【完結】ゲーセンダンジョン繁盛記 ~魔王に異世界へ誘われ王国に横取りされ、 そこで捨てられた俺は地下帝国を建設する~

アンミン

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90・勇者Side09

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「ん~……」

この世界に来てから『聖女』という恩恵ギフト
授けられた、私こと武田裕子は悩んでいた。

「あ、武田ッチー!」

「いたいた!
 これから向かうのよね?」

廊下の向こう側から弥月みつきちゃん・白波瀬さんが
手を振ってやって来る。

「ええ。
 ある程度、情報も入手出来ましたので」

すると、ツインテールの少女がガッツポーズの
ような姿勢になって、

「おお、やるじゃん武田ッチ!」

「じゃあ行きましょうか。
 熊谷君たちも待っていると思うから―――」

こうして私たちは、ある場所へと向かった。



「おーい。しまむー、くまっちー。
 それと武藤さん」

加奈ちゃんの声に島村さんは目を丸くし、

「え? 琉絆空るきあまでそんな呼ばれ方してんの?」

「いや、まあ」

「自分はいつまで大丈夫だろうか……」

熊谷さんの後に、武藤さんが微妙な表情となる。

ここは、これ以上は男子禁制のラインと
なっている場所。

つまり私たち女性陣に与えられた、王宮内の
女性専用エリアの最前線だ。

異性は、これ以上向こう側に侵入するとそれぞれ
問題となるが―――
境界線となる場所は人目も少なく、往来も
ほとんどない。

まあ好き好んで疑われるところに近付く人は
いないのだろう。
そこが付け目で、私たちはここに定期的に
集まって、情報共有をしていた。

「んじゃ、俺からいくか。

 やっぱりカミュ王女様の話では、ここから先、
 少なくとも大規模な戦闘は予定していない
 ようだ。

 そもそも聖教会は戦に消極的だった
 らしいんだけどよ」

島村さんの話に、白波瀬さんがうなずいて、

「ああ、それアタシも聞いたわ。

 空気というか雰囲気としては、宗教側としては
 乗り気じゃなかったみたいね。

 ただアタシたちの恩恵ギフトの事を知ってから、
 積極的に介入し始めたってところかしら」

二人の後に、残りの男性陣も口を開き、

「世話をしてくれている侍女の話では―――
 俺たちが前線に出て以降、その動きが活発に
 なっているそうです」

「アンクちゃん……
 こちらの侍女の話では、空気があべこべに
 なった、みたいな事を言っていた」

熊谷さんと武藤さんの言葉に、おおよその
事情が浮かび上がる。

「何でもその昔―――
 聖教会主導で魔族に挑み、こっぴどく
 やられた事があったそうです。
 それ以来、宗教側としては魔族とやりあうのは
 避けていたと。

 王族は好戦的、とまでは言いませんが……
 それなりの備えはしていたとの事」

「ん!? 武田ッチ、その情報はどこから?」

弥月ちゃんの質問に、私は声を一回り小さくして、

「その、ある神官の娘さんをスキルで
 治療した事がありまして。

 その方からつい先ほど聞いた話ですが、
 信ぴょう性は高いかと」

実際、私たちは良く言えば王族の保護下、
悪い言い方をすれば監視下に置かれている。
だから誰でも治療していい、というわけではなく、
王族かよほど身分の高い人か、お金持ちに
限定されていた。

だけど私はその神官の懇願こんがんを受け、非公式に
治療した事があり―――
それ以来、私がこっそり王宮を抜け出し、
いろいろな方の治療を密かに行う事を
サポートしてくれている。

その事を説明すると、

「おぉ~……
 そういう人なら信用出来ますね」

「神官なら聖教会内部の事情に詳しいはずだし、
 それはかなり強力な人脈ね。

 武田さん、お手柄よ」

他の女性陣から褒められ、思わず照れてしまう。

その後、いくつか情報交換を行い……
時間にして十分ほどで、私たちと男性陣は
その場を離れた。

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