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ヌルッとスタート編
第44話 1皿目完成!
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「もっと食ってもいいか?」
「失敗疑惑を返り討ちできたようでなによりデス!」
ドヤ顔でツンっと顎を上げて、2人を流し目る。
そんで素直に謝った。
「お腹空いた? ちょっと凝り過ぎて時間かかり過ぎたね、ごめん」
多分彼らが思ってたのは、チーズを切って、生ハムとかナッツとか皿に盛り合わせて、クラッカーをつまむぐらいだったんじゃないかな?
そうはたと気づいちゃったのよねぇ。
完全に暴走しちゃった……。
「いや、一生懸命なコニーの姿を間近で見れて、僕は楽しいよ?」
俯く私の背中に、そっとクレールが手をあてる。
「こんだけ美味しい摘み食いだから、腹が騒いだだけのことだ。別に時間の事は全く気にする必要はないが……。
そうだな。
今日の洗濯は俺らがやるから、コニーは1人で集中して続きを作るか?」エタンが私の頭に手を乗せ、ワシワシしてきた。
「いつも2人は私を挟んで、目一杯甘やかしてくれるね。こんな状況未だかつてないわ~ってぐらい甘々だよ。
かなり照れるけど……嬉しいもんだね……ありがとう」
代わる代わる、スパダリ感溢れる男性陣を見上げた。
「はは、そう? まあ慣れてね?」
「面と向かってそう言われると、俺までなんかつられて照れちまうぜ。
あー、なんだ、その、ソファー脇のタオルで巻かれたやつ、一緒に洗ってもいいか?」
「あ、うん、ちょっと待って」
パンツ代わりに履いてた肉球スパッツを思い描く。
素肌に身に付けたが、元はクレールのものだし、下着然してないから袋に入れなくても、まいっか。
「はい、お言葉に甘えてまして、どうぞよろしくお願いします。つきましては、こちらもお願い出来ますでしょうか?」
ポケットからハンカチも取り出す。
「ええ? コニーそういえば、前も突然慇懃な返答してたよね」
「へ? そうだった? うーん……友達に一方的に結構大変そうなことを頼む時は、超丁寧にそんなふうにわざと喋るかも。
あと、他人にものすごく怒ってる時も。こっちは意識的にびっくりするほどワザと丁寧に喋る」
「へー、面白いな。覚えとく。
じゃあ料理に洗濯、お互いに終わったら声掛け合うって事で、解散な」
そうしてクレールとエタンは廊下の方へ向かった。
私もトイレ行こ。
ビールを飲むとちょっと近くなるよね。
さあ、巻きで仕上げるぞ!
♦︎
1番小さいフライパンに、味見して赤ワインビネガーと思ったやつと蜂蜜を少し入れる。
細切りのパプリカ半分と、ボールで蒸らしていた時にでた汁を入れ、甘酢炒めにして、蓋をして極弱火で味が染みるよう、焦げに注意して加熱する。
♦︎
さてと。
本日の花形、アスピックの組み立てといこう。
粗熱が取れたゼラチン入り出汁に白ワインをスプーン1.5杯加えてよく混ぜて、ココット3つに少量スプーンで流す。
バットに乗せ冷凍庫へ一瞬入れてっと。
♦︎
甘酢赤ピーマンの蓋を開けほんの少し残ってる水分を飛ばし、火を止め、皿に広げて冷ましておく。
♦︎
アスピック作業に戻って……。
エタン箱の極細いネギみたいなのは、ネギの味があんまり強くないタイプなので、勝手にシブレットと呼ぶことにして、みじん切りにする。
残りの赤ピーマンブロックの2/3を小さいさいの目に。
冷凍庫のココットを取り出し、海老を1個づつ入れ、その周りにさいの目チーム、カブ、ズッキーニ、パプリカ、さらにほぐした蟹、シブレットを彩りよく散らす。
そうっと、その上へスプーンでゼリー液を流し入れ、冷蔵庫へ。
ゼラチンの固まり具合が楽しみだ。
残った野菜は全部ガラスの保存容器にひとまとめにして、明日用に冷蔵庫へしまう。
♦︎
ほんの少しとっておいたゼリーを氷水に浮かべて、トロミがつく程度に冷やす。
