Doll Master

亜黒

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【Doll Master】

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◆◆◆◆

ああ、今夜は静かな良い夜ですね。
 
さて、準備も整いましたし…
 
今、お迎えに上がりますよ―― 

『Doll』
 
◆◆◆◆





 普段は常連のみが訪れる、大人な雰囲気のBar――『colorful』。カップルで、あるいは一人でそれぞれの時間を過ごす空間。客は相手との会話を楽しんだり、サプライズ好きでお茶目なマスターの企画するショーを楽しみに訪れる…それが今日は少し違った空気を放っていた。 

「ほ、本当なんですか?久神君が『Doll Master』とかいう誘拐犯に狙われてるっていうのは?しかも、今回のショーの終わりと同時に?」
 
困惑ぎみなマスターに、事情を説明した警部が真剣な顔で頷いた。
 
「はい。…本当はきちんとこちらの保護を受けてもらおうと思っていたんですが、本人がどうしてもこのショーをやりたいと言いまして」
 
その時の事を思いだし、警部は顔をしかめた。ショーをしたいというのは建前で、自分がオトリになると言って聞かない快斗に、結局、警察の方が折れたのだ。
 
(全く…最近の若者は何でもかんでも自分たちでやりたがる。こちらの事も考えて欲しいものだ)
 
「まぁ一応、警護の為、こちらの者が数人ついていますので」 

店の邪魔になるから警護はいらないという快斗を説得に説得して、外は店に迷惑を掛けない位置に警官を配置し、本人は少数で守るということになったのだ。
 
そんなどこか疲れたように言う警部に、マスターは納得するように店を見渡す。
 
「成る程。だから、今日は普段見掛けないお客様が多いんですね。久神君のこと、よろしくお願いします」
 
「はい。久神君は我々が全力で守りますので安心してください。…ところで、その彼は何処に?」
 
納得してくれたマスターに力強く頷き、警部は辺りを見回して快斗の居場所を聞いた。
 
「ああ、彼でしたら、あの幕の裏でショーの準備をしていますよ。…それにしても、“助手の彼”、久神君に似てますね。兄弟か何かですか?」
 
「ははは…確かに彼らは似てますが、血の繋がりはない全くの他人同士ですよ」
 
そうなんですかと驚くマスターを前に、警部は“助手の彼”に思いを馳せた。
 
(九條君…何故君が出てきたのかはわからないが、無茶だけは止めてくれよ)
 
色々と事件解決の際に世話になっている自覚はあるが、あまり彼らのような未成年に危ない目にあって欲しくない。…まぁ、本人は嬉々としてやっているのだが。
 
ショーを行う幕に目をやり、警部は小さくため息を着いた。 

 

 
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