世界変革のすゝめ ~我が物顔で世界を害すヒト種よ、一回引っ込め~

大山 たろう

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第一部 ダンジョンマスター 前編

ケース1 五部川 林太郎 ~下~ ※1

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 夕食の時間。俺は行動に移した。
 それは簡単。飲み水を出すよ、と紳士ぶっておきながら、中に睡眠薬を混ぜるだけ。
 夕食はもったいないが、彼女は食事に手を付ける前に眠ってもらう。

「あ、あれ......」

 思いのほか簡単に、彼女は眠りについた。

 俺はベッドに彼女を運ぶ。長年筋トレをしていなかった俺でも、ギリギリ運べる重さだった。
 運び終わったころには俺の息子は大反応。もう我慢できないっ!



 初の行為を寝ているままで行った。
 最初は愛のある、二人っきりの、だの条件を勝手に付けていたが、そんなもの、どうでもよくなった。ただ、本能のままに、貪るようにその体を堪能した。

 ただ、その行為の幸福感に包まれる。
 はじめてを捨てるのは、こんなにも楽だったのか。
 日本なら即強姦で警察行きだが、この世界には警察どころか俺に適用される法律すら存在しない。
 つまり俺が何をしようと、誰にも怒られないというわけだ。

 日本の美女も同じようにしたかった。それなら、俺はチケットで日本にいって、すべての女性を!

 まずは世界征服のついでに、この世の女性も征服してやる!

 下種の笑み、と表現するが一番正しいであろうその表情を浮かべた五部川。そこで彼女、ピクシーは目を覚ました。


「あれ、ここは――――......?」

「おはよう」

 既に押し倒され、手と足を押さえつけられる姿勢で目覚めたのを見たとき、そして自身のあられもない姿を見て、そして自らの城に構えられた兵士を見て恐怖に襲われる。

 が、五部川はやめようとしない。無理やりに。そして何度も。何度も何度もナンドモナンドモ―――――

「やめて......ください、マスター、やめて......」

 その声は届かない。もう、彼の心には届かない。





 何時間が経過しただろうか。五部川が満足して、そして戦力増強のために、ピクシーを先ほど作ったゴブリンの巣に投入した。これで彼女は常にゴブリンを生産してもらう。
 非道だと罵るか? 残虐だと訴えるか? けれど誰も俺を止められない。この世界には法も秩序も存在しない。
 もちろん、俺がやりたくなったら返してもらう。けど、俺がずっと握りしめて生産をストップするのは良くない。それにゴブリンに犯されるのも見てて興奮する。
「ギャギャ!」

「ギャギャギャ!」

「まさか、やめて! それだけは! それだけは!」

 その様子を録画して五部川はベッドで眠りについた。

 それが破滅の序章だったことに、彼は気づかぬまま。




「ギャギャギャ!」

「ギャギャギャ!」

 戦闘が始まった。それもゴブリンとゴブリンで、だ。

 五部川は知らなかった。彼らが序列を決めるのに、一週間程度かかるということを。

 そして序列が決まらぬ間に雌が来た場合、それを奪い合うようにして戦闘を開始するということを。

「ギャギャギャ!」

「ぎゃぎゃぎゃ!」

 夜勤、見張りで立っていた片方が死に、片方が勝利する。

 手負いになったゴブリンに対し、漁夫の利を狙ったゴブリンがさらに襲い掛かる。

 ピクシーを放置して、そこは戦場となった。

 隙をみたピクシーは、そのまま洞窟の中で連絡を取った。

「すみません、削除をお願いします」

「どうされましたか、そこまで有利な条件と容姿、能力を手に入れていて―――――・・・・・あぁ、なるほど。わかりました。削除申請を承諾します。カウントダウン5、4、3、2、1―――――





