37 / 45
37話
しおりを挟む
キイチside
「俺だって同じ幼なじみなのにタカラだけみんなから愛されて可愛がられて…何より昔からミズキに大切にされて特別扱いされてるタカラが羨ましくて憎かったんだよ!だからタカラが1番可愛がっていたキイチをタカラから奪ってやろう…そう思ったんだ。」
そう話しているイオリくんは思い出したばかりの俺の記憶の中にいるイオリくんと同じ目をしていて、10年近く経った今でもタカラくんを憎んでいるのかもしれないと思った俺は微かに手が震える。
K「…だから俺を脅して付き合おうとしたと?」
「あぁそうだよ。俺は母さんからの期待で押し潰されてしまいそうなのにタカラだけみんなと遊んで楽しんで自分のやりたい事だけやって…そんな自由なタカラが大っ嫌いだった!あいつが苦しんで悲しめばなんでも良かったんだよ!!」
ヒステリックにそう泣き叫ぶとイオリくんは走り出し、その後ろ姿を見た俺はあの日…事故に遭った時の映像がフラッシュバックした。
そうだ…俺…
道路に飛び出したのはイオリくんだったのに、タカラくんが道路に飛び出した錯覚に襲われて必死でイオリくんを助けたんだった。
あの時に感じていた感情を鮮明に思い出すなか俺はまた、あの頃のようにイオリくんの背中を追いかけ…
イオリくんが道路に飛び出す直前で手首を引っ張り止めた。
K「また、自分の思い通りにならないからって…死のうとするの?もうやめなよそんな生き方…もう10年経ってんだよ……いい加減、大人になれって……」
俺がそう言ってイオリくんの腕から手を離すとジワッとイオリくんの目には涙が溢れていて、その泣き顔はタカラくんとは違い、俺の胸を締め付けることはなく、俺の心をさらに冷めさせて頭を現実的にさせた。
「偶然、ノイルくんと再会したとき言われたんだ…何があったかは知らないけどお前のせいで未だにキイチもタカラも苦しんでるよって………そろそろ2人を解放してあげてほしいって…もう十分過ぎるほど2人を苦しめただろって…俺だって苦しかったのに…みんなしてタカラの心配ばっかり…。」
K「だから、また俺たちを苦しめようと思って現れたの?」
「そうじゃない!!そうじゃなくて…ただ…俺だって普通に幼なじみとしてみんなと一緒に話してみたかった…キイチにごめんねって謝って…仲間に入れて欲しかった…でもタカラのあの冷たい目を見ると、あの頃と同じ苛立ちを思い出して…お前はまともに謝ることすら出来ないダメな人間だって言われてるみたいで耐えられなくて…何も言わずに帰ったんだ……」
K「…俺はタカラくんがそんな目で見た理由…間違ってないと思うけどね。実際…謝罪はしてないんだから。」
「……」
K「…俺たち…もう会わない方がいい…俺とイオリくんが一緒にいたら…周りも自分達も苦しむ。今度見かけてももう…話しかけないで欲しい。」
俺が冷たく突き放すようにそう言うと、イオリくんは泣き顔のままぎこちない笑みを浮かべた。
「分かったよ…もう会いに来ないから安心して…10年経って俺は変われなかったけど…2人の気持ちも10年経っても変わらなかったんだな…嫌なほどタカラと俺は似てるのに…俺の入る隙間なんていつもどこにもなかった。」
K「タカラくんは誰かを傷つけてまで自分が幸せになろうとはしない人だからね。むしろあの人は自分が損をしてでも人が幸せになる事を願ってる。そこがイオリくんとタカラくんの決定的な違いだよ。」
俺はイオリくんにそう言って立ち去ろうとすると、イオリくんが微かに震えた手で俺の腕を掴み、俺は立ち止まった。
「キイチ…あ…あの時…助けてくれてありがとう……辛い思いさせて…ごめん…」
イオリくんは俺に引き攣った声でそう言うとゆっくりと俺の腕から手を離した。
K「イオリくんが謝らないといけない相手…もう1人いると思うよ。」
俺はイオリくんにそれだけ伝えると足早にその場を立ち去った。
イオリくんと話をし全てを思い出した俺は、ずっと気になりながら生きてきた胸のつっかえが全て取れたような気分で、今日仕事が終わったらちゃんとタカラくんに話をしに行こうと心に決めた。
つづく
「俺だって同じ幼なじみなのにタカラだけみんなから愛されて可愛がられて…何より昔からミズキに大切にされて特別扱いされてるタカラが羨ましくて憎かったんだよ!だからタカラが1番可愛がっていたキイチをタカラから奪ってやろう…そう思ったんだ。」
そう話しているイオリくんは思い出したばかりの俺の記憶の中にいるイオリくんと同じ目をしていて、10年近く経った今でもタカラくんを憎んでいるのかもしれないと思った俺は微かに手が震える。
K「…だから俺を脅して付き合おうとしたと?」
「あぁそうだよ。俺は母さんからの期待で押し潰されてしまいそうなのにタカラだけみんなと遊んで楽しんで自分のやりたい事だけやって…そんな自由なタカラが大っ嫌いだった!あいつが苦しんで悲しめばなんでも良かったんだよ!!」
ヒステリックにそう泣き叫ぶとイオリくんは走り出し、その後ろ姿を見た俺はあの日…事故に遭った時の映像がフラッシュバックした。
そうだ…俺…
道路に飛び出したのはイオリくんだったのに、タカラくんが道路に飛び出した錯覚に襲われて必死でイオリくんを助けたんだった。
あの時に感じていた感情を鮮明に思い出すなか俺はまた、あの頃のようにイオリくんの背中を追いかけ…
イオリくんが道路に飛び出す直前で手首を引っ張り止めた。
K「また、自分の思い通りにならないからって…死のうとするの?もうやめなよそんな生き方…もう10年経ってんだよ……いい加減、大人になれって……」
俺がそう言ってイオリくんの腕から手を離すとジワッとイオリくんの目には涙が溢れていて、その泣き顔はタカラくんとは違い、俺の胸を締め付けることはなく、俺の心をさらに冷めさせて頭を現実的にさせた。
