【BL】記憶のカケラ

樺純

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38話

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キイチside

俺はイオリくんと話し終えた後、ノイルくんに頼まれていた物を慌てて買い出しに行き店に戻ると、焦った顔をしたノイルくんがコック服のボタンを一つ外しながら裏に行こうとしていた。

N「キイチ、ちょうどいい所に帰ってきた。」

K「なにかあったんですか?」

N「それがさっき、タカラがうちの店に来たんだけど顔が色真っ青でさ…体調悪そうだったからとりあえずマンションに帰らせたんだよ。お前、タカラのこと見てきてやってくんない?」

K「え…タカラくんが!?見てきます!!」

俺はまさか、自分がいない間にタカラくんが体調を悪くしているとは思ってもいなくて走ってマンションの方へと向かう。

途中のコンビニで栄養ドリンクやスポーツドリンクと冷えピタ、ゼリーやプリンなどを買い込み、俺は思い出す記憶を頭の中でもう一度整理しながらタカラくんのマンションまで走った。

全て思い出した俺の記憶の中には苦しく葛藤する感情やもどかしい気持ちがあり、その想い全てが誰に対するモノなのかが明確となった今……

もう、俺に迷いはなかった。

マンションに着きオートロックを開けて中に入り暗証番号を押して玄関の扉を開ける。

すると、そこには青白い顔をしたタカラくんがソファに寝そべっていてつい、俺の溢れ出しそうになるのを深呼吸で落ち着かせゆっくりとおでこに手を置いた。

手のひらから伝わってくる温もりが愛おしくて堪らない。

K「体調悪いなら連絡くらいしろよ……」

いつもくだらない時は俺に甘えてくるくせにいざという時には俺に頼らない…タカラくんはそんな人。

それがまた、俺にしたら歯痒くてもどかしくて苦しかった。

じっと見つめるタカラくんの寝顔は何度目だろう…

もう、そんなの覚えていない。

俺は飽きるほどタカラくんの寝顔ばかりをじっと見つめてきたのだから。

導かれるようにタカラくんの唇に近づき…そっと自分の唇を重ねる。

俺のこと…好きになってと心の中で祈りながら。

すると俺は突然、突き飛ばされ尻もちをついた。

K「痛ぇ……いきなり突き飛ばすなよ…」

T「そっちがキスしてくるから……」

寝ていたと思っていたはずのタカラくんはぱっちりと目が開いていて飛び起き…寝顔にキスをしているのがバレて気まずい俺は目を逸らしながら正直な気持ちを言った。

K「好きだからしょうがないじゃん…。」

T「は!?キイチが好きなのは俺じゃなくてイオリだろ…!?」

タカラくんの口からイオリくんの名前が出て一瞬、動揺したが俺はタカラくんの目をじっと見つめるとハッキリと言った。

K「違う!俺が好きのは!!子供の時からずっと…タカラくんだけだった!!」

俺はそう言うとタカラくんの手を掴み、自分の元に引き寄せ、腕の中に閉じ込めるとそのまま唇を塞いだ。

つづく
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