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4話
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その日は調べられるだけゲームの事を調べてからレポート風に紙にまとめ、いつの間にか止まっていた洗濯物を慌てて干したり風呂に入ったりとドタバタしつつ眠りについた。
翌日。今日は特に三人とも受講してないから、何時にゲーム取りに行くか朝起きて連絡すると、なんと今日は朝から二人ともゲームするとの事で、遊里達を自宅に招く事になった。どうも、二人とも家が狭いし家族がいて満足に遊べないから場所を貸して欲しいらしい。反論する間もなく、そのまま軽いノリで「じゃ、よろしく~」と電話を切られた。
「………切りやがった」
え、なにそれ。家に来るとか聞いてないんだけど。呆然と手に持つ携帯を見る。約束の時間はA.m.10:00だという。時計を見ると、今はA.m.8:30。次いでリビングを見ると、取り込んで畳んでない洗濯物やら出しっぱの本やらが乱雑に置かれている。お世辞にも人を呼べる状態ではない。これは………。
「…戦争開始!」
あたしは慌てて、部屋の片付けという名の戦争を開始したのだった。
ピンポーン♪
「ぜぇ…ぜぇ…、ま、間に合った!」
大急ぎで部屋の片付け及び掃除を行い、掃除道具を片付けてチェックが終わった瞬間に玄関のチャイムがなった。…本気でいきなりはやめて欲しい。一人暮らしの女の部屋って、荒れやすいんだからね!特に昨日は調べ物とかでバタバタしてたから、余計に散らかってたし。
ブツブツと文句を心の中だけで言いながら、笑顔で玄関に向かっていく。何はともあれ、間に合ったのだからいいか。次はないけど。
「はーい、今開けるねー」
玄関を開けると、案の定、遊里とその彼氏である先輩が仲良く手を繋いで立っていた。………羨ましくなんてないもん!
「あ。おはよう、ひーちゃん!今日はよろしくね~」
「おはようございます、小松さん。その、今日は、突然お邪魔しちゃってすいません。止めたんですが…」
申し訳なさそうに謝る先輩。一応、遊里を止めてくれたらしい。そうだね、君は悪くないよ。悪いのはこやつなのだから。遊里の彼氏である田原隆さんは、あたし達の1つ上で且つ同じ大学の先輩にあたる。その人柄というか、穏やかで優しい性格といい、先輩はとっても良い人だから、さぞや今回の突然の訪問は心苦しかっただろう。
「おはよう、遊里。おはようございます、先輩。ちょっとびっくりしたけど、まあ今回はいいですよ。でも遊里、次は事前に言っといてよね。大変だったんだから。さぁ、中へどーぞ」
二人を中へ招き、そのままリビングへ通す。ソファーを勧め、軽く雑談をした後に早速今回の目玉でもあるゲームの話題になった。
「それにしても、よく3つも手に入れたわね。あんたの豪運には感服するわ」
「遊里、凄かったですよ。何せ、くじ引き屋が言うには、当てさせる気がないから、デジタルで態と当たらないようにしたあげく、数百万分の一という確率にしてたんだって。それを一発で当てたあげく、同じ系列の店全部で連続で当てられて泣いてたよ。あの顔だと、かなり大損したんだろうね」
「えへへ。ひーちゃんと、タカ君と一緒にやりたかったから頑張ったんだ~」
「うわぁ…」
幻のゲームと言われてたもんね。それを3つも落とされる。…うん、御愁傷様です。恨むなら、遊里じゃなくて遊里が好きすぎる神様を恨め。我が親友に手出しは許さぬ。
チラリと先輩を見ると、力強く頷いていた。流石、我が同士。よくわかってらっしゃる。
ほわほわとしている遊里には、昔から悪い虫がよく近寄ってきた。それを小さく頃からせっせと追い払っていたあたしが、唯一親友を任せた男なのだ。これくらいの意志疎通ができなければ、隣など絶対許さない。遊里護衛隊隊長として、遊里を悲しませる輩は誰であろうと許さない。
ニコニコと可愛く笑う我らが遊里は、そんなこちらの思いも知らず、うきうきとバックから例のものを取り出す。
「それではお待ちかね!じゃーん!これが、今話題の『Strange of Glory』だよ~♪で、これが専用の機材!」
そう言って遊里が取り出したのは、綺麗なグラフィックが描かれたパッケージのソフトが3つと、目元が隠れるようなサンバイザーのような機械だった。
「普通の機械でも良いんだけど、これはこのゲーム専用に特化した物なんだって。この機械にソフトをインストールしてから、これを装着するんだ」
「へぇ、これを着けるの?あ、結構軽いのね」
三人それぞれ機械にソフトをインストールし、注意事項を確認していく。
「えっと、プレイする際には、安楽な姿勢で行うこと。プレイ中は意識がないため、安全のため、出入口の施錠はしっかり行うこと。ま、これは基本だよね。後は、プレイヤーは体型はそこまで変えられない。年齢は変えられない。最後に…ゲームだが、最低限のモラルは守る事っと」
最後は当たり前の事なのだが、これが中々難しい。ゲームだからと羽目を外しすぎる奴もいるからね。そんな奴が一番怖い。これからゲームを開始するに当たって態々そう確認する先輩は、これが、一番怖いんだろうな。
だけど、是非ともあたしの親友を、遊里を守って欲しい。あたしも、遊里の親友として絶対に守ってみせる!
………あれ?こんなだから男っ気がないのか、あたし。
「楽しもうね、ひーちゃん」
「うん、楽しもう」
目の前で可愛く笑う遊里に、それでもまあいいかと思ってしまったあたしは重症だな。
でも、それも悪くないと思うあたしも嫌いじゃないからいいや。
あたしの目的はただ一つ!
