喜楽

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喜楽 0 双子の再会

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「母さんおはよう」
 朝、日が昇り始めた頃、昂が寝ぼけ顔で起きて来た。
「おはよう。当分は外でご飯食べなよ」
 フェルは大きな欠伸をする。
「そうだったけ、もう少ししてからアサギと九、 起こして町まで行って来る」
 昂はがっくりと肩を落としていたが、台所に立つと水を飲み始めた。
 フェルは又大きな欠伸をする。
「アサギをこっちに返すとき、何か適当に持たせてよ」
 昂は嘴をコップに入れたまま頷き、仕事の準備をすると、アサギと九をいつもより早めに起こした。
 起きてきたアサギは、人間の姿をしている。寝ぼけ眼の九に学校へ行く 支度をさせると、三人で町の方へ出掛けていった。

「ただいま」
 どれくらい時間が経ったのか、大きな荷物を抱えアサギが帰って来た。買ってきた物をテーブルの上に置き始める。
「お昼と晩御飯の分も買ってきたよ。昂兄さんは晩御飯も、外で済ませて来るって言ってた」
「おかえり。荷物重かっただろ? ありがとね」
 フェルが近付きアサギの頭を撫でると、アサギは照れ臭そうに顔を赤くして下を向く。フェルは笑みを浮かべ、アサギの頭を軽く二三度叩き手を離した。
 龍鬼は立ち上がると、大きな欠伸をする。
「さて、様子を見てから一寝入りするかのぉ」
 龍鬼は、部屋を出ていった。

 この日から、フェルと龍鬼が夜、交代で蒼牙の様子を見始める。


 風牙が意識を取り戻さないまま、三日目。月も無く風も殆ど吹かない、静かな夜だった。
 フェルが、蒼牙の様子を見ていた。窓から外の様子を、ぼんやりと見ている。ふと、何かに気付いた様子で窓に近付き外を見た。
「気のせいかしらねぇ」
 蒼牙に背を向けると、何事もなかったように部屋を出ていく。


 蒼牙はフェルが部屋を出ていく姿を見て、不自然だと感じた。今まで部屋には必ず、誰か一人居たのだ。ふと、蒼牙はこの家に、普通では判らないほど微かに殺気が近付いている事に気が付く。殺しに失敗した自分を殺しに来たのだと、蒼牙には直ぐ判った。
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