キミのとなり

樺純

文字の大きさ
42 / 92

第四十二話

しおりを挟む
美沙サイド

純太くんとの事があったから正直、ユオを一人にするのが心配だった。

でも、どうしても外せない用事があって酔っ払って眠るユオを家に送り届けた後…仕方なくユオの部屋を出た。

ユオは恋愛に対して免疫がない。

彼氏が出来ても壁を壊すことなくそれなりの付き合い。

だから向こうがイヤになって終わるパターン。

それを私は何度も見ていた。

ユオ自身も振られたという事実に落ち込むことはなく、自分へ向けられた人格否定に傷ついていた。

だから、私はユオには本当に心から好きだと思える人と出会って欲しいと思っていた。

正直、純太くんはそんなユオを理解して包み込んでくれるのではないかと私は勝手に思っていた。

だけど、改まって紹介という形で出会ってしまったらお互い硬くなるし、純太くんがモデルを探してと話してくれたのがいいキッカケになると思って、それを利用し2人を巡り合わせた。

私はこういう機転だけはよく働く。

なのに、あいつはユオに嘘をついて女と会っていた。

それに対して相当ユオは傷ついたはず…

それでなくても…傷つかないようすぐ壁を作ってしまうぐらいの臆病者だから。

なのに、ユオは昨日の出来事を覚えていない。

そして、ユオの心の中では間違いなく純太くんという存在が大きくなってる。

純太くん…あなたはユオをどう思ってるの?

私はあなたがユオに好意を抱いていると感じたけど?

それは違ったのかな?

でも、今日…

ユオと会う約束をしてるということは昨日のことを挽回させるためだよね?

だからこれは私からの最後のチャンスだよ。

昨日の夜は何もなかった。

ユオが覚えてないのだから私は知らないふりをする。

全てはユオのために。

でも、今度泣かせたら絶対に許さない。

そう思いながら私はユオの部屋を出た。

つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

友達婚~5年もあいつに片想い~

日下奈緒
恋愛
求人サイトの作成の仕事をしている梨衣は 同僚の大樹に5年も片想いしている 5年前にした 「お互い30歳になっても独身だったら結婚するか」 梨衣は今30歳 その約束を大樹は覚えているのか

やさしいキスの見つけ方

神室さち
恋愛
 諸々の事情から、天涯孤独の高校一年生、完璧な優等生である渡辺夏清(わたなべかすみ)は日々の糧を得るために年齢を偽って某所風俗店でバイトをしながら暮らしていた。  そこへ、現れたのは、天敵に近い存在の数学教師にしてクラス担任、井名里礼良(いなりあきら)。  辞めろ辞めないの押し問答の末に、井名里が持ち出した賭けとは?果たして夏清は平穏な日常を取り戻すことができるのか!?  何て言ってても、どこかにある幸せの結末を求めて突っ走ります。  こちらは2001年初出の自サイトに掲載していた小説です。完結済み。サイト閉鎖に伴い移行。若干の加筆修正は入りますがほぼそのままにしようと思っています。20年近く前に書いた作品なのでいろいろ文明の利器が古かったり常識が若干、今と異なったりしています。 20年くらい前の女子高生はこんな感じだったのかー くらいの視点で見ていただければ幸いです。今はこんなの通用しない! と思われる点も多々あるとは思いますが、大筋の変更はしない予定です。 フィクションなので。 多少不愉快な表現等ありますが、ネタバレになる事前の注意は行いません。この表現ついていけない…と思ったらそっとタグを閉じていただけると幸いです。 当時、だいぶ未来の話として書いていた部分がすでに現代なんで…そのあたりはもしかしたら現代に即した感じになるかもしれない。

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

解けない魔法を このキスで

葉月 まい
恋愛
『さめない夢が叶う場所』 そこで出逢った二人は、 お互いを認識しないまま 同じ場所で再会する。 『自分の作ったドレスで女の子達をプリンセスに』 その想いでドレスを作る『ソルシエール』(魔法使い) そんな彼女に、彼がかける魔法とは? ═•-⊰❉⊱•登場人物 •⊰❉⊱•-═ 白石 美蘭 Miran Shiraishi(27歳)…ドレスブランド『ソルシエール』代表 新海 高良 Takara Shinkai(32歳)…リゾートホテル運営会社『新海ホテル&リゾート』 副社長

課長と私のほのぼの婚

藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。 舘林陽一35歳。 仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。 ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。 ※他サイトにも投稿。 ※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。

処理中です...