キミのとなり

樺純

文字の大きさ
29 / 92

第二十九話

しおりを挟む
ユオサイド

あぁ~飲みすぎた~。

さすがに今日は昼間っから飲んでるしちょいキツイかも…

そう思いながらも私の飲む勢いを止まることを知らなかった。

S「ユオちゃん、飲み過ぎじゃない?大丈夫?」

Y「あっ大丈夫です。私の事なんて気にしないでください。」

私ってホント可愛くない女だって自分でもわかっている。

でも、今、誰かに優しくされると豆腐メンタルな私は泣いてしまいそうだからお酒に逃げて誤魔化しているんだ。

M「でも、ホントにユオちゃん顔色悪いよ?」

私「大丈夫ですから。ちょっと…お手洗いへ…。」

ふっと立ち上がった瞬間、想像していたよりも体がいうことを聞かずもう、自分でも限界が近いことがわかった。

美「ユオ、一人で行ける?」

Y「うん。行ける行ける!美沙しゃんありがと~」

呂律すら回らなくなった私は個室を出てお手洗いへ向かった。

あぁ~薄暗くてオシャレ過ぎてトイレの場所が分からない!

トイレがコッチ来い!

この迷路みたいな作りの店は酔ってる人間をさらに酔わせる。

あぁ~足元だいぶフラついてるな~なんてとぼとぼと歩いてたら横の個室の扉が開き、何気なくそちらに視線を向けて私は固まった。

J「え…ユオ…」

Y「えっ…純太くん…」

そう、そこにいたのは私のお誘いを真人くんと練習があると嘘をついて断ったはずの純太くん。

A「純太?ど~したの~?」

なのに純太くんは今、私の目の前で綺麗な女の人と腕を組んでいい感じの雰囲気を醸し出している。

なんだよ…練習とか嘘ついて女とデートかよ…そう心の中で悪態をつくと突然、グラグラグラグラと頭の中が揺れ始めた。

おっ?なんだ?地震か?

あっ…違う…私は思わずその場にしゃがみ込む。

J「ユオ!大丈夫!?顔色悪いよ?」

純太くんはそう言って私に近づいた。

Y「大丈夫です。ほっといてください。」

J「ほっといてって…ほっとけるワケないだろ?ほら、立てって。」

私はなんて惨めなんだろ?

方や綺麗な女。

方や酔い潰れた冴えない女。

純太くんの優しさが余計に傷つく。

純太は私の腕を取り、腰を支えながら立ち上がらせようとしたその時…

Y「触んないでよ!!」

思わずそう大声が出てしまった自分に自分でも驚いた。

そんな事が言いたわけじゃない。

昨日はありがとう。なんで今日は会えなかったの?練習って言ってたのに。この人は誰?

って聞きたかっただけ。

なのに私は一体、何に取り乱しこんなにも心が穏やかじゃないのだろう?

J「ユオ…」

A「ねぇ…この人ほっといて欲しいみたいだし行こう?純太?」

純太くんの隣にいる女性がそう言った。

あなたは一体誰?

もうヤダ…だれか助けて…この場所から逃げたい…

でも、足が思うように動かない。

すると、どこかから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

「ユオちゃんどこ~ユオってば!」

ここだよ…一人じゃ歩けないよ…

早く…来て……この惨めな状況から助けて…

私はもう、話すことすら出来ずそう心の中で祈るしか出来なかった。

M「ユ…オ?ユオ!?こんなとこにいたの?心配したよ?大丈夫…?って純太もここにいたの!?」

後ろから真人くんが心配そうに私の顔を覗き込むと包み込むように腕を持ち支えてくれた。

J「……真人くん?」

Y「真人くん…私、フラフラします…」

M「ユオ大丈夫?と…とりあえず部屋もどろう!純太…ごめん!お疲れ!」

J「……。」

そう言って真人くんは私を支えてくれて歩かせてくれた。

私はそんな優しい真人くんに素直に言った。

T「真人くん…恥ずかしいんですが…ちょっとだけチビッちゃた…」

何故だろう?不思議と真くんには恥ずかしくて言えないようなことも素直に言えた。

M「え!?分かった!とりあえずト、トイレ先に行こう。」

Y「はい…迷惑かけてごめんなさい。探してくれてありがとうございます…」

私がそう言うと真人くんはは何も言わずに微笑み、お手洗いまで連れて行ってくれた。

はぁ…ギリギリセーフ…

あと、数分遅かったら私は悲惨な事になってただろ…

便座に座りながらそうふと思うと、あれ?なんだろ?

胸がギリギリと痛くて苦しくなり、頭の中で純太くんとあの女の人が寄り添う姿がフラッシュバックした。

Y「真人くん…お待たせしました。」

M「ユオ…部屋にもどろう…」

真人くんは私にそういうと無言のまま部屋まで連て行ってくれた。

部屋にもどると美沙さんと誠司さんは私を見て顔色が変わった

S「ユオちゃん…」

美「ユオ…どうしたの!?なんで…泣いてんのよ…」

えっ?

