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【第62話】反撃開始

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クルミは、ジークからの交信で街へと急いだ。無理なしないでと伝えたけれど、ジークは街の防衛を考えていることが予想できた。

「みんな急いで。」

親衛隊もクルミに合わせてスピードを上げた。暗闇だが先を急いだ。


その頃、ジーク達は街からの避難はおえていたがジークとシャオ、100人の兵士が街に残っていた。避難民が遠くまで逃げる時間を作るためだ。

「どのくらい時間が必要でしょうか?」
ジークはシャオに問いかけた。ちなみにメリットは避難民について行ったのでこの場にはいない。

「可能な限り長くとしか・・・・
1時間も厳しいかと。」
シャオは答えた。

「皆すまない。わたしのわがままで、厳しい状況になったら逃げてくれて構わない。」

100人の兵士達にジークは話しかけた。この場にいるのは希望者だけだった。逃げだす者はいなかった。

ジークは剣を抜いた。
【精霊召喚】光の精霊が現れた。
「ルーク、皆に守りの加護を!」
精霊が光を放つ、部下達に光の加護を与えた。

【光の障壁】
街の境界に光の壁ができた。
魔力の消費も激しい。ジークは疲労感を感じていた。

「あまり魔力を無駄にしないように!」
シャオが注意をした。

その直後、複数の魔法弾、銃撃が飛んできた。光の障壁で耐えている。

「加護を持ったものは、障壁を通り抜けできる。側面から魔法、矢での攻撃開始!」
シャオが指示を出す。指示に従って兵が動き出す。この100名はシャオが鍛えた兵士達だった。

的確に攻撃をしていく、トルゴラムの兵士達が悲鳴を上げて倒れていく。

敵が側面の攻撃を加える。

「障壁まで退避!」
即座に反応する。

「正面から攻撃!」
シャオが自分も突撃しながら命令を出す。側面を攻撃していたトルゴラム兵達は対応しきれない。攻撃を受けて被害が出る。

「正面、撤退!」

単純だが、効果はあった。ただ敵も攻撃を変える。

障壁に向けて一斉攻撃を加えた。
障壁の効果が弱まる。ジークと精霊のルークは耐えるが長くは持たない。

「これ以上無理か、全員撤退!」
シャオがすぐに指示を出す。時間として数十分が限界だった。

「まだ・・・」
ジークが踏ん張ろうとしたが、障壁が割れてしまった。

煙玉を次々に投げて目眩ましをする。


トルゴラムの部隊長が指示を出す。
「面倒だ!街ごと焼き払え!!」

魔力弾、火炎魔法など次々に打ち込まれる。魔法銃を兵士達が乱射していく。

シャオはジークを抱えて撤退している。銃弾がかすめる。

「王子を守れ!」
兵士達が盾になり、倒れていく。

「やめろ!逃げてくれて!!」
ジークが叫ぶ。シャオからは歯ぎしりが聞こえてくる。

その時に、避難民の方からも爆炎が上がった。
「まさか・・・・」

ジークは自分のやったことは無駄だったのかと思った。


避難民達もトルゴラムの攻撃を受けていたのだが、これは残りの兵士達が守り抜いていた。メリットも魔法で支援と攻撃を行っていた。

幸いにもこちらにはまだトルゴラムの兵は少なかった。しかし更に兵士達も迫ってきていた。

さすがにメリットもこれは無理かなと諦めかけていた。

その時に、闇夜を切り裂いて赤い光が飛んできた。カーグシン竜王の不死鳥だ。

カーグシン竜王がトルゴラムの軍隊の前に降り立った。

「さて、これからはわしが相手だ!!」
身体から炎が舞い上がる。怒れる竜の咆哮だった。


ジーク達のもとに迫っていた。トルゴラム軍隊の後方にクルミが到着した。

「今日のわたしは手加減できないから!!」

反撃の開始とばかりに草薙を振るった。
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