2 / 13
ねえ、誰か教えてくれない?
しおりを挟む
「へ?」
最初に出たのは、そんな間抜けな声だったと思う。いや、誰だってそうなると思うよ?いきなり落とし穴みたいに冗談抜きで落ちたら。
しかもこの落とし穴、滅茶苦茶深いの。どれくらいっていうと、底が全く見えません。でも、落ちてる感覚はある。これいかに。
「ぎゃー!!!!?」
とりあえず大声で叫んで意味なく手足バタバタさせてみたけど、何にも当たらないし何にも見えない。あたりは真っ暗。あ、自分だけ見える。不思議。
え、なにこれ怖すぎるんですけど。色々不自然ながらも助かってたのに、遂には直接黄泉の国からお迎えに来るとかないでしょ!?しかも、方法が直通の穴開けてって、死神さんお仕事雑すぎ!!
心の中で盛大に文句を言いながら、僕はひたすら落ちていった。
――どれだけ叫んだだろう。どれだけ泣いて暴れただろう。
「うーん、人間って恐怖を通り越すと冷静になるんだなぁ」
いくら叫んでも泣いても暴れても意味がないと気づいたから、今は胡座をかいて現状把握に努めることにした。もうね、それしかやることないの。だって、さっきから何にも変わらないんだもの。
あたりを見渡す。……なにも見えない。でも、自分はぼんやり光っている。
「本当、自分だけは見えるんだよなぁ。何でだろ?」
まあ、自分まで見えなかったら、流石に気がおかしくなってたかもしれないから、これはこれで良いんだけど。
「ん?」
改めて自分を見てたら、特に胸ポケットが光っているのに気づく。何でここだけ………あ。
入ってたものを取り出すと、最後にあの警官さんに貰った御守りが出てきた。両手で大事に持って見ると、この暗闇の中、御守りはほんのりどこか優しく光っている。
「これ、あの時警官さんに貰った御守り………警官さん、いや、警官様、あーくそ、名前聞いときゃ良かった。でも、本当に、本当ありがとうございます!」
僕の中で、あの時の警官さんが神格化した。今ならあの人に抱かれてもいいかもしれない。マジで感謝します!
そっと優しく、絶対に落とさないように胸ポケットへ御守りを入れる。ボタンを閉められるタイプで良かった!これなら、逆さになっても大丈夫。なりたくないけど。
次に検証するのは時間。右手に嵌めた腕時計を見る。………止まってる。昨日買ってきたばかりだから、壊れてはいないはず。もう1つの時計として、ズボンのポケットに入れていた携帯を見るも、あの時の時間のままだ。勿論、圏外で使えない。
ならば、この空間の時間が止まってるとみた方がいいかもしれない。
だって、あれだけ叫んで暴れたのに、身体は痛くならないし喉も渇かない。お腹もすかないし排泄の欲求もない。…もしあったら大変どころじゃ済まないけど。嫌ですよ、ここでトイレとか。
だが、時間が止まってるとして、なのにあるこの『落ちてる』って摩訶不思議な感覚。
高いところが嫌いな人には最悪だね。高所恐怖症とか。ここにいたら、そのうち治りそうだけど。僕の場合は普通だけど、落ちる感覚にもう慣れたし。
結論、僕はどこかに落ちる途中で時間を止められた。ということになるんじゃないだろうか。
だって、良く思い出せば、落ちた瞬間に喜ぶ誰かと怒る誰かの声が聞こえた気がするもの。
きっと、今もその誰かさん達が喧嘩してるんだと思うんだ。仲が良いような気はしないし。
さて、こうなると困ったことになる。
「………何をどうすればいいんだろう?」
僕自身には、全くやることがありません。僕、どうすればいいんでしょう。誰か、教えてくれない?
最初に出たのは、そんな間抜けな声だったと思う。いや、誰だってそうなると思うよ?いきなり落とし穴みたいに冗談抜きで落ちたら。
しかもこの落とし穴、滅茶苦茶深いの。どれくらいっていうと、底が全く見えません。でも、落ちてる感覚はある。これいかに。
「ぎゃー!!!!?」
とりあえず大声で叫んで意味なく手足バタバタさせてみたけど、何にも当たらないし何にも見えない。あたりは真っ暗。あ、自分だけ見える。不思議。
え、なにこれ怖すぎるんですけど。色々不自然ながらも助かってたのに、遂には直接黄泉の国からお迎えに来るとかないでしょ!?しかも、方法が直通の穴開けてって、死神さんお仕事雑すぎ!!
