び出す。顔を背けたお陰で、シャロルには掛からなかったが、上質なソファを汚しポタポタと床まで広がる。
吐いたものが胃液だけだったのが、唯一の救いだった。
一度吐き戻しただけでは胃の痙攣は治まらず、コポッと空気だけが口から出て止まらない。

「拒絶反応か…」

俺の姿を見兼ねたのかシャロルが、俺の体を起こし背中をさする。
でもシャロルからフェロモンが出続けているのか、シャロルが動く度に吐き気は強くなっていく。

「うぷっ…離れて…」

フェロモンの影響を受けないように、シャロルの体を押し返す。
吐き気が強すぎてシャロルがどんな表情をしているか見る余裕なんてなかった。

「嫌だ。お前の体が…リディが番以外を拒絶しても、私はお前を抱く」

「ふざっ…んっ、拒絶…反応がでてっ、んっ…無理なん…ふっ」

吐いている人間を抱くなんて正気を疑ってしまう。身を捩りなんとかシャロルから距離を取ろうとした。しかしシャロルに抱きすくめられ身動きが取れなくなる。
そして、また唇を塞がれ深いキスをされる。酸っぱくなっていた口に、鉄の味が混ざって、さらに不味くなった。
互いの舌先が触れ合うと、鉄の味が強くなっていく。きっと、さっき噛んだ時にシャロルの舌が切れたのだろう。

血の味に気を取られていたら、シャロルの手がお仕着せのシャツを託しあげる。

「やっ、んっ、やめっ」

俺の制止の声なんて無視して、背中に指が直接触れる。柔らかく撫でられ、甘い刺激に全身が粟立つ。

「んっ、やぁっ…やだっ」

シャロルの腕の中でもがいても、腕の力は緩まる気配などない。それどころか、行為はどんどん進んでいく。
体の前面はピタリとくっついているから、背中を撫でる手は首筋に移動する。

「ひあっ…いたっ、んぷっ…やめっ」

頸の噛み跡を確認するように指が動く。噛み跡を一巡すると、思い切り爪を立てられる。抉る勢いで引っ掻かれ、痛みに声が上がった。
俺の体を撫でるシャロルのフェロモンがどんどん濃くなっていることを、吐き気が強くなることで知る。
恋しかったフェロモンの匂いを感じることは出来ないのに、こんな形でフェロモンを感じるなんて…想像もしていなかった。

「お前と番の絆を消すには、噛み跡を抉り取ればいい?それとも、焼き消せばいい?」

シャロルが切なそうに俺の耳元で囁く。

-番った事実がなくなるなら、どんな方法だっていい。

それが嘘偽りのない本心。
でも、拒絶反応で上手く回らない頭を回転させ

「んっ。どっちにしろ…無意味だろ」

と吐き捨てる。
噛み跡を除去しても番は解消されない。そんな方法は、まだ見つかっていないだろうと。
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