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舞台裏の夜啼鳥(ナイチンゲール)
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しおりを挟む「お嬢様、旦那様がお見えです」
会話が弾んでいる最中にヴァイオレットの耳もとで遠慮がちにメイドが囁いた。
視線を向けるとパーラーのドアの陰に年配の男が立ち、じっとこちらを見つめている。
「ごめんなさい。わたくしちょっと…… 」
曖昧に言ってヴァイオレットは席を離れた。
「どうだ? 」
人気のない応接室に移動すると、置かれたソファには見向きもせずに立ったまま、単刀直入に白髪混じりの男は訊いてくる。
「まだ、なんとも…… 」
そう答えたヴァイオレットの言葉に男は気に入らないと言った視線を向けてくる。
「お前、ここに入って何日になる?
まさか遊んでいたとは言わぬだろうな」
何もかもを凍りつかせてしまいそうなほどに冷たい光をたたえた青い瞳がヴァイオレットを見据える。
「でしたら……
何とかしていただきたいわ、お養父さま…… 」
その瞳を睨み返してヴァイオレットは言う。
「何を、だ? 」
ヴァイオレットの言った言葉の意味が全くわからないといった風に男は訊きながらようやくソファに腰を降ろす。
「こんな何もない場所に閉じ込められて、ただお相手の通ってくるのを待つだけでは、何時まで経っても事は進展しなくてよ」
「誰が待っていろと言った?
もう少し積極的にだな…… 」
ヴァイオレットの言葉に男は少したじろいだようだ。
一瞬ではあるが、無意味に空を泳いだ男の視線から、少なくともヴァイオレットにはそう判断する。
「殿下方の居室はあちら」
ヴァイオレットは窓から見える古い無骨な石積の建物を、手にした扇で示す。
「王妃様の体調のこともあってわたくし達、あちらへ立ち入ることは禁じられておりましてよ」
「だからといって、儂にどうしろと?
陛下に掛け合って来いとでも言いたいのか? 」
しかし、すぐに男は気を取り直したようにもう一度ヴァイオレットを見据える。
「そうですわね。でも……
第一王子殿下と第二王子殿下は公務で城外に出ていらっしゃることが圧倒的に多くて、第三王子殿下と第四王子殿下は行方不明。
わたくし未だにお顔を拝見しておりませんの。
第五王子殿下は…… 」
「そこまで言わなくていい…… 」
男はため息混じりに頭を抱え込んだ。
「全く……
どうして今回の王子は変わり者だらけなんだ…… 」
うめくように呟く。
正直皆それぞれに忙しいというだけなのだろうが。
若い男のくせに、年頃の華やかな少女達に囲まれて、その場を素通りしてしまう神経が理解できないのだろう。
「わかった、殿下に何かイベントでも行うように進言しておこう…… 」
男は、うろたえながら身を預けていたソファから立ち上がる。
「それから、お養父さま」
立ち去ろうとする男の背中にヴァイオレットは呼びかけた。
「お花を毎日届けてくださって、感謝しますわ。
でも、もう結構ですわ」
「何故だ?
娘に花を贈って何が悪い? 」
その言葉がいかにも気に入らないと言った様子で男は片眉を上げ、僅かに振り返る。
「沢山いただきすぎて、お部屋にもう飾る場所がありませんの。
ここで割り当てられているお部屋、意外と狭いんですのよ」
言ってやんわりとした笑顔を男に向けるが、心底笑っているわけではない。
形だけでも笑みを送っておかないとまたこの男の神経を逆撫ですることは、誰でないヴァイオレットが一番よく知っていた。
「適当に始末すればいいものを…… 」
吐き捨てるように言って男は部屋を後にした。
男を見送り、パーラーに足を向けかけると、ヴァイオレットの耳にピアノの音が飛び込んできた。
誰だろう?
