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【始まりを告げる音】③
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そんな両親の様子に、『Doll Master』は一つため息をついて、それから怪しい笑みを浮かべた。
「仕方ありませんね。貴方たちが渡さないと言うなら…『天使の美声』から、こちらへ来てもらいましょうか…」
そして、先程と同様に手を前に突き出す。
りぃ…ん。
すると、また何処かから鈴の音が聞こえた。それと共に、母親の腕の中で震えていた娘がびくりと震え、急に立ち上がる。
「私…行かなくちゃ…」
そして、縋り付く母親の手を振り払い、何処かぼんやりした瞳で『Doll Master』の方へ歩き出す。
「ま、待って…!!」
「っ…急にどうしたんだ!」
「そっちに行っちゃいかん!くそっ、貴様…御令嬢に何をした!?」
娘の急な変化に、両親と警察は『Doll Master』を睨み付ける。が、『Doll Master』は不敵な笑みを浮かべたまま、事もなげに告げた。
「別に?あなた方が素直に渡してくれないので、『天使の美声』に直接来てもらう事にしたまでです。さぁ…いらっしゃい」
「………」
『Doll Master』の声に誘われるように、娘はゆっくりと近づいて行く。護衛に残った警官も必死に止めようと、或いは『Doll Master』を確保しようと行動するが、『Doll Master』が指を鳴らした瞬間に他の警官達と同様に硬直し倒れてしまった。
「いやぁ!行かないで!」
「待て!行くな!!」
それを阻止しようと両親は手を伸ばすが、またもや響く指の音に身体の動きを封じられてしまった。苦しげに倒れ伏す両親が見えていないはずがないだろうに、娘はやはりぼんやりとした顔で歩いていく。
そして、『Doll Master』のもとまで歩いて行くと、まるで糸の切れた人形の様にがくりと『Doll Master』に倒れ込んだ。
「ああ!」
「亜久梨!!」
両親の叫ぶ声の中、娘を軽々と抱き抱え、『Doll Master』は優雅に笑った。
「ふふふ…確かに『天使の美声』は頂きました。それでは皆さん、ご機嫌よう」
そして、娘を抱き抱えたまま踵を返して歩き出す。
「Good night,baby…And Welcome…My,『New DOOL』」
そう呟き、『Doll Master』が扉をくぐり抜けた途端、扉がひとりでに閉まって行く。
「待て!くそっ、誰か動ける者はいないのか!?」
「亜久梨ー!!いやぁぁ!」
「ま、待て!行くな、行かないでくれ!!」
ギィィ…バタン。
そんな両親たちの嘆く声を尻目に、扉は無情にもゆっくり閉まっていった。
その後、『天使の美声』と謡われた一人の有名な歌姫が、世間から姿を消した。
◆◆◆◆
「仕方ありませんね。貴方たちが渡さないと言うなら…『天使の美声』から、こちらへ来てもらいましょうか…」
そして、先程と同様に手を前に突き出す。
りぃ…ん。
すると、また何処かから鈴の音が聞こえた。それと共に、母親の腕の中で震えていた娘がびくりと震え、急に立ち上がる。
「私…行かなくちゃ…」
そして、縋り付く母親の手を振り払い、何処かぼんやりした瞳で『Doll Master』の方へ歩き出す。
「ま、待って…!!」
「っ…急にどうしたんだ!」
「そっちに行っちゃいかん!くそっ、貴様…御令嬢に何をした!?」
娘の急な変化に、両親と警察は『Doll Master』を睨み付ける。が、『Doll Master』は不敵な笑みを浮かべたまま、事もなげに告げた。
「別に?あなた方が素直に渡してくれないので、『天使の美声』に直接来てもらう事にしたまでです。さぁ…いらっしゃい」
「………」
『Doll Master』の声に誘われるように、娘はゆっくりと近づいて行く。護衛に残った警官も必死に止めようと、或いは『Doll Master』を確保しようと行動するが、『Doll Master』が指を鳴らした瞬間に他の警官達と同様に硬直し倒れてしまった。
「いやぁ!行かないで!」
「待て!行くな!!」
それを阻止しようと両親は手を伸ばすが、またもや響く指の音に身体の動きを封じられてしまった。苦しげに倒れ伏す両親が見えていないはずがないだろうに、娘はやはりぼんやりとした顔で歩いていく。
そして、『Doll Master』のもとまで歩いて行くと、まるで糸の切れた人形の様にがくりと『Doll Master』に倒れ込んだ。
「ああ!」
「亜久梨!!」
両親の叫ぶ声の中、娘を軽々と抱き抱え、『Doll Master』は優雅に笑った。
「ふふふ…確かに『天使の美声』は頂きました。それでは皆さん、ご機嫌よう」
そして、娘を抱き抱えたまま踵を返して歩き出す。
「Good night,baby…And Welcome…My,『New DOOL』」
そう呟き、『Doll Master』が扉をくぐり抜けた途端、扉がひとりでに閉まって行く。
「待て!くそっ、誰か動ける者はいないのか!?」
「亜久梨ー!!いやぁぁ!」
「ま、待て!行くな、行かないでくれ!!」
ギィィ…バタン。
そんな両親たちの嘆く声を尻目に、扉は無情にもゆっくり閉まっていった。
その後、『天使の美声』と謡われた一人の有名な歌姫が、世間から姿を消した。
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