クリームチーズが冷えて硬さの戻ったスモークサーモンのロールを出して、もう1枚あった小さなバットに乗せる。
トロミをつけたあのゼリー液を表面塗るために。
ハケがないから手を使う。
子供のお絵かきみたいなやりかただけど、塗り終えたズッキーニの表面は、艶やかにピカリと輝いて、より美味しそに見える。
一度さっと冷凍庫で表面を冷そう。
ヤカンでお湯を沸かしている間に、下拵え野菜を入れてたココットや調理道具を、後ろのツインシンクを使って洗っていく。
まな板の上に渦巻きを出して、さあカットだ。
お湯を流しの上で包丁にかけて、布巾で拭いて、切って、お湯をかけて汚れを落として、布巾で拭いて、の繰り返し。
クリームが包丁につくから、美しく切る為には面倒臭いけどしょうがない。
包丁を直接火で炙るのは、刃に悪いからあり得んし。
表面のズッキーニの薄切りは自身の皮の緑と身の薄黄緑のコントラストを生かして、すっきり斜めストライプに並べモダンな雰囲気に。
下からから透けるように、華やぐ色の濃いオレンジのサーモン。
それが白いクリームを巻き込むことで、より艶やな対比として、お互いの色味が映える。
散りばめられた赤い小さなトマトダイスやディルの濃い緑は、味と見た目にハツラツさを添える。
やはり表面に塗ったジュレがキラキラと魅惑的だ。
上部にディルを少しあしらう。
ふう。
『スモークサーモンとズッキーニの渦巻きクリームチーズ』1皿目が完成!
一皿目
「
--------------------
今回も怒涛のブルドーザーのような並行作業回でした。
【参考文献】
ドゥニ・リュッフェル著「感動の味わい」
ホセ・バラオナ・ビニェス著「ピンチョス360°」
浜 裕子著「フィンガーフード・50のレシピ」
「失敗疑惑を返り討ちできたようでなによりデス!」
ドヤ顔でツンっと顎を上げて、2人を流し目る。
そんで素直に謝った。
「お腹空いた? ちょっと凝り過ぎて時間かかり過ぎたね、ごめん」
多分彼らが思ってたのは、チーズを切って、生ハムとかナッツとか皿に盛り合わせて、クラッカーをつまむぐらいだったんじゃないかな?
そうはたと気づいちゃったのよねぇ。
完全に暴走しちゃった……。
「いや、一生懸命なコニーの姿を間近で見れて、僕は楽しいよ?」
俯く私の背中に、そっとクレールが手をあてる。
「こんだけ美味しい摘み食いだから、腹が騒いだだけのことだ。別に時間の事は全く気にする必要はないが……。
そうだな。
今日の洗濯は俺らがやるから、コニーは1人で集中して続きを作るか?」エタンが私の頭に手を乗せ、ワシワシしてきた。
「いつも2人は私を挟んで、目一杯甘やかしてくれるね。こんな状況未だかつてないわ~ってぐらい甘々だよ。
かなり照れるけど……嬉しいもんだね……ありがとう」
代わる代わる、スパダリ感溢れる男性陣を見上げた。
「はは、そう? まあ慣れてね?」
「面と向かってそう言われると、俺までなんかつられて照れちまうぜ。
あー、なんだ、その、ソファー脇のタオルで巻かれたやつ、一緒に洗ってもいいか?」
「あ、うん、ちょっと待って」
パンツ代わりに履いてた肉球スパッツを思い描く。
素肌に身に付けたが、元はクレールのものだし、下着然してないから袋に入れなくても、まいっか。
「はい、お言葉に甘えてまして、どうぞよろしくお願いします。つきましては、こちらもお願い出来ますでしょうか?」
ポケットからハンカチも取り出す。
「ええ? コニーそういえば、前も突然慇懃な返答してたよね」
「へ? そうだった? うーん……友達に一方的に結構大変そうなことを頼む時は、超丁寧にそんなふうにわざと喋るかも。
あと、他人にものすごく怒ってる時も。こっちは意識的にびっくりするほどワザと丁寧に喋る」
「へー、面白いな。覚えとく。
じゃあ料理に洗濯、お互いに終わったら声掛け合うって事で、解散な」
そうしてクレールとエタンは廊下の方へ向かった。
私もトイレ行こ。
ビールを飲むとちょっと近くなるよね。
さあ、巻きで仕上げるぞ!