私…泣いてるの…?

2人の言葉を聞いて初めて私は自分が泣いているこに気づいた。

つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

思い出のチョコレートエッグ

ライヒェル
恋愛
失恋傷心旅行に出た花音は、思い出の地、オランダでの出会いをきっかけに、ワーキングホリデー制度を利用し、ドイツの首都、ベルリンに1年限定で住むことを決意する。 慣れない海外生活に戸惑い、異国ならではの苦労もするが、やがて、日々の生活がリズムに乗り始めたころ、とてつもなく魅力的な男性と出会う。 秘密の多い彼との恋愛、彼を取り巻く複雑な人間関係、初めて経験するセレブの世界。 主人公、花音の人生パズルが、紆余曲折を経て、ついに最後のピースがぴったりはまり完成するまでを追う、胸キュン&溺愛系ラブストーリーです。 * ドイツ在住の作者がお届けする、ヨーロッパを舞台にした、喜怒哀楽満載のラブストーリー。 * 外国での生活や、外国人との恋愛の様子をリアルに感じて、主人公の日々を間近に見ているような気分になれる内容となっています。 * 実在する場所と人物を一部モデルにした、リアリティ感の溢れる長編小説です。

羽柴弁護士の愛はいろいろと重すぎるので返品したい。

泉野あおい
恋愛
人の気持ちに重い軽いがあるなんて変だと思ってた。 でも今、確かに思ってる。 ―――この愛は、重い。 ------------------------------------------ 羽柴健人(30) 羽柴法律事務所所長 鳳凰グループ法律顧問 座右の銘『危ない橋ほど渡りたい。』 好き:柊みゆ 嫌い:褒められること × 柊 みゆ(28) 弱小飲料メーカー→鳳凰グループ・ホウオウ総務部 座右の銘『石橋は叩いて渡りたい。』 好き:走ること 苦手:羽柴健人 ------------------------------------------

【完結】指先が触れる距離

山田森湖
恋愛
オフィスの隣の席に座る彼女、田中美咲。 必要最低限の会話しか交わさない同僚――そのはずなのに、いつしか彼女の小さな仕草や変化に心を奪われていく。 「おはようございます」の一言、資料を受け渡すときの指先の触れ合い、ふと香るシャンプーの匂い……。 手を伸ばせば届く距離なのに、簡単には踏み込めない関係。 近いようで遠い「隣の席」から始まる、ささやかで切ないオフィスラブストーリー。

冷たい外科医の心を溶かしたのは

みずほ
恋愛
冷たい外科医と天然万年脳内お花畑ちゃんの、年齢差ラブコメです。 《あらすじ》 都心の二次救急病院で外科医師として働く永崎彰人。夜間当直中、急アルとして診た患者が突然自分の妹だと名乗り、まさかの波乱しかない同居生活がスタート。悠々自適な30代独身ライフに割り込んできた、自称妹に振り回される日々。 アホ女相手に恋愛なんて絶対したくない冷たい外科医vsネジが2、3本吹っ飛んだ自己肯定感の塊、タフなポジティブガール。 ラブよりもコメディ寄りかもしれません。ずっとドタバタしてます。 元々ベリカに掲載していました。 昔書いた作品でツッコミどころ満載のお話ですが、サクッと読めるので何かの片手間にお読み頂ければ幸いです。

大好きな背中

詩織
恋愛
4年付き合ってた彼氏に振られて、同僚に合コンに誘われた。 あまり合コンなんか参加したことないから何話したらいいのか… 同じように困ってる男性が1人いた

東野君の特別

藤谷 郁
恋愛
大学受験のため名古屋の叔母宅を訪れた佐奈(さな)は、ご近所の喫茶店『東野珈琲店』で、爽やかで優しい東野(あずまの)君に出会う。 「春になったらまたおいで。キャンパスを案内する」 約束してくれた彼は、佐奈の志望するA大の学生だった。初めてづくしの大学生活に戸惑いながらも、少しずつ成長していく佐奈。 大好きな東野君に導かれて…… ※過去作を全年齢向けに改稿済 ※エブリスタさまにも投稿します

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

夜の帝王の一途な愛

ラヴ KAZU
恋愛
彼氏ナシ・子供ナシ・仕事ナシ……、ないない尽くしで人生に焦りを感じているアラフォー女性の前に、ある日突然、白馬の王子様が現れた! ピュアな主人公が待ちに待った〝白馬の王子様"の正体は、若くしてホストクラブを経営するカリスマNO.1ホスト。「俺と一緒に暮らさないか」突然のプロポーズと思いきや、契約結婚の申し出だった。 ところが、イケメンホスト麻生凌はたっぷりの愛情を濯ぐ。 翻弄される結城あゆみ。 そんな凌には誰にも言えない秘密があった。 あゆみの運命は……

処理中です...