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116話

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ジョウキside

俺はアナからの手紙を読んでも現実味がなくて意外に頭の中は冷静だった。

でも、1人で抱え込めるほどの心の余裕はなくて俺はマハロくんに電話した。

話してる間に涙が頬をつたってぽたぽたと落ちていく。

これはマハロくんに言いたい言葉じゃない本当に言いたい人はアナだ。

だけど伝える相手であるアナがいなくなってしまった今、俺はマハロくんに伝える事でしか自分の感情を処理出来ずにいた。

J「マハロくんは…運命って信じる?」

M「え?」

J「俺は信じる…何度でもアナを見つて…惚れさせる…」

俺は流れ落ちる涙をパーカーの袖で拭き、スマホをテーブルに置いて心に決めた。

何度でもアナを探して見つけてやる。

アナがどこにいようが俺から隠れようが俺が見つけて俺に惚れさせる。

俺を忘れるなんて絶対許さない。

俺はそうでも思わないと息をする事さえ忘れそうで…自分で自分を奮い立たせた。

その時ふと頭によぎったのはトウヤくんだった。

俺がトウヤくんに電話をしようとしたら部屋のインターホンが鳴った。

俺が慌ててモニターを見るとそこにはトウヤくんが俯いて立っていた。

俺はオートロックをあけ、部屋に来たトウヤくんをリビングへと案内した。

J「トウヤくん…」

T「アナがいなくなっちゃった。俺さ信じられなくてもう一回家に行ってた…けど…やっぱいなくて…。どうすればいいか分かんなくて…ジョウキのとこに来たんだ…。」

トウヤくんの瞳には涙が今にもこぼれ落ちそうなほど揺らいでいて、自分も同じ状況なのに弱々しいトウヤくんの姿を見て胸が痛む。

J「何やってんすか…。」

俺はトウヤくんが座るソファに少し間隔をあけて座った。

T「なんでジョウキはそんな平気なんだよ?アナがいなくなったんだぞ!?なんとも思わねぇのかよ!?アナのこと好きだったんじゃねぇのかよ!!」

トウヤくんは涙を零しながら力任せに俺の胸ぐらを掴んだ。

J「好きだったんじゃなくて好きだよ!今でも…これからもずっと…俺はアナが好きだよ…」

俺がそう言うとトウヤくんはゆっくりと手を下ろし…泣きじゃくった。

T「じゃなんでだよ…なんで…そんな…平気な顔していられるんだよ…。」

J「また会えるから。俺とアナが運命の相手ならまた絶対に巡り会うから…」

T「なんだよそれ…」

J「トウヤくんが俺に言ったんですよこの言葉。アナがそう決めたなら今の俺らにはどうすることもできないでしょ…だから、振られた者同士…今日はヤケ酒でも飲みません?」

俺はトウヤの肩をそっと叩き、冷蔵庫にあるビールを取りに行った。


つづく
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