キミのとなり

樺純

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第四十三話

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純太サイド

仕事が終わって俺は慌てて帰る用意をする。

J「お疲れ様です!!お先です!!」

S「お…お疲れ?そんな慌ててどっか行くのか…?」

誠司さんに呼び止められた俺は昨日のこともあり、思わず口籠もる。

J「えっと…いや…その…」

S「アヨに会うのか?」

誠司さんの目はいつもの優しくて穏やかな目ではなく冷たい。

J「えっ!ち、違います!ユオです…ちゃんと昨日のこと謝りたくて…」

S「なんだユオちゃんとか!そ~かそ~か!よろしく伝えといて~!お疲れちゃん。」

ユオの名前を出した途端にいつもの優しくて明るい誠司さんに戻って俺はホッと胸を撫でおろす。

J「あ…はい…お疲れさまです。」

俺は少し時間を気にしながらダッシュで近くにあるケーキ屋に駆け込み、プリンとチョコを全種類を購入しユオのマンションまで急いだ。

J「確か…〇〇通りの〇〇マンションってこの辺…だよな…?」

俺がスマホのナビを見ながら周りをキョロキョロしてマンションを探してるといきなり後ろから肩を掴まれた。

「ちょっと!昨日はどういことなの!?」

あまりのドスの効いた声の迫力に怯えながら振り返ると、そこにはいつも甘々声で誠司さんと話してる美沙さんがいた。

J「み…美沙さん!?なんでここに!?」

 美「ユオが心配でユオの顔見に行ってたのよよ!純太くんさ?昨日、ユオに嘘までついてあの女となにやってたのよ!?」

いつの間にか呼び捨てで呼ばれ、あのいつも聞く甘々声は偽りだったのかと思いながら俺が答える。

J「そ…それは…」

しかし、美沙さんはそれを遮るように言った。

美「まぁ、いいよ!ユオも待ってるだろうし、今度、詳しくゆっくりと聞くから!純太くんにひとつだけ朗報だよ。ユオは昨日のこと飲みすぎて覚えていない。」

J「えっ?そうなんですか?って…なんで俺にそんな事…」

 美「2人を出会わせた私が言うのもなんだけど、ユオの事なんとも思ってないならもう、関わらないであげて欲しい。傷口は浅いほうがいいから…でも…もし…純太くんがユオに好意を持ってるなら…これは私からのは最後のチャンスだと思って。どうするかは純太くん次第だけど。」

J「えっ?それって……」

美「じゃ…早く行きな。ユオがカレー作って待ってる。」

美沙さんは俺の肩を持ちグイッと押すと足早に帰って行った。

そして、横を見るとユオのマンションがあり、俺は微かに震える手でユオの家のインターホンを押した。

つづく
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