舌先三寸覚えあり 〜おヌル様は異界人。美味しいお菓子のプロ技キラめく甘々生活

蜂蜜ひみつ

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ヌルッとスタート編

第43話 下拵え後半 汚名返上

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「コニー、全部が黒焦げたよ」

「はーい、どうもありがとう。15分ぐらいこうしてほっとくんだ」
黒焦げパプリカをボールに入れ、お皿を乗せて蓋をする。

「パン少ないけどちょっともらうね。
朝食用に足りるかなぁ。でももし足りなくなってたら、なにか代わりになるのを小麦粉で作ってあげるから大丈夫だよ。
あと、もし持ってたら夜はお米でも炊く?」

 サラダ用のお米ならあるよ、彼が冷蔵庫から2瓶出してくれた。
 黒い長めのワイルドライスと小さめの白い細長いお米。
 ワイルドライス系は吸水に5~6時間かかるからまたいつか。
 白いのは開けて匂いを嗅いだらいい匂いがした。タイの香り米みたい。

「うん、この白いお米を炊いてシチューと一緒に食べてみようね」


♦︎


 クレールにオーブンを180度につけてもらってる間に、残ってたドイツ黒パンを薄く2枚スライス。
 白パンも2枚スライス、そのうちの1枚は手でぎゅうと押してわざとぺちゃんこにする。さらにバットで潰す。
 
 黒パンと、白パンの潰す前に落として置いたパンのミミを全てサイコロ状にして、オリーブオイルを少しかけて天板に。
 スライスパンには、ハケがないので柔めておいたバターを手で薄ーく両面塗って、カナッペサイズにカットして、これも天板に並べる。

 オーブンに入れ180度で焼こうとしたが、初めて使うオーブンなので念のため、10度下げて170度で5分のところににつまみをひねる。
 へー。数字は同じなんだ。
 さてディップを各種作っていこう。

♦︎


「何が出来るのかさっぱり分からないな」

「ん? まーそうだよね。いつも仕事の時は、料理もケーキも並行で5種類ぐらい作ってくんだよ。
さらには明日とか明後日の分の仕込みとかも考えながらね。組み立て始めたら見てても楽しいよ。食べたらもっと楽しいけど!」

「本当に楽しみだな」
 クレールは余計な手出しも口出しもせず、傍らで興味深げに私を見守ってくれている。
 そして、頼むと必要な道具や食材をパッと出してくれる、素晴らしい助手様です。


♦︎


 手鍋に水、塩、粒胡椒、玉ねぎ1/4、白ワイン、月桂樹、エタンの箱に入っていたタイムとイタリアパセリに似たものを入れて、火にかける。
 
 クレールにシチューに入っていたローリエちょうだいと何気なく言ったら、月桂樹と自動翻訳された。


♦︎


 蟹缶開けていいか了承をもらい、ボールの上にザルを乗せて汁気を切っておく。
 身はココットに入れ冷蔵庫へ。


♦︎


 問題は板ゼラチン。
 ゼラチンの凝固力は商品によって千差万別なんだよね。
 日本で私も使ってる一般的なドイツのメーカーと同じと仮定してやってみよう。
 固まんなくてもココット型だし、硬過ぎてもご愛嬌だ。
 それが知りたくて、このメニューチョイスなんだから。

 ゼラチンは0.1gまで厳密に測るんだけど、粉ゼラチンと違って、板ゼラチンは定規で0.1ミリ単位で測って、ハサミでカットして使うことが出来る。
 270ccに対して丁度良いと水底した分量をカットして、水に漬けてふやかしておく。
 紙にもちろん掛け算したよ。
 電卓あると、特にお菓子は便利なんだよね……。


♦︎


 5分後にオーブンをチェックしたところ、わざと温度を下げずに180度で大丈夫そうだった。
 クレール上下段、奥手前を変えてもらって、180度で追加6分。
 焼けたら私がチェックしてオッケー出したら、パンを出して網の上に引っ越してもらうよう、クレールにお願いした。 
 クルトンは今日は食べないので、冷めたら保存も頼んだ。


♦︎


 海老を3匹だけ出して下処理する。

 殻や頭はいつかソースに使うかもしれないので、クレールに冷凍保存をお願いする。
 不思議そうにしてたけど、質問はせず請け負ってくれた。

 さっき水とワインなどを入れて沸騰させ弱火にしておいた、充分風味の出た手鍋に、身を入れて、茹で過ぎないように火を通す。

 身はココットに入れ冷蔵庫へ。
 汁は蟹缶の時使ったザルセットにあける。

 そこから250cc測って手鍋にかけ、少し温めたら戻したゼラチンを入れて混ぜる。

 クレールに聞いたらキューブコンソメが存在していた。
 おお便利!
 無くてもなんとかいけるように海老蟹出汁にしたけど、風味弱いので、ちょっぴり入れよう。

 味を整え、ボールに移して冷ます。

 残った汁は明日使うから、クレールに入れ物を見繕ってもらい、冷蔵庫にしまってもらった。


♦︎


 鍋にかけといた湯が沸いた。
 塩入れて、付け合わせにほんのちょっぴりパスタを茹でる。
 袋に8分って書いてあったから4分茹でよう。
 時計が無いな~、仕方がない象のお歌作戦だ。

 あの歌はのんびり歌うと15秒ちょいなのよね。
 1番2番のセットを2回歌えば1分10秒ぐらい。
 だから……3セットと1番ね。
 
 タイマーをかけながら煮詰め仕事するとき、1人でアホみたいに、脳内でこんなの歌いながら混ぜたりしたのが役に立ったな~。
 ちなみに早い速度で混ぜたいときは、鳩の歌か蜂の歌で、こっちは13秒ぐらいね~。

 茹で上がって湯切りしたパスタは、バッドにオーブンシートを敷いた上に、鍋に入る大きさに広げる。
 それをへしまう。


♦︎


 さっきの赤ピーマン、余熱で甘みが増したかな~、黒焦げ皮が剥きやすくなったかな~と、手に取った時。

「おーい、終わったぞー。そっちはどんな感じだ?」

 エタンが部屋から出てきて、私と手にした黒焦げ赤ピーマンを見て、ポロリと一言。
「うげ!! マジか~」

 口元に手を当ててるけど、バッチリ聞こえてるから。

「大丈夫だ、コニー! 俺は気合いで大抵のもんは食える」
無駄にいい笑顔で励ましてきた。

 くっ! 違うんだって。

 2人が見守る中、無言で急いで焦げ皮を剥き、さっき野菜の水分取りに使った布巾で綺麗に拭く。
 洗うと水っぽくなるからそれはしない。

 半分より多め、3/5ぐらいを5mm幅に切っる。
 長すぎるので半分に切って、皿に乗せオリーブオイルをかける。
 自分で味見、うん! 
「2人ともこれ食べてみてよ」

 私は手づかみだったけど、2人にはフォークを添える。

 早速口へと運んだ彼らは……

「マジか! 美味ぇ!」

「甘みがあって、柔らかで、赤ピーマンってこんな食べ物だったっけ?」

 よっし! 汚名返上!
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