8 / 17
8話
しおりを挟む
《始まりの町:ファースト》
意識がはっきりした時、あたしは噴水の前にいた。周りを見渡すと、ここがある程度の規模がある広場になっていることがわかる。広場の先はテンプレ的なヨーロッパな街並みが続いて、更にはずぅっと遠くにお城発見。
次に、周囲には、あたしと同じプレイヤー多数。キョロキョロしてたり、動作確認してたりと思い思いに行動している。……それにしても、このグラフィックは凄いな。本当に異世界にでも来たみたいだ。元々、こういう街並みや風景が好きなので、あまりに綺麗で自分好みな風景に、何をするでもなくしばらく噴水の前で眺めてしまう。
そうしているうちに、周りにはプレイヤーは散っていき、気づくと一人ポツンと佇んでいた。
「うわっ、いっけなーい!遊里達を待たせちゃうから、そろそろ待ち合わせの場所に行かなきゃ…っ!!」
次の瞬間、あたしは固まった。
多分、他に人がいたらその人も固まっただろう。
なぜなら、見た目イケメンで低い男らしい声が、可愛らしくオネェみたいな台詞を吐いたから。
………うわぁ。忘れてた。あたし、今男キャラでプレイしてたんだった。
あまりの感動に忘れていたが、今のあたしは男キャラ。女言葉や仕草は封印しないと、色々不味い。
「………ごほん。よし、行くか」
咳払いでなんとなく誤魔化して、颯爽と歩き出す。目指すは待ち合わせ場所にした、《正面:正門前》へ急ぐ。冒険者ギルドでも良かったのだが、多分、混んで分からなくなるからとこの場所にした。
途中の街並みを堪能しつつ、足早に向かうと二人らしき男女が仲良く手を繋いで待っていた。女性の方、思いっきり手を降ってるし。何故わかった。
「ひーちゃん、こっちだよ~!」
「え、あの人?男だよ?」
「そうだけど、絶対そうだよ!おーい!」
自信満々の女性、見たところ背中に昆虫のような薄い羽根が生えているところから、妖精種みたいだ。淡桃色の長い髪に、可愛らしいピンクのドレスを着ている。浮かんでいるキャラ名は、『まりあ』となっている。うん、遊里が良く使うキャラ名だな。
男性の方は、金髪で無難にエルフってところだろうか。耳尖ってるし。キャラ名は『隼』となっている。
周りに誰もいないタイミングで、二人に駆け寄る。
「ごめん、遅くなった」
「えーと、本当に小松さん?」
「うん、そうだよ。それにしても、良くあたしだってわかったね?」
「私がひーちゃん間違えるなんてあり得ないもん!それにしても、ひーちゃん、格好いいね~。それも似合ってるけど、今回は女の子にしなかったの?」
断言する遊里ーーじゃない、まりあ。いや、それもどうかと思うけど、まあ、あたしだとすぐに気づいてくれるのは純粋に嬉しい。
「ま、ありがとう。でも、今のあたしは『フィー』だから、それで呼んでよね。今回は、まあ、折角だし男のあたしもやってみようかと思って」
「………ひーちゃんのイケメン度がどんどん上がって、そのうち大変なことになる気がする」
「あはは…。何かあったら、僕がフォローするよ。まりあ」
「なんでそうなる!?」
こっちの言葉を軽くスルーして、固く頷き合う二人。………解せぬ。
そのあとは、ちゃんとキャラ紹介しました。
ちなみに、遊里はやっぱり妖精種だった。遊里もランダムやったんだね。しかも、妖精種の中でも、超超超レア種だそう。流石です。
先輩はドワーフとエルフ、どっちにしようか迷って、エルフにしたそうだ。主に生産職を目指すらしい。うん、先輩らしいわ。
意識がはっきりした時、あたしは噴水の前にいた。周りを見渡すと、ここがある程度の規模がある広場になっていることがわかる。広場の先はテンプレ的なヨーロッパな街並みが続いて、更にはずぅっと遠くにお城発見。
次に、周囲には、あたしと同じプレイヤー多数。キョロキョロしてたり、動作確認してたりと思い思いに行動している。……それにしても、このグラフィックは凄いな。本当に異世界にでも来たみたいだ。元々、こういう街並みや風景が好きなので、あまりに綺麗で自分好みな風景に、何をするでもなくしばらく噴水の前で眺めてしまう。
