落ちるよ、何処までも

亜黒

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さて、特訓しよう!

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神様の喧嘩がそんなに早く終わるとか思えない。早くても、数百年くらいかかるんじゃないの?それ。神様総出で争ってるって言うし、それぞれのプライドに掛けて、対象の僕が逃がしてもらえる可能性はかなり低いだろう。

つまり、僕はそんな途方もない時間、此処から出られない。

現在の自分の状況がわかった瞬間。崩折れて、さめざめ泣き出した僕を、コッコさんがなんとも言えない表現で見守る図が出来た。

そんなのって、そんなのって無いよー!!

《ピィ…。獣神様も他の神々も、早くこの争いが終わるように頑張って宥めてるでしゅ。希望を持つでしゅよ》

「うぅ…わかった。神様が早く飽きてくれるように、全力で祈っておくよ。僕、頑張る!」

涙を拭って力強く宣言した僕を優しく見守るコッコさん。ああ、コッコさんが女神に見えるよ。見た目巨大なニワトリだけど。

《ピ!その粋でしゅ!それで、獣神様からキミに言付けがあるでしゅよ》

「言付け?」

《はいでしゅ。『今回はこんなことになって済まなかった。我も力尽くすが、残念ながらそう簡単に事は終わりそうにない。しかし、終わりまで待つには、人の身では辛かろう。汝自らもその身を鍛え、我らの加護と共にコッコを連れて逃げよ。我らも全力で支援する故、達者でな』だそうでしゅ》

獣神様………マジで良い神様!!僕、頑張ります!

《キミを鍛える事には、あたちも賛成でしゅ。これでも聖獣、あたちも全力で支援するでしゅよ!》

驚愕の事実発見。コッコさん、聖獣だったんだ。使い魔的なものだと思ってた。ニワトリでも、聖獣なれるんですね。

《なんでしゅか?その信じられないって顔は。あたち、これでも此所に派遣されるくらいには強いでしゅよ?》

この『時の狭間』は、それなりの実力者でなければすぐにその存在を消されるような恐ろしい場所なのだそうな。……そんな場所に僕はいたのか!?

まあ、だからこそ悪戯の神様から隠すことが出来たらしいが。でも、一歩間違ったら、僕の存在も消されてるのだから怖すぎる。

「が、頑張るよ。………でも、僕、特技とか何にも無いんだけど大丈夫かな?」

《大丈夫でしゅよ。時間だけは沢山ありましゅから。あたちも教えるので、ゆっくり鍛えれば良いでしゅ》

「はーい」

こうして、コッコさん指導のもと、神様から逃げようという主体で、ある意味での究極的な修行が始まった。………何よ、神様から逃げようって。

ちなみに、この会話も当然落ちながらやってます。………僕、そのうち重力とかそういうの忘れるんじゃないかな?

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