このゲームを通して、彼氏をゲットしてやるんだ!!
そうして、あたし達はゲームを開始したのだった。
翌日。今日は特に三人とも受講してないから、何時にゲーム取りに行くか朝起きて連絡すると、なんと今日は朝から二人ともゲームするとの事で、遊里達を自宅に招く事になった。どうも、二人とも家が狭いし家族がいて満足に遊べないから場所を貸して欲しいらしい。反論する間もなく、そのまま軽いノリで「じゃ、よろしく~」と電話を切られた。
「………切りやがった」
え、なにそれ。家に来るとか聞いてないんだけど。呆然と手に持つ携帯を見る。約束の時間はA.m.10:00だという。時計を見ると、今はA.m.8:30。次いでリビングを見ると、取り込んで畳んでない洗濯物やら出しっぱの本やらが乱雑に置かれている。お世辞にも人を呼べる状態ではない。これは………。
「…戦争開始!」
あたしは慌てて、部屋の片付けという名の戦争を開始したのだった。
ピンポーン♪
「ぜぇ…ぜぇ…、ま、間に合った!」
大急ぎで部屋の片付け及び掃除を行い、掃除道具を片付けてチェックが終わった瞬間に玄関のチャイムがなった。…本気でいきなりはやめて欲しい。一人暮らしの女の部屋って、荒れやすいんだからね!特に昨日は調べ物とかでバタバタしてたから、余計に散らかってたし。
ブツブツと文句を心の中だけで言いながら、笑顔で玄関に向かっていく。何はともあれ、間に合ったのだからいいか。次はないけど。
「はーい、今開けるねー」
玄関を開けると、案の定、遊里とその彼氏である先輩が仲良く手を繋いで立っていた。………羨ましくなんてないもん!
「あ。おはよう、ひーちゃん!今日はよろしくね~」
「おはようございます、小松さん。その、今日は、突然お邪魔しちゃってすいません。止めたんですが…」
申し訳なさそうに謝る先輩。一応、遊里を止めてくれたらしい。そうだね、君は悪くないよ。悪いのはこやつなのだから。遊里の彼氏である田原隆さんは、あたし達の1つ上で且つ同じ大学の先輩にあたる。その人柄というか、穏やかで優しい性格といい、先輩はとっても良い人だから、さぞや今回の突然の訪問は心苦しかっただろう。
「おはよう、遊里。おはようございます、先輩。ちょっとびっくりしたけど、まあ今回はいいですよ。でも遊里、次は事前に言っといてよね。大変だったんだから。さぁ、中へどーぞ」
二人を中へ招き、そのままリビングへ通す。ソファーを勧め、軽く雑談をした後に早速今回の目玉でもあるゲームの話題になった。
「それにしても、よく3つも手に入れたわね。あんたの豪運には感服するわ」
「遊里、凄かったですよ。何せ、くじ引き屋が言うには、当てさせる気がないから、デジタルで態と当たらないようにしたあげく、数百万分の一という確率にしてたんだって。それを一発で当てたあげく、同じ系列の店全部で連続で当てられて泣いてたよ。あの顔だと、かなり大損したんだろうね」
「えへへ。ひーちゃんと、タカ君と一緒にやりたかったから頑張ったんだ~」
「うわぁ…」
幻のゲームと言われてたもんね。それを3つも落とされる。…うん、御愁傷様です。恨むなら、遊里じゃなくて遊里が好きすぎる神様を恨め。我が親友に手出しは許さぬ。
チラリと先輩を見ると、力強く頷いていた。流石、我が同士。よくわかってらっしゃる。
ほわほわとしている遊里には、昔から悪い虫がよく近寄ってきた。それを小さく頃からせっせと追い払っていたあたしが、唯一親友を任せた男なのだ。これくらいの意志疎通ができなければ、隣など絶対許さない。遊里護衛隊隊長として、遊里を悲しませる輩は誰であろうと許さない。
ニコニコと可愛く笑う我らが遊里は、そんなこちらの思いも知らず、うきうきとバックから例のものを取り出す。
「それではお待ちかね!じゃーん!これが、今話題の『Strange of Glory』だよ~♪で、これが専用の機材!」
そう言って遊里が取り出したのは、綺麗なグラフィックが描かれたパッケージのソフトが3つと、目元が隠れるようなサンバイザーのような機械だった。
「普通の機械でも良いんだけど、これはこのゲーム専用に特化した物なんだって。この機械にソフトをインストールしてから、これを装着するんだ」
「へぇ、これを着けるの?あ、結構軽いのね」
三人それぞれ機械にソフトをインストールし、注意事項を確認していく。
「えっと、プレイする際には、安楽な姿勢で行うこと。プレイ中は意識がないため、安全のため、出入口の施錠はしっかり行うこと。ま、これは基本だよね。後は、プレイヤーは体型はそこまで変えられない。年齢は変えられない。最後に…ゲームだが、最低限のモラルは守る事っと」
最後は当たり前の事なのだが、これが中々難しい。ゲームだからと羽目を外しすぎる奴もいるからね。そんな奴が一番怖い。これからゲームを開始するに当たって態々そう確認する先輩は、これが、一番怖いんだろうな。
だけど、是非ともあたしの親友を、遊里を守って欲しい。あたしも、遊里の親友として絶対に守ってみせる!
………あれ?こんなだから男っ気がないのか、あたし。
「楽しもうね、ひーちゃん」
「うん、楽しもう」
目の前で可愛く笑う遊里に、それでもまあいいかと思ってしまったあたしは重症だな。
でも、それも悪くないと思うあたしも嫌いじゃないからいいや。
あたしの目的はただ一つ!
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そうして、あたし達はゲームを開始したのだった。
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