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188・エバンス勢VSダンジョン05
しおりを挟む「カ、カミュ様が勝ったぞー!!」
「これで2敗1勝だ!
あと1回勝てば振り出しに戻る!」
王都・ネーヴェで観戦していた住人たちは、
カミュ王女の勝利に沸き上がった。
「何とか1勝返したか」
王宮ではクレイオス王国の国王が、ホッと
胸をなでおろし―――
続けて女性騎士団長に問う。
「次は誰が出るのだ?」
「こちらからは、島村様と熊谷様……
2人の勇者様が出ます」
ルランの返答に、周囲から『おおお』と、
どよめきが起こる。
「しかし、戦闘ではない。
あの魔導具における条件は同じであろう?」
国王が懸念を伝えると、
「はい。ですが―――
それでも彼らは勇者様なのです。
必ずや勝利をもたらすでしょう」
切れ長の目をした女性騎士団長は、
自信に満ちた声で答えた。
『では第4試合―――
魔族代表・リオネル、リュレン選手と、
メルダ・クレイオス王国連合代表にして勇者、
島村頼音、熊谷琉絆空選手が戦います!!』
ダンジョン:【魔王城地下】で……
ヒロトのアナウンスと共に、代表者が二人ずつ
対戦台に座る。
「よろしくお願いします」
勇者の一人が対戦相手に頭を下げ、
観戦していた魔族に動揺が走る。
「よ、よろしくお願いしますっ」
釣られて、対面の魔族も一礼する。
「これまでの試合、見ていたから言うが、
手加減はしない。
こっちも国とやらを背負っているんでね。
本気でやらせてもらうぜ」
「レオ様……!」
先ほどのパズルでの対戦を終えたカミュ王女が、
遠巻きに彼を見つめ、
「その言葉、そっくりお返しします」
「異界の勇者よ―――
全力でいかせてもらうぞ」
魔族の女性二人が返し……
そしてSFロボット対戦アクションによる
試合が始まった。
『今回の試合も終盤までもつれ込みました。
魔族側の二人はそれぞれ攻撃と防御に徹する、
役割分担が出来ている感じですが―――
勇者側は聞くところによりますと、
幼馴染だそうで……
そのせいか非常に連携が取れた動きを
しており、臨機応変に攻守を変えています。
さあ、最後の展開はどうなるでしょうか』
ダンジョン:【魔境の森】のロビーで、
試合経過のアナウンスをいったん終えると、
五本目になった試合をみんなと観戦する。
「あの勇者たち―――
マスターと同郷なのでしょう?
ならば、あの魔導具にも慣れ親しんで
いるはず。
それなのに互角の戦いをする
魔族たちって……」
獣人が子供たちを抱っこしながら、
俺に話しかけてくる。
「練習期間は与えたけど、思ったより
やるよね。
何より崩れない。
どんなに追い詰められても、最後まで
冷静に対応する、そんな感じ」
メルダの言った通り、女性中心で編成し―――
力押しではなく冷静に分析して対処してくる。
メルダとリナの言う、『裏取引き』が
無かったら、結構ヤバかったと思う。
しかし何を取引材料にしたんだろうな?
「ねーお兄ちゃん。
パトラさんとコマチさんは?」
「あの2人は【エンテの街地下】の方に
いるから」
こちらは獣人に風狼がいるし、
防衛は問題無い。
なので引き続き、あちらで子供たちの面倒と
護衛をしてもらっている。
ちなみに、こっちの子供たちは魔族や獣人、
風狼たちに懐いているので、彼女たちの事を
『パトラお母さん』、『コマチママ』とは
呼ばない。
もうダンジョンごとにいろいろと違いが
出て来ているようだ。
と、そんな事を考えていると、
「マスター!」
「!」
獣人の一人が声を上げ、つられてモニターに
目をやると―――
俺は実況モードに切り替わる。
『今まで後方からの支援に徹してきた
リュレン選手が、前線に押しあがって
来ました!
これは……!!』
魔族側の両名がルキア選手を集中攻撃し、
『勇者側、ルキア選手復活出来ません!
どうやら復活に必要なポイントがもう
すでに無い模様!
レオ選手、1人で2人を相手にする事に
なりました!』
ダンジョン:【魔王城地下】では魔族有利の
状況に、人類側に焦りの色が見え、
「すまん頼音、後は頼む!!」
「レオ様……!!」
熊谷に続いて、カミュが思わず声を上げ、
「いいぞ、このまま押し切れ!!」
「やっちまえー!!」
対照的に、魔族側はエバンスを始めとして、
勝利を確信した歓声に変わる。
だがこの後、レオはタンク役であったリュレンの
周囲に張り付くようにステップで動き回り、
「!!」
「これは……」
リオネル、リュレン選手はその行動に
困惑し始めた。
『レオ選手、リュレン選手に張り付くように
動き回っています。
同士討ちを避けるためか、魔族の両選手、
うかつに攻撃が出来ないようです!』
実況通り、互いが攻撃範囲に入って
しまっているため―――
攻めあぐねているようだった。
「私ならいくらか耐えられる!
構わず撃て!!」
「く……っ!!」
リュレンの言葉に、リオネルは攻撃を
積極的にかけ始めるが、
レオの機体は正確に攻撃を避け続け、
タンク役のリュレンは狙わずにリオネルの
方のダメージを削っていく。
やがてリオネルの方が先に力尽き―――
残ったタンクのリュレンが接近格闘に
勝てるはずもなく。
『4試合目―――
メルダ・クレイオス王国連合代表、
島村・熊谷選手の勝利です!』
こうして四戦目は、人類側の勝利となった。
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