♦︎
1番小さいフライパンに、味見して赤ワインビネガーと思ったやつと蜂蜜を少し入れる。
細切りのパプリカ半分と、ボールで蒸らしていた時にでた汁を入れ、甘酢炒めにして、蓋をして極弱火で味が染みるよう、焦げに注意して加熱する。
♦︎
さてと。
本日の花形、アスピックの組み立てといこう。
粗熱が取れたゼラチン入り出汁に白ワインをスプーン1.5杯加えてよく混ぜて、ココット3つに少量スプーンで流す。
バットに乗せ冷凍庫へ一瞬入れてっと。
♦︎
甘酢赤ピーマンの蓋を開けほんの少し残ってる水分を飛ばし、火を止め、皿に広げて冷ましておく。
♦︎
アスピック作業に戻って……。
エタン箱の極細いネギみたいなのは、ネギの味があんまり強くないタイプなので、勝手にシブレットと呼ぶことにして、みじん切りにする。
残りの赤ピーマンブロックの2/3を小さいさいの目に。
冷凍庫のココットを取り出し、海老を1個づつ入れ、その周りにさいの目チーム、カブ、ズッキーニ、パプリカ、さらにほぐした蟹、シブレットを彩りよく散らす。
そうっと、その上へスプーンでゼリー液を流し入れ、冷蔵庫へ。
ゼラチンの固まり具合が楽しみだ。
残った野菜は全部ガラスの保存容器にひとまとめにして、明日用に冷蔵庫へしまう。
♦︎
ほんの少しとっておいたゼリーを氷水に浮かべて、トロミがつく程度に冷やす。
クリームチーズが冷えて硬さの戻ったスモークサーモンのロールを出して、もう1枚あった小さなバットに乗せる。
トロミをつけたあのゼリー液を表面塗るために。
ハケがないから手を使う。
子供のお絵かきみたいなやりかただけど、塗り終えたズッキーニの表面は、艶やかにピカリと輝いて、より美味しそに見える。
一度さっと冷凍庫で表面を冷そう。
ヤカンでお湯を沸かしている間に、下拵え野菜を入れてたココットや調理道具を、後ろのツインシンクを使って洗っていく。
まな板の上に渦巻きを出して、さあカットだ。
お湯を流しの上で包丁にかけて、布巾で拭いて、切って、お湯をかけて汚れを落として、布巾で拭いて、の繰り返し。
クリームが包丁につくから、美しく切る為には面倒臭いけどしょうがない。
包丁を直接火で炙るのは、刃に悪いからあり得んし。
表面のズッキーニの薄切りは自身の皮の緑と身の薄黄緑のコントラストを生かして、すっきり斜めストライプに並べモダンな雰囲気に。
下からから透けるように、華やぐ色の濃いオレンジのサーモン。
それが白いクリームを巻き込むことで、より艶やな対比として、お互いの色味が映える。
散りばめられた赤い小さなトマトダイスやディルの濃い緑は、味と見た目にハツラツさを添える。
やはり表面に塗ったジュレがキラキラと魅惑的だ。
上部にディルを少しあしらう。
ふう。
『スモークサーモンとズッキーニの渦巻きクリームチーズ』1皿目が完成!
一皿目
「
--------------------
今回も怒涛のブルドーザーのような並行作業回でした。
【参考文献】
ドゥニ・リュッフェル著「感動の味わい」
ホセ・バラオナ・ビニェス著「ピンチョス360°」
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