落ちるよ、何処までも

亜黒

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ふぁーすとこんたくと。

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白い点はまだまだ距離的には遠いけど、もう僕の身長を超えるくらいの大きさになっていた。もはや点ではなく白い塊である。

遠いせいか、真ん丸の白い塊だ。まるで雪転がしの時に出来る大玉みたいなサイズだが、一ヶ所だけ赤い刺みたいなモノが見える。雪玉も小さければ可愛いが、それが成人男性の平均身長な僕サイズ。ちょっと怖い。

最初は、突然の変化を歓迎していたけど、段々大きくなる白い塊に不安になってきた。

………あれ。何でだろう。このままじゃ僕、あの白いのに轢かれそうな気がする。

そもそも、あの白い塊は何なんだろうか。無機質?生き物!?

落ち続けている僕目掛けて態々来てるから、僕に用事があるのは確実なんだろうけど…。

そんな風に考えていたからか、避けるのが遅れた。

「あ。うわぁぁぁ……ぐふっ!?」

ボフンッ!!

そんな音と共に、僕は白い塊に突っ込んだ。いや、突っ込まれたの間違いか。兎も角、今、目の前真っ白です。ついでに意識も真っ白になりそう。

《ピ!?しまった、いきすぎた!》

……何か可愛い声が聞こえた気がする。

そして、何やら柔らかいモノに挟まれて、僕は白い塊から救出された。

《ピィ!わわわ、大丈夫でしゅか?》

「ん、んん…?」

呼吸困難に陥りかけてぼんやりする意識の中、目を開けると目の前はやはり真っ白…いや、違う。純白の躯に鋭い嘴、逞しい脚とそれに付随した鋭利な鉤爪。そして、その頭上に王冠の如く業火を思わせる真っ赤な鶏冠を持つ、これは―――。

「………ニワトリ?」

《ピィ!?》

ガバッと音がするくらいの勢いで白い塊―――もとい
、超巨大なから離れる。

……そうか、あの赤い刺みたいなヤツは鶏冠だったのか。そして、僕はあの躯に埋まってたのか。道理でふわふわしてると思った。おかげで出られなかったんだけど。

《ピィ…ごめんなしゃい。急ぎすぎて、止まれなかったでしゅ》

「あ、うん。かなりビックリしたけど、まあ、いいよ」

何やら、しょんぼりと反省しているらしいニワトリに笑いかける。うん。ニワトリが喋っている事実はスルーしよう。今の状況で、それこそ今更だし。

《ありがとうでしゅ。キミは優しいでしゅね》

「そうかな?前はこんなんじゃなかった気がするから、ここに来てから何が起きても、ある程度は動じないようになったかもね。今更だし。だから、別に構わないよ。死ななかったし、これくらいなら大丈夫」

体感にして、数ヶ月くらいこの摩訶不思議空間にいますから。もう何が起きても大抵のことには動じない自信がある。前の僕なら、ギャーギャー騒いでたと思うんだけど、今は何にも思わない。もしかしたら、悟りでも拓いたかもしれない。うわー、早い。

「それより、教えてくれない?ここってなんなの?君は誰ってかナニなの?僕はどうしてこうなったの?これからどうなるの?ねぇ、」

《ピ!?ちょ、ちょっと待ってくだしゃい!》

あ、やっぱ無理。かなり動揺してたみたいです。はい。
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