愛を知らないキミへ

樺純

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最終話

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アノンサイド

二号店であるspaceに着くと既に店はオープンしていて人だかりが出来ていて、タクシーを降り店にはいるとユサの姿が見え私は小走りでユサの元に駆け寄った。

A「ごめん。遅くなった。」

Y「アノン…遅刻とはいい度胸してんな?」

ユサは飲み物を作りながら慌てている私をみて鼻で笑いそう言った。

A「ごめん。でも、ユサだっていつも私に任せっきりで遅刻してんじゃん?」

ユサは最近、手の怪我が完全に治ったというのに店を私に任せてよく遅刻して出勤してくる。

Y「俺はここのマスターだからいいの。アノン…お前は俺に雇われてるんだ。勘違いすんなよ?さっさと着替えてこい。」

なんてユサは言うけれど私は雇われた訳ではなく、ユサの怪我が治るまで手伝うだけのつもりなのに~と思いながら裏に行き、エプロンを付けてカウンターに出るとチラッと私を睨むユサがいた。

A「ごめんってば。」

Y「まぁ、いいけど。」

ユサはそう言いながら私に飲み物を渡し、あのお客様だと指示を出して、私は少し離れた場所に座るお客様にそれを出した。

カウンターに戻りグラスを洗っているとユサが店内の様子を伺いながら私の横にきた。

Y「なんかあったのか?」

A「………ラノン…結婚するんだって……」

私の言葉にユサは一瞬、動きを止めグラスを洗いながら話す私をジッとみつめる。

A「私の初恋の人と…同じ人を好きになるなんてやっぱり双子だよね。」

Y「だな。」

ユサは笑いながらお客さんの呼び出しに応えテーブル席へと向かった。

「どういうこと!?俺、ラノンと結婚しないけど!?」

その声を聞いた私が振り返るとそこにはキヒヤがいて私はビクッと驚く。

A「びっくりした~!なにが?」

K「今、私の初恋の人とラノンが結婚するって…俺ラノンと結婚しないけど!?」

キヒヤの言葉を聞いて、こやつは私とユサの話を盗み聞きしてたんだな…と悟る。

そして、何故かこやつは自分が私の初恋相手だと勘違いしているようで少し笑いが込み上げてきた。

K「何がおかしいんだよ。俺は真剣に聞いてんの。」

A「だってさ?キヒヤは私の初恋が自分だと思ってんでしょ?」

K「は?だってそうじゃんアノンの初恋は俺だろ?」

A「残念ながら違います。私の初恋は泣き虫のタツ。あんたとよく喧嘩してあんたが泣かせてたあのタツ。ラノンはタツと結婚するの。」

K「えぇぇぇええぇぇえ!!」

キヒヤはそう驚いていて、キヒヤと話している間に手のあいたミネトの所に私は向かった。

A「この度はオープンおめでとうございます。初日から大盛況ですね?」

私がそうミネトに声をかけるとミネトは照れ臭そうに笑っていた。

するとちょうど昨日、タツに頼んだばかりの花が到着しタツが店内に入って来た。

A「タツ、急がせてごめんね?」

T「いいよ。ここに置いておくね?」

そう言ってタツが店内に花を置くとキヒヤに気づいたのか、幼稚園の時のようにスッと私の背中にタツは隠れた。

K 「タツ久しぶりじゃん。」

T「ひ…久しぶり…」

K「ラノンと結婚するだって?」

T「そうだけど…」

K「おめでとう…幸せにしてやれよ。」

キヒヤはそう言うと中に入っていき、タツはホッとした様子だった。

T「キヒヤ全然変わんないね。」

A「たしかにw」

そしてタツは帰り、店内は益々慌ただしくなっていき店の外にまで行列が出来ていた。

ミネトとキヒヤは終始忙しく動き回っていて、そんな様子をユサは嬉しそうに見つめながら接客をしていた。

あっという間にケーキは完売し、記念すべきオープン初日は無事に終わった。

M「ハァァァア~疲れた~!!」

動きっぱなしだったミネトはようやくホッとひと息つきソファに座った。

A「コラボの売れ行きどうだった?」

M「やっぱ、めちゃくちゃ良かった。1番に品切れなった。明日もう少し個数増やすかな~」

A「いや、今日と同じ個数にしたら?いや、経営まで口出すつもりはないんだけどさ、いつ来てもあるケーキより、もしかしたら手に入らないかもしれないケーキの方がお客様は食いつきやすいから。」

M「なるほど…確かに…」

A「その分、ミネトが作ったケーキの個数を増やすといいと思う。コラボ作品がもし先に完売したとしてもそっちの個数がしっかりあれば、ミネトのケーキが売れるし、きっと一度ミネトのケーキを食べた人はこの店のファンになると私は思うよ。」

私がそういうとミネトはさすが独立してやっていこうって人の考えは違うね~なんてわざとらしく言っていた。

そんな私とミネトの様子をみたユサが改まって私の前の椅子に座った。

A「ん?どうしたの?」

Y「アノンが俺の店を手伝うようになってからずっと考えてたんだけど。」

ユサは真剣な顔をして私にそう話すので私はこれは只事ではないと思い、少し背筋を伸ばして座り直した。

A「なに?」

Y「これからも一緒に働きたい…」

A「これからも?」

Y「そう…夫婦として一号店を俺と一緒に切り盛りして欲しい。」

A「ふう…ふ?」

夫婦とは…夫婦とは…夫婦!?

A「えぇぇぇええぇぇえ!?それってもしかしてプロポーズ!?」 

Y「そうだ。俺と結婚しよう?」

………。

結婚?

夫婦?

私が?

ユサのお嫁さん?

これは夢?

そう思った私は隣に座っているキヒヤの頬を思いっきりつねってみた。

K「いてぇぇえ!!何すんだよ!!」

A「痛い?キヒヤ本当に痛い?」

K「めちゃくちゃ痛いわ!」

A「よかった…夢じゃないんだ…。…なる…私ユサのお嫁さんになる!!」

K「おうおう…なんだか海賊王になるノリだな。」

Y「海賊王でもなんでもいいよ。俺はもうアノンを離さないって決めてるから。」

ユサがそう言って手を伸ばし私の手を握るとキヒヤは俺の前でまじ勘弁してよ~と言いながら頭を抱えていた。

1年後

私はめでたくユサと夫婦となった。

挙式は親族だけで行い、友人達を招待した披露ではキヒヤとミネトがウエディングケーキを作ってプレゼントしてくれた。

ラノンも半年前に無事退院し、3ヶ月前にタツと結婚式をあげ、来月にはサラナとミネトの結婚式が控えている。

そして、今…

ウエディングドレスを着ている私のお腹の中には双子の赤ん坊が宿っている。

安定期に入ったものの、まだ産休には入ってない私をユサは毎日のように口うるさく心配してくれ、私はそんなユサが愛しくてたまらない。

私が隣にいるユサを見つめながらそんな事を思っているとユサが気づき私を見つめる。

Y「アノン…幸せ?」

そうユサに問いかけられた私はユサの頬に手を伸ばしこたえた。

A「幸せだよ…ユサのおかげで…」

ユサの頬を自分の元にゆっくり引き寄せると、私はそっとユサと唇を重ねた。

おわり

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