「偶然、ノイルくんと再会したとき言われたんだ…何があったかは知らないけどお前のせいで未だにキイチもタカラも苦しんでるよって………そろそろ2人を解放してあげてほしいって…もう十分過ぎるほど2人を苦しめただろって…俺だって苦しかったのに…みんなしてタカラの心配ばっかり…。」
K「だから、また俺たちを苦しめようと思って現れたの?」
「そうじゃない!!そうじゃなくて…ただ…俺だって普通に幼なじみとしてみんなと一緒に話してみたかった…キイチにごめんねって謝って…仲間に入れて欲しかった…でもタカラのあの冷たい目を見ると、あの頃と同じ苛立ちを思い出して…お前はまともに謝ることすら出来ないダメな人間だって言われてるみたいで耐えられなくて…何も言わずに帰ったんだ……」
K「…俺はタカラくんがそんな目で見た理由…間違ってないと思うけどね。実際…謝罪はしてないんだから。」
「……」
K「…俺たち…もう会わない方がいい…俺とイオリくんが一緒にいたら…周りも自分達も苦しむ。今度見かけてももう…話しかけないで欲しい。」
俺が冷たく突き放すようにそう言うと、イオリくんは泣き顔のままぎこちない笑みを浮かべた。
「分かったよ…もう会いに来ないから安心して…10年経って俺は変われなかったけど…2人の気持ちも10年経っても変わらなかったんだな…嫌なほどタカラと俺は似てるのに…俺の入る隙間なんていつもどこにもなかった。」
K「タカラくんは誰かを傷つけてまで自分が幸せになろうとはしない人だからね。むしろあの人は自分が損をしてでも人が幸せになる事を願ってる。そこがイオリくんとタカラくんの決定的な違いだよ。」
俺はイオリくんにそう言って立ち去ろうとすると、イオリくんが微かに震えた手で俺の腕を掴み、俺は立ち止まった。
「キイチ…あ…あの時…助けてくれてありがとう……辛い思いさせて…ごめん…」
イオリくんは俺に引き攣った声でそう言うとゆっくりと俺の腕から手を離した。
K「イオリくんが謝らないといけない相手…もう1人いると思うよ。」
俺はイオリくんにそれだけ伝えると足早にその場を立ち去った。
イオリくんと話をし全てを思い出した俺は、ずっと気になりながら生きてきた胸のつっかえが全て取れたような気分で、今日仕事が終わったらちゃんとタカラくんに話をしに行こうと心に決めた。
つづく
1
あなたにおすすめの小説
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
記憶喪失のふりをしたら後輩が恋人を名乗り出た
キトー
BL
【BLです】
「俺と秋さんは恋人同士です!」「そうなの!?」
無気力でめんどくさがり屋な大学生、露田秋は交通事故に遭い一時的に記憶喪失になったがすぐに記憶を取り戻す。
そんな最中、大学の後輩である天杉夏から見舞いに来ると連絡があり、秋はほんの悪戯心で夏に記憶喪失のふりを続けたら、突然夏が手を握り「俺と秋さんは恋人同士です」と言ってきた。
もちろんそんな事実は無く、何の冗談だと啞然としている間にあれよあれよと話が進められてしまう。
記憶喪失が嘘だと明かすタイミングを逃してしまった秋は、流れ流され夏と同棲まで始めてしまうが案外夏との恋人生活は居心地が良い。
一方では、夏も秋を騙している罪悪感を抱えて悩むものの、一度手に入れた大切な人を手放す気はなくてあの手この手で秋を甘やかす。
あまり深く考えずにまぁ良いかと騙され続ける受けと、騙している事に罪悪感を持ちながらも必死に受けを繋ぎ止めようとする攻めのコメディ寄りの話です。
【主人公にだけ甘い後輩✕無気力な流され大学生】
反応いただけるととても喜びます!誤字報告もありがたいです。
ノベルアップ+、小説家になろうにも掲載中。
【完結】言えない言葉
未希かずは(Miki)
BL
双子の弟・水瀬碧依は、明るい兄・翼と比べられ、自信がない引っ込み思案な大学生。
同じゼミの気さくで眩しい如月大和に密かに恋するが、話しかける勇気はない。
ある日、碧依は兄になりすまし、本屋のバイトで大和に近づく大胆な計画を立てる。
兄の笑顔で大和と心を通わせる碧依だが、嘘の自分に葛藤し……。
すれ違いを経て本当の想いを伝える、切なく甘い青春BLストーリー。
第1回青春BLカップ参加作品です。
1章 「出会い」が長くなってしまったので、前後編に分けました。
2章、3章も長くなってしまって、分けました。碧依の恋心を丁寧に書き直しました。(2025/9/2 18:40)
林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
楽な片恋
藍川 東
BL
蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。
ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。
それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……
早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。
ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。
平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。
高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。
優一朗のひとことさえなければ…………
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる