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戦闘
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「『レイ』」
発動したのは極光のレーザー。発動した光属性中級魔法、しかし発動速度が全魔法中トップクラスということもあり、ライズが愛用している魔法だった。
「ぐあっ」
放たれたレーザービームは、通過した人間の体を容赦なく加熱し、当たり所が悪かった人は焦げた肉のにおいを漂わせながら動かぬ人形へとなり果てた。
「『レイ』」
ジュッっという音とともに、かけられていた魔法の扉の鍵が一瞬にして溶ける。
「鍵が開けられた! 速く増援を!」
「予定よりも早い! 人質持ってこい!」
せわしなく動き回る黒の一団。しかしこれを待ってあげるほど、ライズはお人よしではない。
「焦げ臭くなるのも考え物だな......」
今ライズがいるのは図書室。そこには王立図書館ほどではないものの、大量の文献が収納されている。
万が一、魔法の流れ弾が本に当たった日には......考えただけでライズは身震いをした。
「床の血は許してくれるよな......? 我は望む 命の炎。燃えて燃えて 燃え尽きよ 『ライフフレイム』」
その瞬間、あたり一面から炎が噴き出した。
「対象の生命力を燃料に体を燃え上がらせる......なんでこんな魔法、作ったんだろな」
これはライズのオリジナル魔法。生命力を燃料とするため、燃え移る心配はない。焦げ臭いのはいつものことだ。
「火と光って、こういう熱系多いからすぐ焦げるんだよなー。密室しんどい、早く外出ろ。」
そんなことをぶつぶつとつぶやきながら、敵の本軍がいるであろう場所へと向かうのであった。
「やっぱここだったか」
「き、貴様! どうしてここがわかった!」
「だってさ、図書室に立てこもるって、普通目当てはこれだろう?」
ライズが指をさしたのは大きな扉。
扉の中心には大きな施錠魔法陣が。そこに彼らは装置をつけて開錠しようとしていた。
そこはまぎれもなく、第二級立入制限区域であった。
つまるところ、王立図書館の次に見せられないような書物が置いてある、ということに他ならない。
「そんなところの書物を、どうするのかねぇ......」
「俺たちの勝手だろ、それより見ろ、こいつの命がどうなってもいいのか?」
そうやって見せられたのは一人の男。その口には猿轡がはめられ、「もがもが」ともがいていた。しかしその目は少し充血していて、こちらをにらみ殺さんとしている。
普通ならば猿轡を外して「助けてくれ!」なんてシーンが流れるのだろうが、魔法師を、しかも詠唱をしないと魔法を使えないような、二流魔法師相手に猿轡を外すようなヘマ、やはりしないようだ。
黒ずくめはじたばた動くのトルネ先生が気に食わなかったようで、遠くの壁へと放り投げた。壁が壊れる音と、「もごぉ」という最後の言葉。
人質はともかくとしても、ライズはこの黒ずくめに見覚えがあった。
「お前ら、どこ所属だ?」
ライズは呼び出した棒の先端を黒ずくめたちに向ける。
彼らは、こう答えた。
―――――『天星教団』と。
「きっとそうだろうと思ったよ、まがい物」
ライズは、そう返した。もちろんそれに黙っている彼らではない。
「貴様! 我らが天星教団を愚弄するか!」
「そうだ。まがい物はおとなしく燃え尽きろ」
ライズは、装備を全て装着する。
黄金色の全身鎧に身を包み、鎧のあちこちから伸びている赤い線が輝く。
先ほどまで持っていた棒も輝きを増した。
「まさか、その装備は......」
「俺はそうだな......ただのライズだ」
そうはいったが、目の前の黒ずくめはある人物だと確信していたらしい。
「まさか、天星教団のトップの一人がいるとは思ってもみなかったが......都合がいい! ここで貴様を倒して、我らの名声を不動のものにするのだ!」
「ほう。しかし、俺が倒せるとでも?」
棒を突き出し、唱える。
「我は希う 太陽の鱗片、その一かけら。 その威光を我らに示せ! 『紅炎』!」
その瞬間、棒から巨大な炎が伸びる。
「我は希う 不壊の盾 現れ、わが身を守り給え 『守護の女神』!」
すぐに詠唱された二人の上級魔法。それらはすぐに放出され、現世に顕現した。
ぶつかり合う魔法と魔法。片方は、太陽の力を現世に顕現し、もう片方は、神の盾の模倣を顕現させた。
が、勝負は早々に決着した。
「そりゃ、俺が勝つだろう」
「何故、何故!」
「魔法は、使いようだ」
「何を......貴様、まさか!」
ライズ、否、サンライズは答えなかった。
ぶつかり合う魔法と魔法。出力はどちらも同じ程度であった。しかし、黒ずくめは間違えた。
女神の盾は確かに魔法によって炎から守っていた。
しかし、炎から発された熱までは、守ることができなかった。
「貴様、きさまぁぁぁぁああああ!」
魔力も限界だったのだろう。魔法が解けた黒ずくめは、その断末魔を遺して炎に焼かれた。
後に残ったのは、燃焼に特に強く作られた第二級立入制限区域の壁と床、そして遥か遠くに投げ捨てられたトルネ先生と、何かが燃えた後の灰だけだった。
発動したのは極光のレーザー。発動した光属性中級魔法、しかし発動速度が全魔法中トップクラスということもあり、ライズが愛用している魔法だった。
「ぐあっ」
放たれたレーザービームは、通過した人間の体を容赦なく加熱し、当たり所が悪かった人は焦げた肉のにおいを漂わせながら動かぬ人形へとなり果てた。
「『レイ』」
ジュッっという音とともに、かけられていた魔法の扉の鍵が一瞬にして溶ける。
「鍵が開けられた! 速く増援を!」
「予定よりも早い! 人質持ってこい!」
せわしなく動き回る黒の一団。しかしこれを待ってあげるほど、ライズはお人よしではない。
「焦げ臭くなるのも考え物だな......」
今ライズがいるのは図書室。そこには王立図書館ほどではないものの、大量の文献が収納されている。
万が一、魔法の流れ弾が本に当たった日には......考えただけでライズは身震いをした。
「床の血は許してくれるよな......? 我は望む 命の炎。燃えて燃えて 燃え尽きよ 『ライフフレイム』」
その瞬間、あたり一面から炎が噴き出した。
「対象の生命力を燃料に体を燃え上がらせる......なんでこんな魔法、作ったんだろな」
これはライズのオリジナル魔法。生命力を燃料とするため、燃え移る心配はない。焦げ臭いのはいつものことだ。
「火と光って、こういう熱系多いからすぐ焦げるんだよなー。密室しんどい、早く外出ろ。」
そんなことをぶつぶつとつぶやきながら、敵の本軍がいるであろう場所へと向かうのであった。
「やっぱここだったか」
「き、貴様! どうしてここがわかった!」
「だってさ、図書室に立てこもるって、普通目当てはこれだろう?」
ライズが指をさしたのは大きな扉。
扉の中心には大きな施錠魔法陣が。そこに彼らは装置をつけて開錠しようとしていた。
そこはまぎれもなく、第二級立入制限区域であった。
つまるところ、王立図書館の次に見せられないような書物が置いてある、ということに他ならない。
「そんなところの書物を、どうするのかねぇ......」
「俺たちの勝手だろ、それより見ろ、こいつの命がどうなってもいいのか?」
そうやって見せられたのは一人の男。その口には猿轡がはめられ、「もがもが」ともがいていた。しかしその目は少し充血していて、こちらをにらみ殺さんとしている。
普通ならば猿轡を外して「助けてくれ!」なんてシーンが流れるのだろうが、魔法師を、しかも詠唱をしないと魔法を使えないような、二流魔法師相手に猿轡を外すようなヘマ、やはりしないようだ。
黒ずくめはじたばた動くのトルネ先生が気に食わなかったようで、遠くの壁へと放り投げた。壁が壊れる音と、「もごぉ」という最後の言葉。
人質はともかくとしても、ライズはこの黒ずくめに見覚えがあった。
「お前ら、どこ所属だ?」
ライズは呼び出した棒の先端を黒ずくめたちに向ける。
彼らは、こう答えた。
―――――『天星教団』と。
「きっとそうだろうと思ったよ、まがい物」
ライズは、そう返した。もちろんそれに黙っている彼らではない。
「貴様! 我らが天星教団を愚弄するか!」
「そうだ。まがい物はおとなしく燃え尽きろ」
ライズは、装備を全て装着する。
黄金色の全身鎧に身を包み、鎧のあちこちから伸びている赤い線が輝く。
先ほどまで持っていた棒も輝きを増した。
「まさか、その装備は......」
「俺はそうだな......ただのライズだ」
そうはいったが、目の前の黒ずくめはある人物だと確信していたらしい。
「まさか、天星教団のトップの一人がいるとは思ってもみなかったが......都合がいい! ここで貴様を倒して、我らの名声を不動のものにするのだ!」
「ほう。しかし、俺が倒せるとでも?」
棒を突き出し、唱える。
「我は希う 太陽の鱗片、その一かけら。 その威光を我らに示せ! 『紅炎』!」
その瞬間、棒から巨大な炎が伸びる。
「我は希う 不壊の盾 現れ、わが身を守り給え 『守護の女神』!」
すぐに詠唱された二人の上級魔法。それらはすぐに放出され、現世に顕現した。
ぶつかり合う魔法と魔法。片方は、太陽の力を現世に顕現し、もう片方は、神の盾の模倣を顕現させた。
が、勝負は早々に決着した。
「そりゃ、俺が勝つだろう」
「何故、何故!」
「魔法は、使いようだ」
「何を......貴様、まさか!」
ライズ、否、サンライズは答えなかった。
ぶつかり合う魔法と魔法。出力はどちらも同じ程度であった。しかし、黒ずくめは間違えた。
女神の盾は確かに魔法によって炎から守っていた。
しかし、炎から発された熱までは、守ることができなかった。
「貴様、きさまぁぁぁぁああああ!」
魔力も限界だったのだろう。魔法が解けた黒ずくめは、その断末魔を遺して炎に焼かれた。
後に残ったのは、燃焼に特に強く作られた第二級立入制限区域の壁と床、そして遥か遠くに投げ捨てられたトルネ先生と、何かが燃えた後の灰だけだった。
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