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38話

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ジュンペイside

「赤ちゃん…だと?」

J「旦那様その件なのですが…」


旦那様はバッと勢いよく立ち上がると俺とトルハくんは思わず後退り手と手を取り合う。


すると旦那様は壁に飾られてある日本刀を勢いよく手に取り、スパッと音を立てながら刃先を俺へと向けた。


「どういうことだ…?」


そう言って近づいてくる旦那様に俺は震え上がると、ヤヨイさんがが俺たちの前に庇うようにして身を乗り出した。


Y「叔父様落ち着いてください!!二人は叔父様が考えているよりもずっと深く愛し合ってます。トルハはこの子が宿ると私と全く同じように悪阻をし、精神的に不安も感じ、その中でも子供ことや会社の事までしっかりと考えてました。もう、二人は子供じゃないんです…叔父様…家族として二人を見守って上げましょうよ。」


俺はヤヨイさんの熱く優しい言葉に涙が出そうになるのをグッと堪えた。


すると、燃え盛っていた旦那様の背後の炎が少しずつ鎮火していき、俺は魂が抜け出してしまいそうになるのを必死で自分の中に止めていると、旦那様は力なく日本刀を床に落とした。


T「父さん…お願い…頼むよ…俺も父さんみたいになりたいんだよ…ジュンペイと2人でこの子を育てたいんだよ!!社長としてもちゃんと仕事頑張るから…」

「どうやって頑張るって言うんだ?これからお腹が大きくなっていくヤヨイに子供のことは全部任せてお前とジュンペイは呑気に会社で仕事か?そんな片手間で子育てが出来るとでも?尊い命なんだぞ?」


旦那様がそう言うとトルハくんは悔しそうに下唇をギュッと噛みしめ下を向いた。


J「私が…ヤヨイさんに付き添い、生まれたあとは子育てをします…。」


それが俺たちが何度も何度も話し合って出した答え。


執事として坊っちゃんのそばにいた頃のように、俺が屋敷で子育てをして社長業に励む坊っちゃんを支える。


2人でそれが一番のベストだと納得した。


「ジュンペイが?」

J「はい。産まれるまでは坊っちゃんと共にヤヨイさんのお側でサポートをし、ヤヨイさんの出産後は私が家で主夫として子育てをします。なので、旦那様にお願いがあります。私はヤヨイさんの出産後、坊っちゃんの秘書を続けるのは難しくなります。なので、マヤトさんをまた坊っちゃんの秘書として雇って頂けませんか?」

「マヤトは確か海外に留学に行ったはずじゃ…?」

T「もうすぐこっちに帰ってくるんだ。だから父さんお願い…俺にとったらお腹の赤ちゃんもこの会社も同じくらい大切で宝物なんだよ…ジュンペイと協力してやって行きたい…何かを諦めるなんてしたくないんだ…」


トルハくんがそう言うと旦那様は諦めたような顔をしてため息を落とし…


静かに俺の肩を叩いた。


「分かった……ジュンペイ、トルハのこと頼んだよ。」

J「あ…ありがとうございます。」

「ヤヨイも…二人の子供をよろしくお願いします。」

Y「任せてください。私にとっても大切な家族ですから。」

そうして俺たちはなんとか…旦那様に認められた。

つづく
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