喜楽

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喜楽 1 ゴーレムと魔力

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 照果は少しむっとした顔をすると、フェル達の顔を見る。
「耳の痛い話ね。ところで想像付くけど、その魔道師と商人どうしたの?」
 照果の話を唖然としながら聞いていたフェルが、呆れたように笑う。
「エステルがぼこぼこにしちゃったわよ。もちろん殺す前に私が止めたけどねえ」
 照果は他人事のように笑い、エステルの方を見る。エステルは、少し恥ずかしそうに笑った。
「もう一つ聞いて良い? 照果がなぜドラゴンと一緒に行動してるの?」
「あぁ、エステルの住んでる土地が居心地良くて、居候させてもらってるの、エステルだけで動くと人間がパニック起こすでしょぉ? それで間に入るとましかなぁなんて思って……私としては龍人が別種族と住んでる方が不思議だけどなぁ」
 フェルが不思議そうに尋ねると、照果はあっけらかんと笑って応えながら龍鬼の方に目を向けた。
「ところで、ソラは返してくれるのですか?」
「もちろんよ。ほらソラもう恐くないだろ?」
 エステルがおずおずと尋ねると、フェルは微笑みながら、ソラをエステルの前まで連れてくる。
「お母さん?」
 ソラがもじもじした様子でエステルに近付くと、エステルは優しく微笑み頷く。
 エステルはソラに顔を近付け、ソラはエステルに顔を近付けると頬を擦り寄せた。
「かわいいソラ、やっと……」
 エステルは、ぼろぼろと涙を流す。
「さてと、ソラちゃんも見つかった事だし、そろそろ帰る?」
 照果は、大きく伸びをする様な仕草をした。
「人間は私達ドラゴンを見ると脅えて逃げるか、珍しがって捕まえようとするのに、あなた達はソラ の面倒を見てくれ、そして私に返してくれました。本当に有り難う」
 エステルは、フェル達の顔を見る頭を深々と下げる。
 様子を見ていた九が、突然大声で鳴き始めた。
 風牙が泣き始めた九を抱き上げると、玄関で様子を見ていたアサギが慌てて風牙の側に駆け寄る。
 ソラは側まで来ると、心配そうに九を見上げる。
「ソラ、又遊びに来る。九泣くとソラも悲しい」
 九は目を潤ませながら風牙から降りるとソラに抱き付く。
「ホントにホントに遊びに来てね!! 九も遊びに行くから!」
 九はそう言って、ソラの顔を見るとにっこりと笑った。
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