舌先三寸覚えあり 〜おヌル様は異界人。美味しいお菓子のプロ技キラめく甘々生活

蜂蜜ひみつ

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ヌルッとスタート編

第20話 シチューにリメイク (後編)

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 頼んだ食材と調理器具が並ぶ。
 数種類の中からマッシュルームと思われるもの見つけた。
 ブラウンのほうが味が濃いから入れたいけど、色が茶色っぽいシチューになっちゃうから、今日はあえての白を選んでスライス。

 あ、エノキダケと思われるのも微塵切りでダシに入れよう。

 バターちょっと味見。

 ふおおお!! なにこれ!! メチャクチャ美味しい。
 この発酵バター最高!
 しかも無塩。 
 分かってるね~。
 昔フランスで初めて食べたときの、カルチャーショック歓喜を思い起こさせる。

 牛乳を小皿に少々。
 スープの時も思ったけど、この牛乳はとても濃厚で、ふわあっと自然の甘みが口一杯に広がる。

「乳製品、ものすごくコクがあって、味の深みと豊かさに心底驚いたよ!
はあ~美味しいねえ~。バターなんてあまりの美味しさに興奮がまだ覚めないし!
素晴らしい食材だと思う。チーズとか他の物も、後での味見が楽しみ過ぎる!」

 そう伝えるとクレールさん、ニコニコ顔にドヤ顔が混じってるみたいな笑顔でうなづいた。

 小麦粉とバターは同じ重さ入れるんだけど、ハカリはこの世界にはあるがクレールさんいえは持ってないんだって。
 バターはいつも仕事で扱ってるから、実は大体のサイズと重さが目分量でざっくり分かるんだよね~。
 これぞ日々の計量で培った私の特技じゃ。
 お菓子じゃないんだから、多少の誤差は問題なし。

 計量カップはあった。
 小麦粉は200ミリリットルのカップにすり切り一杯だと110グラムだから。
 バターも同グラム分にカット。

 フライパンのバターがだいたい溶けたら火を止める。

「少量の粉を振るう時、ふるいの上に容器を、とりゃ! って、つけたままにするようにひっくり返して、くるくる容器を擦るようにすると、ほら飛び散らずにあっという間に粉がふるえるんだよ」

 面白そうに見てる男子たちを尻目に作業を続ける。
 フライパンの上のバターと小麦粉を混ぜ合わせたら、弱火につける。

 ここのコンロはガスコンロと同じように見える。調整はひねる昔ながらのタイプ。
 業務用のは今もそうだけど。

 昨今さっこんの家庭用のボタン&左右レバー調節のやつは、お腹の洋服とかにレバーが当たって、いつの間にか強火になってたのを気づかず焦がしたり、逆にいつまで経っても沸騰しない! とイラついて見たら弱火になっていたとか、トラブルがあるからこっちのほうが好き。

「とろりとしてきて、さらに先。まだ混ぜるよ。見て。ほら、ザリっと分離っていうかスーとゆるくここまできたら、よし、次いこ。
焦がさないようにね。牛乳をちょっとずつ加えていくの。混ざったら次。あらかじめ牛乳を温めておくとダマにならないよ。冷たくてもちょっとずつ入れてけば大丈夫だけど。
モチモチして柔らかめの巨大マシュマロとかモッツァレラチーズみたいにまとまったら、今回は終了。あ、例えの二つとも通じた?」

 コクリと返事をいただく。
 うん、なら良かった。

 小皿にスープをちょっとよそり温度確認。気持ち温めようかな。

「キノコはね、60度~70度で旨味が一番出るって言われてんの。温度の単位も通じる?」

 これまたコクリ返答。
 そっか、同じで楽だな。
 おヌル様達の影響か?

 もう一回スープ温度確認、うん、こんなもんかな。
 マッシュルームとエノキダケ投入、混ぜ混ぜ。
 餅みたいなこいつも、ぼてっと投入。

「この固まりはね、急いでない時はこうしてスープの上に入れて蓋をしてほっとくと、スープの水分を徐々に吸って自然とダマにならずに溶けてくんだよ。
食べる前に生クリームとか入れて塩したり仕上げの味の調整するから、はいこれでおしまい」

「あれ、フライパンにまだ残ってるよ?」

「ああこれね、おまけ~。もうほんのちょっと牛乳足して、もう少し柔らかくして。
クレールさん、もしかしてエダムチーズとかグリュイエールチーズとか持ってる?」

「グリュイエールはあるよ。美味しいよね。僕も好きなやつ。エダムは聞いたことないや」

「じゃあグリュイエールチーズ少しちょうだいな」

 棚の香辛料もいろいろそろってるなあ。
 塩、胡椒、ナツメグの実を削って、グリュイエールもすりおろし入れてお味見。
 う~ん、このグリュイエールチーズも、とても美味しい。

「これパンに塗ってさらにグリュイエールチーズとハム乗せてオーブンで焼いてさ。
明日の朝ご飯か、小ぶりで作っておつまみにでもと思ってるんだ」

「ちょっとぺろっとしたい」
「これに乗せようぜ」

 棚をガサゴソしていたエタンさんの手には、クラッカーが三枚。

 そうね、塩味確認とかじゃなくてどんなもんか知りたいなら、クラッカーの上に乗せておやつぽくして食べた方が臨場感あっていいね。

 クラッカーを受け取り、なびなびして、どぞ!

「美味しい! これもっと食べたくなっちゃうよ」

「これだけでもうワインが飲みたくなる。コーヒーやめて昼飲みするか?」

「気に入ってもらえて何よりです。へへ、ありがとう。でもアルコールは今日の夜のお楽しみっていうことで、ね?
さてと。次は、私コーヒー淹れ手伝おうかな?」

「俺なんもしてねえから、俺が淹れる」

 いやいやさっきから食べた食器片して食洗機回してくれてるよね?
 できる男はこんなとこまでスマートで恐れ入る。

「エタンはコーヒーが大好きで、淹れるのも好きだから滞在中はいつも僕もお任せなんだよ」

「そっか、お言葉に甘えちゃおっかな。今度は私が横で見ててもいい?」





【次回予告 第21話 食後の一服】




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