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【始まりを告げる音】②
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「…予告まで後一分、か。皆、『Doll Master』は今までの誘拐犯よりも段違いの強敵だ!!心して掛かれよ!」
その一声に警察の面々は深く頷き、母親と父親は、娘を庇うように身を固くする。
チク、タク、チク、タク…
緊張の中で無情にも時計の針は進んでいき、遂に丑三つ時――午前2時半を指した。
「予告の時間だ!!」
警部の声と共に、皆に緊張が走る。そして、正に予告時間になった途端、家中の明かりが消えた。
「あ、明かりがっ!」
「きゃぁぁ!」
「慌てないで下さい!B班、早く非常灯をつけろ!」
思わずパニックになる両親へ鋭く叫び、無線に向け命令するも雑音が聞こえるだけでB班からの応答はない。他の警官も数度呼び掛けるが、結果は変わらなかった。
「B班、応答しろ!B班!!くそっ、やられたか…っ!?」
りぃ…ん、りぃ…ん
そんな真っ暗闇の中、何処からか、澄んだ鈴の音が聞こえた。次の瞬間、扉に一番近い警官が突然硬直し一斉に倒れる。
「今度は何だっ!?」
「いやぁぁぁ!!」
「落ち着け!!A班は、御両親と御令嬢を守れ!」
警部の号令で、残った警官が娘と両親を取り囲むように配置につく。全員の視線が、扉に向いた。
「さて、私のお姫様はいらっしゃるかな?」
そんな緊迫する状況の中、軽いノックと共にドア越しなのに不思議と耳にするりと入る低く甘い声が響いた。
一瞬の間の後、扉がひとりでに開き、一人の男が音もなく入って来る。
「ああ、ここにいらっしゃいましたか。ふふふ…お迎えにあがりましたよ、『天使の美声』」
目元を隠した仮面を付け、真っ黒なスーツを着た金髪の男――『Doll Master』は、さも楽しげに言った。その楽しげに、しかし獲物を見詰める眼に恐怖した娘は短い悲鳴を上げた。
「い、嫌ぁっ!」
「大丈夫ですよ!我々が御守りします」
「クスクス…あぁ、やはりいい声だ。怯えていてもその美声は失われていない。やはり私のコレクションに相応しい」
恍惚と娘を見ながら言う『Doll Master』に、その場にいる全員が総毛立った。そんな中、現場責任者でもある警部がいち早く我に返り、『Doll Master』を強く睨み付ける。
「貴様が『Doll Master』だな?今日こそは逮捕してやる!皆、相手は一人だ、数人で掛かれば取り押さえられる!確保!!」
「「はい!!」」
警部の叫ぶ声に自分を取り戻した警官達は、護衛の警官を数人残して『Doll Master』に飛び掛かった。
「…ふぅ。風情がないですねぇ。私はあなた方に構ってる暇はないんですよ」
一対多数。誰もが組伏せられた男の姿を思い浮かべた。しかし、当の『Doll Master』は特に焦りもせず、おもむろに手を前に突き出すように翳す。
りぃ…ん
「何ぃっ!?」
「がっ…」
「ぐっ…」
「う、動けない…っ!!」
先程と同じく澄んだ鈴の音と共に、警官が硬直し倒れた。倒れた警官は意識はあるようだが、体か動かないのか苦しそうにしている。
「ふふふ…」
その側を、悠然と通り抜ける『Doll Master』。そして、突然の出来事に硬直する両親を前に、実に優雅に礼をした。
「ああ…『天使の美声』を今宵まで育てて頂き、ありがとうございました。あなた方には感謝していますよ。さて…『天使の美声』を素直に渡して頂けませんか?」
「何を…何をたわけた事を!娘は私たちの宝、貴様なんぞに絶対に渡さんぞ!!」
「そうよ!亜久梨は連れていかせない!!」
その言葉に、父親が恐怖も忘れて反論し、母親もしっかりと我が子を抱きしめる。
その一声に警察の面々は深く頷き、母親と父親は、娘を庇うように身を固くする。
チク、タク、チク、タク…
緊張の中で無情にも時計の針は進んでいき、遂に丑三つ時――午前2時半を指した。
「予告の時間だ!!」
警部の声と共に、皆に緊張が走る。そして、正に予告時間になった途端、家中の明かりが消えた。
「あ、明かりがっ!」
「きゃぁぁ!」
「慌てないで下さい!B班、早く非常灯をつけろ!」
思わずパニックになる両親へ鋭く叫び、無線に向け命令するも雑音が聞こえるだけでB班からの応答はない。他の警官も数度呼び掛けるが、結果は変わらなかった。
「B班、応答しろ!B班!!くそっ、やられたか…っ!?」
りぃ…ん、りぃ…ん
そんな真っ暗闇の中、何処からか、澄んだ鈴の音が聞こえた。次の瞬間、扉に一番近い警官が突然硬直し一斉に倒れる。
「今度は何だっ!?」
「いやぁぁぁ!!」
「落ち着け!!A班は、御両親と御令嬢を守れ!」
警部の号令で、残った警官が娘と両親を取り囲むように配置につく。全員の視線が、扉に向いた。
「さて、私のお姫様はいらっしゃるかな?」
そんな緊迫する状況の中、軽いノックと共にドア越しなのに不思議と耳にするりと入る低く甘い声が響いた。
一瞬の間の後、扉がひとりでに開き、一人の男が音もなく入って来る。
「ああ、ここにいらっしゃいましたか。ふふふ…お迎えにあがりましたよ、『天使の美声』」
目元を隠した仮面を付け、真っ黒なスーツを着た金髪の男――『Doll Master』は、さも楽しげに言った。その楽しげに、しかし獲物を見詰める眼に恐怖した娘は短い悲鳴を上げた。
「い、嫌ぁっ!」
「大丈夫ですよ!我々が御守りします」
「クスクス…あぁ、やはりいい声だ。怯えていてもその美声は失われていない。やはり私のコレクションに相応しい」
恍惚と娘を見ながら言う『Doll Master』に、その場にいる全員が総毛立った。そんな中、現場責任者でもある警部がいち早く我に返り、『Doll Master』を強く睨み付ける。
「貴様が『Doll Master』だな?今日こそは逮捕してやる!皆、相手は一人だ、数人で掛かれば取り押さえられる!確保!!」
「「はい!!」」
警部の叫ぶ声に自分を取り戻した警官達は、護衛の警官を数人残して『Doll Master』に飛び掛かった。
「…ふぅ。風情がないですねぇ。私はあなた方に構ってる暇はないんですよ」
一対多数。誰もが組伏せられた男の姿を思い浮かべた。しかし、当の『Doll Master』は特に焦りもせず、おもむろに手を前に突き出すように翳す。
りぃ…ん
「何ぃっ!?」
「がっ…」
「ぐっ…」
「う、動けない…っ!!」
先程と同じく澄んだ鈴の音と共に、警官が硬直し倒れた。倒れた警官は意識はあるようだが、体か動かないのか苦しそうにしている。
「ふふふ…」
その側を、悠然と通り抜ける『Doll Master』。そして、突然の出来事に硬直する両親を前に、実に優雅に礼をした。
「ああ…『天使の美声』を今宵まで育てて頂き、ありがとうございました。あなた方には感謝していますよ。さて…『天使の美声』を素直に渡して頂けませんか?」
「何を…何をたわけた事を!娘は私たちの宝、貴様なんぞに絶対に渡さんぞ!!」
「そうよ!亜久梨は連れていかせない!!」
その言葉に、父親が恐怖も忘れて反論し、母親もしっかりと我が子を抱きしめる。
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