心の中で盛大に文句を言いながら、僕はひたすら落ちていった。
――どれだけ叫んだだろう。どれだけ泣いて暴れただろう。
「うーん、人間って恐怖を通り越すと冷静になるんだなぁ」
いくら叫んでも泣いても暴れても意味がないと気づいたから、今は胡座をかいて現状把握に努めることにした。もうね、それしかやることないの。だって、さっきから何にも変わらないんだもの。
あたりを見渡す。……なにも見えない。でも、自分はぼんやり光っている。
「本当、自分だけは見えるんだよなぁ。何でだろ?」
まあ、自分まで見えなかったら、流石に気がおかしくなってたかもしれないから、これはこれで良いんだけど。
「ん?」
改めて自分を見てたら、特に胸ポケットが光っているのに気づく。何でここだけ………あ。
入ってたものを取り出すと、最後にあの警官さんに貰った御守りが出てきた。両手で大事に持って見ると、この暗闇の中、御守りはほんのりどこか優しく光っている。
「これ、あの時警官さんに貰った御守り………警官さん、いや、警官様、あーくそ、名前聞いときゃ良かった。でも、本当に、本当ありがとうございます!」
僕の中で、あの時の警官さんが神格化した。今ならあの人に抱かれてもいいかもしれない。マジで感謝します!
そっと優しく、絶対に落とさないように胸ポケットへ御守りを入れる。ボタンを閉められるタイプで良かった!これなら、逆さになっても大丈夫。なりたくないけど。
次に検証するのは時間。右手に嵌めた腕時計を見る。………止まってる。昨日買ってきたばかりだから、壊れてはいないはず。もう1つの時計として、ズボンのポケットに入れていた携帯を見るも、あの時の時間のままだ。勿論、圏外で使えない。
ならば、この空間の時間が止まってるとみた方がいいかもしれない。
だって、あれだけ叫んで暴れたのに、身体は痛くならないし喉も渇かない。お腹もすかないし排泄の欲求もない。…もしあったら大変どころじゃ済まないけど。嫌ですよ、ここでトイレとか。
だが、時間が止まってるとして、なのにあるこの『落ちてる』って摩訶不思議な感覚。
高いところが嫌いな人には最悪だね。高所恐怖症とか。ここにいたら、そのうち治りそうだけど。僕の場合は普通だけど、落ちる感覚にもう慣れたし。
結論、僕はどこかに落ちる途中で時間を止められた。ということになるんじゃないだろうか。
だって、良く思い出せば、落ちた瞬間に喜ぶ誰かと怒る誰かの声が聞こえた気がするもの。
きっと、今もその誰かさん達が喧嘩してるんだと思うんだ。仲が良いような気はしないし。
さて、こうなると困ったことになる。
「………何をどうすればいいんだろう?」
僕自身には、全くやることがありません。僕、どうすればいいんでしょう。誰か、教えてくれない?
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
繰り返しのその先は
みなせ
ファンタジー
婚約者がある女性をそばに置くようになってから、
私は悪女と呼ばれるようになった。
私が声を上げると、彼女は涙を流す。
そのたびに私の居場所はなくなっていく。
そして、とうとう命を落とした。
そう、死んでしまったはずだった。
なのに死んだと思ったのに、目を覚ます。
婚約が決まったあの日の朝に。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
女神様、もっと早く祝福が欲しかった。
しゃーりん
ファンタジー
アルーサル王国には、女神様からの祝福を授かる者がいる。…ごくたまに。
今回、授かったのは6歳の王女であり、血縁の判定ができる魔力だった。
女神様は国に役立つ魔力を授けてくれる。ということは、血縁が乱れてるってことか?
一人の倫理観が異常な男によって、国中の貴族が混乱するお話です。ご注意下さい。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる