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呪文が完成すると、キャラクターが一度激しく光り、女の体から見事な逞しい男の体へ変化していた。綺麗な薄く青が混じったような白銀の短髪に、美術品の如く綺麗に整った顔。男らしく程好く筋肉のついた逞しい体。まるで絵本の中から飛び出してきたような、誰が見ても振り返る理想の王子様だ。
………誰だ、これ。
【どうですか!?貴方のデータを元に、総力を結集して完璧な男性を創り上げたんです!私の自信作です!いやー、本当いい仕事しました。気に入っていただけたでしょうか】
「うん、却下で」
【なんと!?】
これがあたしとか、嫌だよ。どこの王子様だ。
その後、リリーが号泣してお願いしてくるものだから、結局あたしの方が折れてしまった。せめてもの抵抗に、顔だけはそれなりに整った、といえるものにしてもらった。あんな顔じゃ、絶対ナンパとか人に囲まれて動けなくなるよ。或いは綺麗すぎて怖がられる。
それにしても、泣き落としとか最近のAIは知能が高すぎるわ…。表情もかなり豊かだし、ゲームに使っていいものじゃないだろう。
【それでは、続きまして名前と種族を決めたいと思います。種族に関しましては、プレイヤーが決められる基本としては4種類で、人族、エルフ、獣人、ドワーフとなります。その他の種族を希望される場合ですと、ランダム選択となります。こちらの場合、本当にランダムなので何が当たるか決まるまでわかりません。ですが、運が良ければ竜人等のレアな種族を引くこともできます。どうされますか?】
「へぇ、面白そう。じゃ、運試しってことでランダムにするわ」
変なのを当てても…まあ楽しもう。お決まりの種族とかよりは断然面白そうだし。
【畏まりました。ランダム選択ですね。では、次に貴方のゲームでの名前を教えてください】
「んー、いつものでいっか。じゃ、あたしのキャラ名はカタカナで『フィー』でよろしく」
遊里とゲームを一緒にしていると、普段通りにひーちゃん、ひーちゃんと言って間違えるから、いっそのこと間違えても構わないようにと似たような名前のキャラ名にしているのだ。
【『フィー』様ですね。………同一名で他の方が使っている名前はありません。キャラクター名『フィー』で承りました】
リリーの言葉と一緒に、あたしのアバターの上にピコンっと音がして『フィー』と表示される。
【それでは、これからランダム選択を行います。私がスタートと言いますので、お好きなタイミングで『セレクト!』と叫んでください】
「はーい」
目の前にゲームらしく回転式のルーレットが写し出される。成る程、これを止めるのか。ま、ダーツじゃないだけマシかな?刺さらなかったら悲惨だし。
【準備は良いですか?それでは…スタート!!「セレクト!」え、早っ!?】
リリーが言った瞬間に叫びましたが何か?だって、待つの面倒くさかったんだもの。
唖然としているリリーを放っておいて、早速ランダムで決まった種族を確認する。それはキャラ名の横に表記されていた。
「えーと、種族は………なんだこれ」
種族欄。そこには、『幻族』と書かれていた。
『幻族』?聞いたことないぞ、そんな種族。てか、なんと読むんだ、これ。
………誰だ、これ。
【どうですか!?貴方のデータを元に、総力を結集して完璧な男性を創り上げたんです!私の自信作です!いやー、本当いい仕事しました。気に入っていただけたでしょうか】
「うん、却下で」
【なんと!?】
これがあたしとか、嫌だよ。どこの王子様だ。
その後、リリーが号泣してお願いしてくるものだから、結局あたしの方が折れてしまった。せめてもの抵抗に、顔だけはそれなりに整った、といえるものにしてもらった。あんな顔じゃ、絶対ナンパとか人に囲まれて動けなくなるよ。或いは綺麗すぎて怖がられる。
それにしても、泣き落としとか最近のAIは知能が高すぎるわ…。表情もかなり豊かだし、ゲームに使っていいものじゃないだろう。
【それでは、続きまして名前と種族を決めたいと思います。種族に関しましては、プレイヤーが決められる基本としては4種類で、人族、エルフ、獣人、ドワーフとなります。その他の種族を希望される場合ですと、ランダム選択となります。こちらの場合、本当にランダムなので何が当たるか決まるまでわかりません。ですが、運が良ければ竜人等のレアな種族を引くこともできます。どうされますか?】
「へぇ、面白そう。じゃ、運試しってことでランダムにするわ」
変なのを当てても…まあ楽しもう。お決まりの種族とかよりは断然面白そうだし。
【畏まりました。ランダム選択ですね。では、次に貴方のゲームでの名前を教えてください】
「んー、いつものでいっか。じゃ、あたしのキャラ名はカタカナで『フィー』でよろしく」
遊里とゲームを一緒にしていると、普段通りにひーちゃん、ひーちゃんと言って間違えるから、いっそのこと間違えても構わないようにと似たような名前のキャラ名にしているのだ。
【『フィー』様ですね。………同一名で他の方が使っている名前はありません。キャラクター名『フィー』で承りました】
リリーの言葉と一緒に、あたしのアバターの上にピコンっと音がして『フィー』と表示される。
【それでは、これからランダム選択を行います。私がスタートと言いますので、お好きなタイミングで『セレクト!』と叫んでください】
「はーい」
目の前にゲームらしく回転式のルーレットが写し出される。成る程、これを止めるのか。ま、ダーツじゃないだけマシかな?刺さらなかったら悲惨だし。
【準備は良いですか?それでは…スタート!!「セレクト!」え、早っ!?】
リリーが言った瞬間に叫びましたが何か?だって、待つの面倒くさかったんだもの。
唖然としているリリーを放っておいて、早速ランダムで決まった種族を確認する。それはキャラ名の横に表記されていた。
「えーと、種族は………なんだこれ」
種族欄。そこには、『幻族』と書かれていた。
『幻族』?聞いたことないぞ、そんな種族。てか、なんと読むんだ、これ。
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