 ―――――0」







 最初のピクシー消滅者が出た。それは何とも幸運としか言いようがないほどの容姿、能力のいわゆる「当たり」であった。

 その理由がマスターだった、そしてピクシー自身の削除申請という、この後でも数えるほどしかないレアケースだったという。


「どういうことだ!」

 五部川は叫ぶ、が、その声に返すピクシーはもういない。

 朝、彼が起きたころには、すべてが終わっていた。
 一体の巨大なゴブリンが一人で椅子に鎮座していた。

 そして呆然とするのは昨日大量に呼び出した朝活動するゴブリン。そして五部川。

「ふざけるな、なんでみんな死んでんだよ!俺を守れよ! ピクシーを使って、もっと戦力が上がるはずだろう!」

 だが、その声は空しく部屋を反響した。

「こうなったら仕方ない。今日手に入れたポイントをすべてゴブリンと装備に! 近くの村に襲撃をかけて、女をさらって来い!」

 召喚されたのは十体程度のゴブリンと、こん棒と弓矢。

 全て配備した五部川は、昼前、作戦を決行した。

 もしこれが夜だったら。もし彼がこの部屋に立てこもっていたら。もしかしたら、未来は変わったのかもしれない。

 五部川が最後尾で、大量のゴブリンが襲撃をかけた。

 最低限の数と巨大ゴブリンをダンジョンに残して、進軍する。

「ガアアアアアアア!」

 ダンジョンを出て数分、聞こえてきたのは熊の鳴き声。

 普通なら足音をたてずに逃げるだろう。が、この世界は日本ではない。それを言ったのはほかでもない、五部川だった。
 この熊は正確には魔物、アングリーベアであり、日本の知識など、屁ほどの役にも立たないのだと。

 ザシュ

 その音が響いた。

 断末魔すら 出せないままで――――




 統率者を失ったゴブリン。
 彼らは最後の命令に従って、村を探し、襲って、女を攫う。

 見つけた村を襲撃する。

 が、その村には類稀なる才能を持った子供たちがいたため、一人しか殺せずに、女も攫えずに、ただ全滅した。


 統率者が死亡したダンジョンはコアを失い、機能を停止させた。
 残ったのは少しのゴブリンの群れ。

 ここも翌日、子供たちをはじめとする敵対勢力に壊滅させられる。



 五部川ダンジョン 壊滅







「もう壊滅してるっていうから、どんな理由だよって思ったが、結構クソみたいなやつだったな」

「たろーのピックミス、これは罰ゲーム、私たちのピクシーを強姦した罪は重い」

「な、なんだってー!」

「覚悟しろ」

 その瞬間、頭から電撃を食らうl

「ゼウスって言ったら、全能神ってイメージもあるだろうけど雷霆って書いてケラノウス? みたいなイメージのほうが強いと思って雷練習しといた。どう?」

「とっても刺激的でした」

 全能神の雷撃を受けて生きているのは権能を譲渡されたからなのか、それともこの男の変態性がなせる技なのか。それは全知神しか知らないだろう。

「それよりたろー」

「どうしたぜっちゃん」

「これ、使えそうじゃない?」

「お、良さそうだな。ってか結構使えるぞこれ。 これは俺の最高傑作足りえる材料だ! ぜひこの「彼」を題材に作ってやる!」

「おー、がむばれ?」

「待ってろつくってくるぜ!」

「ダンジョン忘れたらだめだよー」

「放置してても死にゃあせん、大丈夫だろ!」

「そういって足元すくわれてもしらないよー」

「ま、まぁ何とかやってやる!」

 大山 たろうは部屋にこもる。泣きながら小説を書いた。書いて書いて書いて――――――


「そうだ、たろー、死体もらっていくねー」

「おう、今日は豊作だぞ!」

「ちなみにどれくらい?」

「軽く数百」

「一体全体何をしたのさ」

 あきれ声が返される。

「シダ植物ってあるだろ? 地上ではたくさん生えてるように見えて、実は地上でつながってるっていう、あれ」

「あぁ、あの手っ取り早くもっさり感をつけようとして手抜きしたあのシステムがどうかしたの?」

「シダ植物の起源悲しすぎねぇか?」

 ※あくまでフィクションです。実際のシダ植物がどうとか知りません。

「それで、シダ植物がどうかしたの?」

「あ、あぁ。あれみたいに、一つのコアからたくさんの塔を伸ばしてるとこなんだよ、王都でポイント稼ぐシステムはやっぱりテンプレ過ぎて、競争が激しいんだよ......」

