彼氏欲しいだけなの!

亜黒

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11話

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………うーむ、見つからない。担当場所を行ったり来たりと、かれこれ30分は探してるが全然だ。結構細かく道の端から端まで見てるんだけどなぁ。

「あー、疲れた!ちと休憩」 

雑多に置かれてあった、近場の箱の上に座る。ゲームだから肉体的には問題ないのに、中腰になりながら探していたからか、何だか腰が痛い気がする。

「おにーさん、おこしいたいの?」

「あはは!おじいみたいー」

「ん?」

軽く腰をトントンしていると、どこからか甲高い子どもの笑い声が聞こえてきた。

辺りを見渡す。目の前を中年のおっさんが通っただけで………子どもなどいない。

え、あのおっさんが?いやいや、それはないだろう。というか、子どもの声は二人分聞こえたし。一人でノリツッコミしつつ、再度周りを見渡すが子どもなどいない。

「おにーさん、どうしたの?」

「あはは!ぼくらはここだよー!」

「んん??」

首を傾げていると、再び声が聴こえた。それも、かなりの至近距離から。具体的にいうと、耳元からそれは聴こえた。

バッと肩口を見ると、丸いナニかが2つ肩に乗っている。え、なにこれ?

「えいっ!」

「とうっ!」

あたしが気づいたとわかったナニかは、ぴょんっと元気良く肩から膝の上に飛び降りてきた。

「こんにちは、キレイなおにーさん」

「こんにちはー!」

「えっと、こんにちは…?」

あたしの膝の上にいるもの。それはどう見てもハムスターだった。しかも、真っ白なゴールデンタイプ(ロングヘアー)と綺麗な毛並みのキンクマタイプ。どっちも手のひらサイズで可愛い。頭上に表記がないから、多分NPC?かな。

………この世界って動物喋るんだ。というか、あたしの真似してか小首を傾げる仕草が絶妙に可愛い!もふりたい!ナデナデしたい!

「か、可愛い…!えっと、もし良かったら撫でてもいいかな?」

「なでる?やさしくならいいよ」

「ぼくも!」

2匹共ウルウルしているお目々が愛らしく、ついお願いすると快く快諾してくれた。

ナデナデ。スリスリ。ナデナデ。

しばらく幸せな時間を味わいました。お二人さん、とても毛並み良くて気持ち良かったし可愛かったです!頭を掌に擦り付けてくるときとか、最高でした!

「おにーさん、なでてくれてありがと。きもちよかったよ。あたち、ミルク。よろしくね」

「ぼくは、モカだよ。さっきのきもちよかったー!ありがとね。そういえば、おにーさんはだぁれ?さっきしゃがんでたけど、なにしてたの?」

お礼をいうミルクとモカ。ちなみに、真っ白なゴールデンがミルクで、キンクマがモカというらしい。

「こちらこそ、撫でさせてくれてありがとう!自己紹介がまだだったね。あた………じゃない、俺はフィーっていうんだ。で、さっきしてたのは、落とし物を、小さなペンダントを探していたんだよ」

「「ペンダント?」」

ハムハムズに話しかけるあたしって、周りからどう見られるんだろう?とか今更ながらに思いつつ、きちんと答えると、2匹が首を傾げてなにやら話し合い始めた。

「ペンダントって、さっきみつけたアレかな?」

「アレじゃないかな?」

「おにーさん、さがしてたみたいだけど、どうする?」

「どうしようか。せっかくみつけたきれいなものだしねー」

「でも、みつからなかったら、おにーさんかわいそうだよ。…そうだ!アレのかわりになにかもらったら?」

「そうだね、こうかんしたらいいんだ!そうしよっか」

話し合いが終わったのか、こちらを向くハムハムズ、もといミルクとモカ。

「おにーさんがいうペンダント、ぼくらばしょしってるよ」

「おにーさん、やさしくしてくれたからかえしてあげる。ただ、かわりになにかキレイなものとこうかんしてほしいな」

「本当?嬉しいな、ありがとう。キレイなものか………っ!?」ピロンッ♪

考えていると、ピロンッと音がしてクエスト表記がいきなり目の前に現れた。

【ハムレアットたちの条件】
・キレイな小石を3つ集めて、小さなペンダントと交換してもらおう!
『報酬:小さなペンダント』

あ、この子達って、ハムレアットっていうんだ。知らなかった。よーし、クエスト進んだみたいだし、ナデナデさせてもらったし!クエスト頑張るか!

「ミルク、モカ。これからキレイなもの探してくるよ。ここで待っててくれるかな?」

「「わかった(ー)」」

ミルク達に別れを告げ、早々にまりあ達にクエストについて連絡する。すると、先輩がキレイな小石のドロップ場所を知ってるとのことで、再び正門前に集合となった。

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