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7話
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ある日
私はあの夜の王様のことが気になり、次の日、ジラとニカヤが部屋の前からいなくなると王様に話を切り出した。
T「王様が王様じゃなかったら良かったのにな…」
いつものように私は笑いながらそう言うと王様は眉をクイッとあげてお酒を飲み干した。
Y「そんなこと…俺が今まで何度も思ったことだ…」
そう言ってまた、悲しそうな目をするから…
私は問いかけた。
T「なんで…私を選んだんですか?」
そう問いかけると王様は下を向いて少し苦笑いをする。
Y「俺を…憎んでるか?」
T「え?」
Y「想い人がいると知りながらお前を側室にしたこと…憎んでいるだろ?いいんだぞ…俺を憎め…」
そう言われて私の胸が痛むのはまだ、コハクのことが忘れられず毎晩のようにコハクを思い出しているから。
なのに何故か私は王様を憎みたくても不思議と憎むことなんて出来なかった。
T「憎んでないですよ…でもなんで私だったのかな…って…王様と私は…そういう事もしないのに…」
私がそう言うと王様は下を向いたまま悲し気に微笑み自分で酒を注ぐ。
Y「お前が羨ましいかったんだ…」
T「え?」
Y「あの男に愛しそうに見つめられ愛されているお前が羨ましかった…」
T「それだけで…私を選んだんですか…?」
Y「…そうだ…だから俺を憎めばいいんだよ。」
王様の身勝手で残酷な理由で私とコハクは別れ離れ離れとなったのに…
私は目の前にいるそんな王様に胸が痛くなり…なぜだか泣きたくなった。
T「ジナタさんとユラトさんは愛し合っていたんですね……」
突然、私が口にした名前に王様は固まり私の方を驚いた目で見つめた。
T「ユラトさんの愛するお方は…私と同じ町に住む島流しにされた…ジナタさんでしょ?」
私がそういうと王様は優しく微笑みながら頷いた。
Y「あぁ…そうだよ。」
T「やっぱり…」
Y「小さい頃…俺はよくこの王宮を抜け出して町へと遊びに出掛けたんだ…そこでジナタと俺は出会い…いつしかジナタも役人達の目を盗み王宮に忍び込むようになった…」
T「私もジナタさんから王宮に行ったことがあるとは聞いたことあるけど…ジナタさん忍び込んでたの…!?」
Y「あぁ…俺たちは性格は真逆だったけど気が合って一緒にいることが当たり前で居心地がよくて…同性だというのに愛し合ってしまった……それが大罪だというのに…」
T「大罪…」
Y「この国の王が同性を愛してしまっただなんて前代未聞。絶対にあってはいけない事。王宮の人間が必死で隠したがっている事実であり、王である俺が男を愛し子孫を残せないだなんて王族の血が途絶えてしまう。だから…ジナタは…」
T「ジナタさんと一緒になることを阻まれ別れさせられてたんだね…王宮の人たちに…」
Y「あぁ…。役人達は俺とジナタの関係を知った後、俺の知らない間にジナタを島流しの刑した…そして、女をあらゆる所からかき集め毎晩のように俺に抱かせようとした…でも、俺は抱くことが出来なくて…心が疲れ切った時にたまたまお前達を見かけて…俺は愛し合うお前たちを妬み…僻み…お前たちを…こんな目にあわせたんだ…だから俺のせいなんだよ…」
王様の悲しそうな目の理由がやっと分かった気がした…
ジナタさんを語る王様の目は今までに見たことないほど甘くて優しい。
この2人は心から愛し合っていたんだなと私は思った。
T「ユラトさんだって苦しんでるじゃん…ユラトさんはジナタさんじゃなきゃダメなんでしょ?私がコハクじゃなきゃダメなように…だからあの日の私とコハクに嫉妬したんでしょ…?」
私のその言葉に王様は答えることはなくただ申し訳なさそうに眉を下げ、微笑みながらお酒グイッと飲み…