「そうなんだ、それで泣く泣く逃げ帰ったと」

「いい方、言い方。早いうちにやり方を変えたと言ってほしいね!」

「まぁ、それはいい。この星の中心からにょきにょきするのかは知らないけど、がんばってくれたまへ」

「なんだよその言い方。まぁ、頑張るわ、ほいこれ今日の分」

「あい。月の石。ってかこれ何に使ってるの?」

「ん? ゴーレム製造機をひたすらゴーレム製造機で作られたゴーレムで製造してるぞ」

「......どういうこと?」

「ゴーレム製造機をつくるじゃろ? そのゴーレムが製造機を作っていくんじゃ。ゴーレム増える増える! 月の石、製造魔法組み込むのにちょうどよかったわ」

「何それ......これだからあの星の生物は、狂ったことばっかり考える」

「いやいや、そうでもないでしょう!」

「これで管理しなければならない生物の数が増えた」

「.......大変、申し訳ございませんでした」

「許さん、食らえ」

「あひぃぃぃいいいん!」

 またもや電撃。というより雷撃、結構な苦痛が来ているはずなのに、大山 たろうはロリっ子に構ってもらえたという喜びを全身でかみしめているようだった。

「そうだ、ぜっちゃん、こんど異世界旅行しよーぜ」

「引きこもってるたろーが何言ってるの」

「それは否定できないからやめてください」

 今度は自分から頭を床にぐりぐりとつけている。

「それで、異世界旅行だっけ?」

「そうそう」

「旅行楽しそうだね。それで、本音は?」

「ぜっちゃん服装変わったら殊更に可愛いかなって、あと、頭こすりつけたら踏んでくれるかなって」

「ギルティ」

「あひいいいいいいふふふふふふ」

「もうこいつ壊れたんじゃない」

「我復活」

「書けよ、小説」

「ぜっちゃん構ってくれるからまだいい」

「じゃあ構わない」

 そっぽを向く全能神。物寂しくなったのか、たろーは腰あたりに手をまわして抱き着いた。

「......変態」

「......ありがとうございます」

 赤面ジト目無表情少女の罵声、いただきました。
 まことに幸福の極みでござんす!」

「途中から声に出てる。一回くたばれ」

「おっひぃ」

 先ほどの数倍の電力を受けたたろーは顔が笑みで顔が歪み切って気絶していた。

「この救いようのない変態め」

 全能神は、ただそうつぶやくのだった。



 たろーは起きた。

「ダンジョン忘れてた! どうなってる!」

「大丈夫そうだよ」

「そうじゃない、実験棟のほうなんだ!」

「実験棟?」

「お、成功だ!」

「何が成功したの?」

「テンプレのうちの一つ。蟲毒って言われる奴?」

「何それ」

「たくさんの生物をエサも与えずに大量に閉じ込めたら、食料のなくなった彼らは同族狩りを始めるだろ? それで進化を促すっていうやつだったと記憶している。まぁ成功して何より」

「確かに、生存競争が限りなく忠実に再現されるのか......そして、戦闘経験と野生の勘で強くなって進化、と」

「大体そんなかんじ? 俺もうろ覚えだったから、行けるか不安で不安で.......」

「そう。ちなみにこのゴブリンの群れは......」

「あぁ、これ? 五部川から奪ってきた」

「かわいそう......」

「憂うロリ、いいっすね」

「くたばれ」

「あひゃ......」

「少しは学習したらいいのに」

 全能神の空しいつぶやきが漏れるのだった。
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