ヴァイオレットはふと足を止める。
ここに集まる少女達はたしなみとして皆なにかしらの楽器の演奏も身につけているからそのなかの誰かだとは思うが、それにしてはあまりに見事な演奏だ。
お嬢さん芸というよりはプロのような……
音に釣られてサルーンに足を踏み入れると、新しい入室者の気配を察したように演奏が止まる。
「ごめんなさい、お邪魔をしてしまったかしら? 」
「いいえ」
その声にピアノの前に座る楓糖色の髪の少女がゆっくりと顔を上げる。
確か、リディア・カブール。
カブール子爵の令嬢だとか。
ここに集められているのは皆伯爵家以上の爵位のある、しかも僅かでも王族の血を引いた娘ばかり。
国王が、男爵家育ちである王妃の妹の話し相手にと、手を尽くして探し出し半ば強引に参加させた、一応王族の血を引く子爵令嬢だとか。
こういうときの養父の情報網は凄いと思う。
とりあえずヴァイオレットがここでの生活に不利にならないようにとありとあらゆる情報を入手してこさせていた。
「あなたもレッスン? 」
言いながらリディアは譜面台に広げられた楽譜を綴じ、ピアノを空けるように立ち上がろうとする。
「そうではなくてよ。お気になさらないで」
やんわりと笑みを浮かべてヴァイオレットはそれを制した。
「こんなところにまできてレッスンなんて、熱心ですのね」
僅かに首を傾げて訊いてみる。
「ええ、毎日続けていないと指が動かなくなってしまうでしょ?
それに、わたしのピアノの先生は少し口うるさいの。
ここから帰った時に腕が落ちていたら何を言われるか」
ため息混じりにリディアは言った。
「わたくしは、もう沢山。
ここに居る間は手を抜かせていただこうと思っていましたのよ」
それはどの少女も同じようで、ここで毎日のように楽器を手にしている誰かの姿などほとんど見たことがない。
それにピアノは……
部屋中に溢れる派手な花のアレンジメントと同じく、思い出したくもない記憶を蘇らせる。
「お邪魔をしてごめんなさいね。
どうぞお続けになって」
これ以上居ても無駄とばかりにヴァイオレットはサルーンを出た。
「何が君の機嫌を傾けたのかな? ヴィオラ」
廊下を急ぐヴァイオレットは聞き知ったその声に顔を上げた。
「セオドア、さま! 」
驚いていつものように呼びかけ、慌てて敬称を付け足す。
「どうしてここに? 」
「忘れた? 一応私は王弟の息子なんだけどな」
セオドアは苦笑いを浮かべる。
「なので一番末席だけど、君たちの夫候補の一人。
それと…… 」
セオドアは気遣わしげに館の奥に視線を送る。
「妹がここにきているからね、その保護者」
「アイリス様が?
どうして? 確かご婚約者が居たはずでしてよね? 」
ヴァイオレットは首を傾げた。
「何か、思うところがあったようだよ。
父上にごねて強引に参加した」
男は呆れたように息をつく。
「詳しくは本人も話したがらないから、私もよくは知らないけど、とりあえずその話は他のご令嬢たちには伏せておいてくれるかな?
知れたらここに居づらくなるだろうから」
「それは、もちろん…… 」
事情など誰に聞かなくてもひとわかりだ。
ただの遊びや暇つぶしで、こんな面倒臭い退屈極まりない場所に来ようなどとは普通なら思わない。
明らかに切実な思いがあってのことだ。
とはいえ、この男に説明する義理もない。
そもそもすでにわかっていないところで説明しても無駄だろう。
そう察してヴァイオレットは口を閉じる。
「それより…… 」
セオドアの手がそっと伸び、ヴァイオレットのデコルテに下がる丁寧に整えられた巻き毛に触れる。
胸にうずく甘い何かを抱えながら、ヴァイオレットはその手を取るとやんわりと押しやって笑みを向ける。
「言ったでしょ。
もう終わりにしましょうって」
「私も言った筈だ。
君に恋愛は無理だと」
念を押すように男は言う。
「どうしてそう言い切れて? 」
ヴァイオレットは男を睨みつけた。
この男は何故、何もかも見透かしているようなことを言うのか?
そう思うと腹が立つ。
「君と付き合って何年になると思っているんだ? 」
「さぁ?
わたくし達、最初からそんな関係ではなかったはずでしてよ」
いいながら男を待たずにその脇をすり抜ける。
「失礼しますわね。
わたくしこれから所用がありますの」
「なんでもいいけど、そのいかにも機嫌の悪そうな顔、どうにかしたほうが君のためだよ」
背後から男の声だけが追ってきた。
……強いて言えば、デビュタントの翌月初めて出席したノブフィオーレ公爵家の夜会からの付き合いだ。
それとも……
ヴァイオレットの手がそっと口元に向かう。
……あれは何時からだっただろう。
ふいに足が止まってしまったことに気が付き、ヴァイオレットは再び歩き出した。
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
パーラーに戻ると、数人の少女達がチェスに興じていた。
「お父様とのお話はお済みになって? 」
ヴァイオレットに気付いた一人の少女が、言いながら席を立つ。
「一局いかが。
ちょうど投了したところでしたの」
見たところでは相手の少女の一人勝ちといったところか。
自分では歯が立たないと、ヴァイオレットに助けを求めているような様子だ。
「わたくしもあまり強くはなくてよ」
促されて言い訳をしながらも空いた椅子に腰を降ろした。
「ご存知でした?