そうしているうちに、周りにはプレイヤーは散っていき、気づくと一人ポツンと佇んでいた。
「うわっ、いっけなーい!遊里達を待たせちゃうから、そろそろ待ち合わせの場所に行かなきゃ…っ!!」
次の瞬間、あたしは固まった。
多分、他に人がいたらその人も固まっただろう。
なぜなら、見た目イケメンで低い男らしい声が、可愛らしくオネェみたいな台詞を吐いたから。
………うわぁ。忘れてた。あたし、今男キャラでプレイしてたんだった。
あまりの感動に忘れていたが、今のあたしは男キャラ。女言葉や仕草は封印しないと、色々不味い。
「………ごほん。よし、行くか」
咳払いでなんとなく誤魔化して、颯爽と歩き出す。目指すは待ち合わせ場所にした、《正面:正門前》へ急ぐ。冒険者ギルドでも良かったのだが、多分、混んで分からなくなるからとこの場所にした。
途中の街並みを堪能しつつ、足早に向かうと二人らしき男女が仲良く手を繋いで待っていた。女性の方、思いっきり手を降ってるし。何故わかった。
「ひーちゃん、こっちだよ~!」
「え、あの人?男だよ?」
「そうだけど、絶対そうだよ!おーい!」
自信満々の女性、見たところ背中に昆虫のような薄い羽根が生えているところから、妖精種みたいだ。淡桃色の長い髪に、可愛らしいピンクのドレスを着ている。浮かんでいるキャラ名は、『まりあ』となっている。うん、遊里が良く使うキャラ名だな。
男性の方は、金髪で無難にエルフってところだろうか。耳尖ってるし。キャラ名は『隼』となっている。
周りに誰もいないタイミングで、二人に駆け寄る。
「ごめん、遅くなった」
「えーと、本当に小松さん?」
「うん、そうだよ。それにしても、良くあたしだってわかったね?」
「私がひーちゃん間違えるなんてあり得ないもん!それにしても、ひーちゃん、格好いいね~。それも似合ってるけど、今回は女の子にしなかったの?」
断言する遊里ーーじゃない、まりあ。いや、それもどうかと思うけど、まあ、あたしだとすぐに気づいてくれるのは純粋に嬉しい。
「ま、ありがとう。でも、今のあたしは『フィー』だから、それで呼んでよね。今回は、まあ、折角だし男のあたしもやってみようかと思って」
「………ひーちゃんのイケメン度がどんどん上がって、そのうち大変なことになる気がする」
「あはは…。何かあったら、僕がフォローするよ。まりあ」
「なんでそうなる!?」
こっちの言葉を軽くスルーして、固く頷き合う二人。………解せぬ。
そのあとは、ちゃんとキャラ紹介しました。
ちなみに、遊里はやっぱり妖精種だった。遊里もランダムやったんだね。しかも、妖精種の中でも、超超超レア種だそう。流石です。
先輩はドワーフとエルフ、どっちにしようか迷って、エルフにしたそうだ。主に生産職を目指すらしい。うん、先輩らしいわ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
異世界の花嫁?お断りします。
momo6
恋愛
三十路を過ぎたOL 椿(つばき)は帰宅後、地震に見舞われる。気付いたら異世界にいた。
そこで出逢った王子に求婚を申し込まれましたけど、
知らない人と結婚なんてお断りです。
貞操の危機を感じ、逃げ出した先に居たのは妖精王ですって?
甘ったるい愛を囁いてもダメです。
異世界に来たなら、この世界を楽しむのが先です!!
恋愛よりも衣食住。これが大事です!
お金が無くては生活出来ません!働いて稼いで、美味しい物を食べるんです(๑>◡<๑)
・・・えっ?全部ある?
働かなくてもいい?
ーーー惑わされません!甘い誘惑には罠が付き物です!
*****
目に止めていただき、ありがとうございます(〃ω〃)
未熟な所もありますが 楽しんで頂けたから幸いです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる