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第七十七話
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純太サイド
俺は情け無いこおにひとりで何も決着をつけれなかった。
周りの人に助けられてやっとケリをつけれた。
ユオに会いたい…
ユオは許してくれる…?
ユオはまだ俺のこと…好き…?
頭の中でそう問いかけながらユオと家へと急いだ。
マンションに着き、俺はユオの部屋に向かい、思わず足を止めた。
J「えっ…?」
そう、そこには真人くんと抱き合うユオの姿があったから。
J「嘘だろ…もしかして…同い年の溺愛くんって…真人くんかよ…」
俺はあまりの衝撃で後づ去りした。
ガチャン!
俺は後ろに鉢植えがあるのに気づかず倒してしまった。
J「あ…」
M「え?純太?」
ユオは顔をあげたものの真人くんに寄りかかっている。
やば…この光景…キツ…
J「あぁ…真人くんお久しぶりです!元気ですか?あはあはあははは~」
M「何笑ってんだよ!!みてないで早くコッチ来て手伝え!ユオが大変なんだよ!」
真人くんはそう言って俺を手招きすると、そのはずみでユオは力なく倒れ込みそうになり、真人くんがまたユオを支える。
J「ユオが…どうしたんですか?」
俺は慌てて2人にかけ寄った。
薄明かりで久しぶりに見るユオはベロベロに酔っ払っていた。
J「真人くん、またこんなにユオを酔わせてどういうつもりなんですか。」
M「えっ!?俺じゃないよ!俺が店に迎えに行った時にはもうすでに出来上がってたよ!!」
J「マジか…じゃ、ユオひとりでこんなになるまで飲んだって事かよ…」
M「とりあえず、俺もユオの部屋に入るけど怒らないでよ?」
J「怒んないですよ。俺がそんなこと言える立場じゃないですから。」
俺はユオのカバンから鍵を取り出し、部屋の鍵を開けて真人くんと2人でユオを抱えて中へと入る。
ユオはうめき声らしき声をあげながらソファでグッタリ。
ユオの部屋には一度しか来てないのになぜか懐かしい匂いがした。
水を取りにキッチンへ行くと微かにカレーの匂いがし、そこにはユオの手作りカレーが入った鍋が置かれていた。
あの日と同じだ。
あんなに食欲なかったはずなのにユオのカレーを見た瞬間、俺の腹は今すぐ飯をくれと絶叫している。
勝手に食ったら怒られるかな?
でも、どうせ俺は今日、ユオに怒られる日だし食べちゃおう。
俺は厚かましく勝手にカレーの鍋に火をつけた。
M「純太、勝手になにやってるんだよ?」
J「あぁ…腹減ったからこのカレー食おうと思って…真人くんも食べますか?」
M「いや…俺は帰るよ…!でもその前にちょっといい?」
J「どうしました?」
M「あのさ?俺、ユオに告った。」
真人くんは顔色ひとつ変える事なく真っ直ぐ俺の目を見てそう言った。
俺はそんな真人くんを前にどうすればいいのか分からず、黒目が泳ぐ。
J「えっと…そうなんですね…」
M「だからユオの事…もらってもいい?ってか純太にはアヨさんっていう素敵な彼女がいるからいいよね?」
真人くんの目は冗談でもなんでもない。
マジの目をしていて俺の胸を動揺させる。
ダメ…ヤダ…
絶対にユオはあげたくない…
そう心の中から叫ぶ俺は震える唇で言った。
J「…あげない…」
M「え?」
J「ユオはあげれません…ユオは俺の事キライかもしれないけど、俺はユオが好きだから…諦めるなんて出来ない…」
なんとか言えた本心。
ユオには拒否されるかもしれないけど、真人くんに渡す訳にはいかないんだ。
すると、真人くんは突然声を上げて笑い出した。
M「…ぶっはぁ!その言葉を聞いてホッとした!」
K「えっ?真人くん何言ってんの?」
M「俺、ユオにキッパリ振られた。だから、俺が入る隙がないぐらいユオのそばにいろよ。じゃなきゃ俺…ユオの事ずっと諦められない…」
J「真人くん…」
M「じゃ、そういうことで俺は帰るね。純太?寝込みを襲うのはルール違反だよ?」
J「襲いませんよ。ありがとうございました…」
M「今度、俺の失恋パーティーしてね~」
真人くんはワザと明るく笑いながら帰って行った。
ふとカレーを見るとヤベェ…焦げた…。
慌て火を止めてお皿にカレーをよそって…って皿がない。
どこに皿はあるのだろう?早く食いたいのに食べれなくてもどかしい。
あっ!これでいいや。
俺は横に置いてあった大きめの変な形のマグカップにカレーをよそう。
ご飯はないので我慢した。
よし、いただきます。
そう思いながらユオの眠るソファにいくとユオはゴソゴソと動き出す。
Y「うぅ~ん~純太くん~Zzz…Zz…」
えっ?寝言?
寝言で俺の名前呼んでんの?
…一体どんな夢みてんだろう…
俺はここにいるよ?悲しい想いさせてごめんね…ユオ…
俺は眠るユオを覗き込み優しく頭をなでる。
寝顔も可愛いな…そう思いながら見惚れているとまた、ユオがごにょごにょと寝言を言いはじめた。
Y「…うぅ…純太くんの…アホ…Zzz…Zzz」
アホ?えっ?
アホって今言ったよね?
思わず優しく撫でてた手を止めて…ユオの鼻を摘んだ。
つづく
俺は情け無いこおにひとりで何も決着をつけれなかった。
周りの人に助けられてやっとケリをつけれた。
ユオに会いたい…
ユオは許してくれる…?
ユオはまだ俺のこと…好き…?
頭の中でそう問いかけながらユオと家へと急いだ。
マンションに着き、俺はユオの部屋に向かい、思わず足を止めた。
J「えっ…?」
そう、そこには真人くんと抱き合うユオの姿があったから。
J「嘘だろ…もしかして…同い年の溺愛くんって…真人くんかよ…」
俺はあまりの衝撃で後づ去りした。
ガチャン!
俺は後ろに鉢植えがあるのに気づかず倒してしまった。
J「あ…」
M「え?純太?」
ユオは顔をあげたものの真人くんに寄りかかっている。
やば…この光景…キツ…
J「あぁ…真人くんお久しぶりです!元気ですか?あはあはあははは~」
M「何笑ってんだよ!!みてないで早くコッチ来て手伝え!ユオが大変なんだよ!」
真人くんはそう言って俺を手招きすると、そのはずみでユオは力なく倒れ込みそうになり、真人くんがまたユオを支える。
J「ユオが…どうしたんですか?」
俺は慌てて2人にかけ寄った。
薄明かりで久しぶりに見るユオはベロベロに酔っ払っていた。
J「真人くん、またこんなにユオを酔わせてどういうつもりなんですか。」
M「えっ!?俺じゃないよ!俺が店に迎えに行った時にはもうすでに出来上がってたよ!!」
J「マジか…じゃ、ユオひとりでこんなになるまで飲んだって事かよ…」
M「とりあえず、俺もユオの部屋に入るけど怒らないでよ?」
J「怒んないですよ。俺がそんなこと言える立場じゃないですから。」
俺はユオのカバンから鍵を取り出し、部屋の鍵を開けて真人くんと2人でユオを抱えて中へと入る。
ユオはうめき声らしき声をあげながらソファでグッタリ。
ユオの部屋には一度しか来てないのになぜか懐かしい匂いがした。
水を取りにキッチンへ行くと微かにカレーの匂いがし、そこにはユオの手作りカレーが入った鍋が置かれていた。
あの日と同じだ。
あんなに食欲なかったはずなのにユオのカレーを見た瞬間、俺の腹は今すぐ飯をくれと絶叫している。
勝手に食ったら怒られるかな?
でも、どうせ俺は今日、ユオに怒られる日だし食べちゃおう。
俺は厚かましく勝手にカレーの鍋に火をつけた。
M「純太、勝手になにやってるんだよ?」
J「あぁ…腹減ったからこのカレー食おうと思って…真人くんも食べますか?」
M「いや…俺は帰るよ…!でもその前にちょっといい?」
J「どうしました?」
M「あのさ?俺、ユオに告った。」
真人くんは顔色ひとつ変える事なく真っ直ぐ俺の目を見てそう言った。
俺はそんな真人くんを前にどうすればいいのか分からず、黒目が泳ぐ。
J「えっと…そうなんですね…」
M「だからユオの事…もらってもいい?ってか純太にはアヨさんっていう素敵な彼女がいるからいいよね?」
真人くんの目は冗談でもなんでもない。
マジの目をしていて俺の胸を動揺させる。
ダメ…ヤダ…
絶対にユオはあげたくない…
そう心の中から叫ぶ俺は震える唇で言った。
J「…あげない…」
M「え?」
J「ユオはあげれません…ユオは俺の事キライかもしれないけど、俺はユオが好きだから…諦めるなんて出来ない…」
なんとか言えた本心。
ユオには拒否されるかもしれないけど、真人くんに渡す訳にはいかないんだ。
すると、真人くんは突然声を上げて笑い出した。
M「…ぶっはぁ!その言葉を聞いてホッとした!」
K「えっ?真人くん何言ってんの?」
M「俺、ユオにキッパリ振られた。だから、俺が入る隙がないぐらいユオのそばにいろよ。じゃなきゃ俺…ユオの事ずっと諦められない…」
J「真人くん…」
M「じゃ、そういうことで俺は帰るね。純太?寝込みを襲うのはルール違反だよ?」
J「襲いませんよ。ありがとうございました…」
M「今度、俺の失恋パーティーしてね~」
真人くんはワザと明るく笑いながら帰って行った。
ふとカレーを見るとヤベェ…焦げた…。
慌て火を止めてお皿にカレーをよそって…って皿がない。
どこに皿はあるのだろう?早く食いたいのに食べれなくてもどかしい。
あっ!これでいいや。
俺は横に置いてあった大きめの変な形のマグカップにカレーをよそう。
ご飯はないので我慢した。
よし、いただきます。
そう思いながらユオの眠るソファにいくとユオはゴソゴソと動き出す。
Y「うぅ~ん~純太くん~Zzz…Zz…」
えっ?寝言?
寝言で俺の名前呼んでんの?
…一体どんな夢みてんだろう…
俺はここにいるよ?悲しい想いさせてごめんね…ユオ…
俺は眠るユオを覗き込み優しく頭をなでる。
寝顔も可愛いな…そう思いながら見惚れているとまた、ユオがごにょごにょと寝言を言いはじめた。
Y「…うぅ…純太くんの…アホ…Zzz…Zzz」
アホ?えっ?
アホって今言ったよね?
思わず優しく撫でてた手を止めて…ユオの鼻を摘んだ。
つづく
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