レディ・シエラに今聞いたのですけど、チェスのルールって国によって微妙に違いますのね」
「そうでしたの? 」
目線を盤の上に落とし、新しく駒を並べなおしながら一応答える。
「どうかしまして? レディ・ヴァイオレット」
「え? 」
掛けられた言葉にヴァイオレットは顔を上げた。
「お顔が厳しくていらっしゃるから…… 」
困惑したように、怯えたように声を掛けた少女が言う。
「いいえ、ただ少し……
先ほどのお国でルールが違うって言うお話、その…… どんな風にルールが違うのかしらって、真剣に考えてしまいましたの」
ヴァイオレットは慌てて言い繕う。
……今日は、
なんていう日なんだろう?
チェスの駒を動かしながらヴァイオレットは思いを巡らす。
暫く会わずにすんでいた養父と、セオドアに一度に顔を合わせるなんてこと、あるとは思っていなかった。
しかもあんな事まで言われて……
「はい、投了でしてよ」
言われた声に顔を上げると、対戦相手の少女が微笑んでいる。
「あら、ごめんなさい。
わたくし程度ではお相手になりませんでしたわね」
考え事をしすぎて大事な局面を見落としたらしい。
ごねてもみっともないだけと、席を立ち次の少女に順番を譲った。
「お聞きになりまして? 」
次の順番が来そうな少女が、それをはぐらかそうとでも言うように口を開く。
「今夜のオペラの演目、アルセリーニの『月の女』なんですって」
少女達が退屈しないようにとでも言うのか、ここでは時折、演劇やオペラ、コンサートといった催しものがある。
演目は、その日のお楽しみ、にされていることが多い。
「まぁ…… つまらないこと」
本当なら眉をしかめたいところだったが、これ以上不機嫌な顔を見られたくないと、ヴァイオレットは扇を広げてその影でわざと欠伸をこぼす。
……なんてこと。
部屋いっぱいの花も、ピアノも、オペラも特に『月の女』は大嫌いだ。
「わたくしそろそろ失礼しますわね。
今夜の準備をはじめませんと…… 」
投了したまま、まだ次の勝負の始められていない局面を横目にパーラーを出る。
なんだか、ここへ来てから自分の気に障ることばかりが立て続けに気がする。
ヴァイオレットはそのことに僅かに腹を立てながら部屋に向かった。
それでも、演目が気に入らないから不参加とはいえない。
催し物のある時には王子達も努めて姿を表す。
顔を見て、会話ができる。数少ない場所だ。
こんなチャンスを逃すわけに行かない。
「アメジスト色のローブデコルテは持ってきてあったかしら? 」
部屋に入るなりヴァイオレットはメイドに言う。
「はい、お嬢様」
メイドは手馴れた様子でクローゼットの中から言われた色のドレスを取り出した。
「髪飾りと宝石はこれに合わせて誂えたものでよろしいですか? 」
次いでドレッサーの傍らに向かいながら訊いてくれる。
「先日お養父さまから届いた菫の花綵のリボンはどうかしら? 」
「今夜のご予定は? 」
「オペラよ。『月の女』ですって」
「それでしたらぴったりですね」
言われた髪飾りを箱の中から取り出しながらメイドは頷く。
社交界にデビューしてからつけてもらった若いメイドは、センスがよく適当に教養もあり、話が合う。
こうしてメイドとドレスや髪飾りの話をしている間だけは、嫌なことを全部忘れていられた。
「髪型はいかがいたしましょうか? 」
メイドはデコルテに垂らされたヴァイオレットの黒い巻き毛を目に訊いてくる。
その言葉に先ほど髪に伸びてきた男の手が思い出され、ヴァイオレットの胸が甘く疼いた。
「全部上げてしまいます? それとも…… 」
「このままでよくてよ」
湧き上がった妙な感覚に動揺しながら、ヴァイオレットは答えた。
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
「見て、レディ・ヴァイオレットよ。
今日も華やかですこと」
会場に入ると同時に集まる視線と共にこぼれるため息。
デビューした頃はそれが恥ずかしくて仕方がなかったが、それにももう慣れた。
「無理もありませんわ。
お父様の侯爵様がそれは可愛がっていらっしゃるって、お話ですもの。
先日も様子を見にきていらしたみたいよ」
……あれを、『可愛がっている』と言うのであればの話だが。
そこここでこぼれる会話に、ヴァイオレットはため息をこぼさずにはいられない。
王城の一角に造られた小さな劇場。
あまり大きくないホールの片隅にヴァイオレットは腰を降ろした。
程なくオペラの幕が上がる。
今夜の演目は「アルセリーニ作、『月の女』」
街中のオペラ座でもよく上演される割とポピュラーなものだ。
月から降り立った女神の使いである乙女が地上の男と恋に落ち、駆け落ちをしたものの、月世界への未練が捨てきれず、男との愛情の間でゆれ動く。
やがて女の命は尽き……
男は女を地上に引き止めたことを後悔する。
そんな使い古された内容のつまらない悲劇だ。
今日の装いはその主人公女神の使いの乙女にあやかり、乙女の象徴として使われる花綵の意匠を凝らしてみた。
このオペラの見所ともいえる長いアリアが続く。
ヴァイオレットはそれを耳に、広げた扇の陰でそっと欠伸を漏らす。
早く終わればいい……
もともとそれだけしか考えていないのだから、プリマドンナがどんなに美声を張り上げてもヴァイオレットの耳には入っていない。
むしろその甲高い声が気に障る。
第一、実際の駆け落ちはそんなロマンティックなものではないと、昔からそう思ってるせいもあり、少しも話にのめりこめない。
我慢も限界になる寸前に、ようやく幕が下りた。
「オペラは苦手だったかな? 」
早々に席を立ち、劇場を出ようとしたヴァイオレットを引き止めるかのように、第一王子が声を掛けてきた。
「まぁ、アーサー殿下。
とんでもありませんわ」
ヴァイオレットはその装いに負けないような華やかな笑みを浮かべる。
「それにしては、随分難しい顔をしていたようだが…… 」
アーサーは困ったような表情を向ける。
「少し頭痛がしていましたの。
今朝から体調があまり優れなかったものですから」
まさか演目が退屈極まりなかったとは言えず、ヴァイオレットはとりあえず言い繕う。
「だったら、無理に出席しなくとも良かったのだよ。
体調の悪いときにはきちんと休んでもらわないと。
大切なご令嬢をお預かりしているんだ、大事になっては侯爵に言い訳ができなくなる」
「お心遣い感謝いたしますわ。
でもわたくし、このオペラを楽しみにしておりましたの」
オペラ事体も嫌いだが、演目は最悪だったとは、よもや口が裂けてもいえない。
ヴァイオレットは無理にでも笑みを浮かべる。
「確かに、その髪飾りは君によく似合っているね」
さすが一国の王子と言うべきか、アーサーはヴァイオレットの装いの意図を汲んでくれたようだ。
「恐れいります…… 」
ヴァイオレットは睫を伏せる。
「今日、君の父上から次には音楽会でもどうかと提案されたんだ。
どうだろう? 」
音楽会という言葉に、更にヴァイオレットの作り笑顔が引きつった。
しかしアーサーはヴァイオレットの笑顔が僅かに引きつっていることに気付かないように言葉を続ける。
「すてきなお話ですね。
ピアノの演奏など、とてもお上手なご令嬢もおりましてよ。
楽しみにしていますわ」
笑みを浮かべたままヴァイオレットは男の側を離れる。
アーサーの方から話し掛けてくれるなど、今までなかったせっかくのチャンスだ。
本当ならこのまま会話を続けたいところだが……
会話の内容が悪すぎる。
ダンスでも乗馬でも読書でも演劇以外の話ならいくらでもできる。
でも、オペラと劇場と音楽と花束と…… その話題だけはどうしても続けられない。
などと言ってせっかくのチャンスをふいにしてアーサーとの会話を終わらせてしまったなど、こんなところが養父の目に入ったらそれこそ何を言われるかわからない。
ヴァイオレットは周囲を見渡し、所々にいる貴族の中に知った顔のないことを確認して息をついた。
そんなことが頭の片隅をよぎったからだろうか?
なんだか、本当に頭痛がしてきた。
ヴァイオレットは軽く痛む頭を抱えて自室に引き上げた。
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