私はそんな王様を見るとまるで、自分の事のように悲しく胸が痛かった。
つづく
私はあの夜の王様のことが気になり、次の日、ジラとニカヤが部屋の前からいなくなると王様に話を切り出した。
T「王様が王様じゃなかったら良かったのにな…」
いつものように私は笑いながらそう言うと王様は眉をクイッとあげてお酒を飲み干した。
Y「そんなこと…俺が今まで何度も思ったことだ…」
そう言ってまた、悲しそうな目をするから…
私は問いかけた。
T「なんで…私を選んだんですか?」
そう問いかけると王様は下を向いて少し苦笑いをする。
Y「俺を…憎んでるか?」
T「え?」
Y「想い人がいると知りながらお前を側室にしたこと…憎んでいるだろ?いいんだぞ…俺を憎め…」
そう言われて私の胸が痛むのはまだ、コハクのことが忘れられず毎晩のようにコハクを思い出しているから。
なのに何故か私は王様を憎みたくても不思議と憎むことなんて出来なかった。
T「憎んでないですよ…でもなんで私だったのかな…って…王様と私は…そういう事もしないのに…」
私がそう言うと王様は下を向いたまま悲し気に微笑み自分で酒を注ぐ。
Y「お前が羨ましいかったんだ…」
T「え?」
Y「あの男に愛しそうに見つめられ愛されているお前が羨ましかった…」
T「それだけで…私を選んだんですか…?」
Y「…そうだ…だから俺を憎めばいいんだよ。」
王様の身勝手で残酷な理由で私とコハクは別れ離れ離れとなったのに…
私は目の前にいるそんな王様に胸が痛くなり…なぜだか泣きたくなった。
T「ジナタさんとユラトさんは愛し合っていたんですね……」
突然、私が口にした名前に王様は固まり私の方を驚いた目で見つめた。
T「ユラトさんの愛するお方は…私と同じ町に住む島流しにされた…ジナタさんでしょ?」
私がそういうと王様は優しく微笑みながら頷いた。
Y「あぁ…そうだよ。」
T「やっぱり…」
Y「小さい頃…俺はよくこの王宮を抜け出して町へと遊びに出掛けたんだ…そこでジナタと俺は出会い…いつしかジナタも役人達の目を盗み王宮に忍び込むようになった…」
T「私もジナタさんから王宮に行ったことがあるとは聞いたことあるけど…ジナタさん忍び込んでたの…!?」
Y「あぁ…俺たちは性格は真逆だったけど気が合って一緒にいることが当たり前で居心地がよくて…同性だというのに愛し合ってしまった……それが大罪だというのに…」
T「大罪…」
Y「この国の王が同性を愛してしまっただなんて前代未聞。絶対にあってはいけない事。王宮の人間が必死で隠したがっている事実であり、王である俺が男を愛し子孫を残せないだなんて王族の血が途絶えてしまう。だから…ジナタは…」
T「ジナタさんと一緒になることを阻まれ別れさせられてたんだね…王宮の人たちに…」
Y「あぁ…。役人達は俺とジナタの関係を知った後、俺の知らない間にジナタを島流しの刑した…そして、女をあらゆる所からかき集め毎晩のように俺に抱かせようとした…でも、俺は抱くことが出来なくて…心が疲れ切った時にたまたまお前達を見かけて…俺は愛し合うお前たちを妬み…僻み…お前たちを…こんな目にあわせたんだ…だから俺のせいなんだよ…」
王様の悲しそうな目の理由がやっと分かった気がした…
ジナタさんを語る王様の目は今までに見たことないほど甘くて優しい。
この2人は心から愛し合っていたんだなと私は思った。
T「ユラトさんだって苦しんでるじゃん…ユラトさんはジナタさんじゃなきゃダメなんでしょ?私がコハクじゃなきゃダメなように…だからあの日の私とコハクに嫉妬したんでしょ…?」
私のその言葉に王様は答えることはなくただ申し訳なさそうに眉を下げ、微笑みながらお酒グイッと飲み…
私はそんな王様を見るとまるで、自分の事のように悲しく胸が痛かった。
つづく
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