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第四部 ダンジョンマスター 後編
優雅な観戦
しおりを挟む「なぁ、俺も侵攻開始したけど、ぜっちゃんどこにいるんだ?」
小声で質問をする。先に侵攻すると宣言されていたから居なかったらどうしようと思っていた。が、杞憂だったようだ。
「たろー、エイリアンは拡張性もある。能力が付いたらその子孫は能力を受け継ぐ。今侵攻してるのはステルス部隊」
「な、そんな強いやついたのかよ......」
まるでこれをするために作り出したかのように、ぜっちゃんは生き生きと画面を見ていた。
楽しそうでなにより。と思ったが、よくよく考えるとこれ、どっちが勝ったか判定がめんどくさそうだ。とはいっても、じゃあ止めろ、なんて到底無理な話なので継続する。
「俺のところも、見ない間にすごいことになってるな......」
「勝手に技術班を増やしてたらしい、階層の上の方は全部研究棟って前言ってた」
「おう、流石」
恐らく俺についていたのはダンジョンマスター支援用ピクシーの試作機。俺に所属にしたまま、そういや変えてない気がする。
試作機、とは言っているものの、それをコピーするような形でほかのダンジョンマスターに配ったため、構造は一緒のはずだ。配った後の経験とか、そんなところがどうなっているかまでは関与しないから、なんの偶然かピクシーの判断でやってくれて助かった。
「そんで、空から重量のあるゴーレムを投下して倒していくのか」
空には巨大な飛行船が。
船、と名がつくのが納得できるほどに、その形状は本物の船のようだ。海の上を浮いていても不思議じゃないくらい。
まぁ、この世界でこんな鉄の塊が海の上に浮いていたらびっくりするだろうが。
「誰が作ったんだよ......本当に」
あの世界の知識は確かにすごいが、見ただけでここまで再現できるか、とこれを作った人には感嘆するしかない。
「そんで、俺の実力がほとんど入ってないゴーレム部隊に、配合と厳選を繰り返したエイリアン軍団、それから獣の群れになんかポイントバカスカつかうモンスターの群れ。それに......こりゃなんだ、魚が空を泳いでるな」
「あぁ、それ、暇だから作ったフライフィッシュ」
なんだその名前。ちゃんとFlyしてるんだろうな、間違っても揚げられてないよな。
金魚のような見た目、しかしその大きな目からレーザービームを放っているあたり、やはりモンスターだった。空飛んでる時点で分かれよって話だが。
「そんで、アンデッドの群れは小さな村を中心に、か」
「そうみたい。結構大きくなってるから、そのうち世界滅ぼせるかも」
「そりゃまずいな」
少し思案する。
というのも、俺たちの目的はあくまで間引き。滅ぼして文明が消え去っても面白くない。
まぁ、たぶん大丈夫だろうけど。
「大丈夫って、どうして?」
「いや、何でもない」
声が漏れていたのか、神だから読めるのか。そんなことは置いておこう。
読まれる前に、ちゃんと思考をシャットアウトして、この戦闘に意識を集中させる。
「とは言っても、何もすることないんだけどなー」
「そう。それが楽しくない」
ぜっちゃんも育成ゲーは楽しんだようだけど、肝心の戦闘がさほど面白くないらしい。
「それなら追加するか、テイム要素とか」
「面白そう。スキルでまた今度作ろう」
流石に今は作らないようでほっとした。が、今すぐ作りそうなくらいにウキウキした表情だった。
二人がそれぞれ持っている端末、その奥では......
結構悲惨な光景が繰り広げられていたのだが、それは二人にはもうどうでも良い話だった。
たろーが思考をシャットアウトして無理やり忘れ去った銀髪少女もまた、その先頭に参加していたのだが、今、二人がそれを知ることなどなかった。
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