59 / 63
作戦名は make a break ! 4
しおりを挟む
「―――なんてことがあったんですよ!」
「……で結局どっちが勝ったんだ?」
夕方。何故か当たり前のように流音と共に帰って来た菫の話を聞いていた楽斗は結果を予想しながら、確認のため問いかけた。
いや、まぁ結果は明らかなんだけどな。横で姉さんが顔真っ赤にして手で覆い隠してる時点で丸分かりって言うか……。
「ふっふっふ、結果を知りたいですか?」
「早く言え!」
焦らしてくる菫にムカつきつつ、催促すると菫はクルリとその場で回って自分を指差して宣った。
「接戦の上……いや私の圧勝でした!」
ですよねー。言っちゃ悪いけど姉さんのセンスは独創的っていうか個性的っていうか……はっきり言って壊滅的だからね。
ファッションビッチの菫に勝てるはずがないよねー。
「おや?あんまり驚かないようですが……まさか私が勝つと信じてくれてました?」
「いや違うな」
「違うと言いますと?」
「逆に姉さんが勝つ姿が思い浮かばなかっただけだ。姉さんファッションセンスないもんな―――ふぎゃ!?」
回し蹴りを横腹に食らってしまった俺は潰れた蛙のような奇声をあげる。
「ふぁ、ファッションセンスがないってどういうことよ!」
「い……いや…………もう認めろよ」
例え相手がファッションビッチ(笑)だとしても、ファッションバトルに圧敗だったことには代わりはない。
そういう含みを持って痛む腹を押さえながら言うと、
「ち、違うわよ!審査する人の目がおかしかっただけよ!」
おっと、そう来ましたか。あくまでも自分は悪くないって言う完全なる責任転嫁。
「……でも、るーねぇ。審査してくれた人、百人くらいいたけど、るーねぇの票ゼロ票だったじゃん」
す、すげえ。確かに圧敗とは聞いていたがまさかの100対0だったとは。どんだけ壊滅的……ゴホンゴホンッ。独創的なセンスしてるんだよ!
「ひゃ、百人全員が目に病を抱えていたのよ!」
たまたまショッピングモールに行きたまたま審査員を務めてくれた人が全て目に病を抱えていた!?どんなドキュメンタリーだよ。もう一周回って奇跡のレベルだろうが!
あまりの言いぐさに吹き出しそうになったが、ギリギリ耐える。……そろそろ腹筋が崩壊しそうだ。話を変えよう。
「……そういえば俺も今日大毅に誘われてカラオケ行ったんだけどさ―――」
「えっ?カラオケ!?」
「なになに詳しく聞かせて!kwsk!」
案の定かかってきてくれた二人に今日の詳細を話した。
◇
「―――で女子が全員帰っちゃって何故か俺達がクソオ……同級生男子に怒られたってわけよ。解せないだろ?」
全て話終えた俺はすかさず同調を求める。
「……そうね、クズね」
「極めてクズですね」
ホッ、どうやら二人ともクソオがクズだって分かってくれたようだ。
と思ったら二人して俺を指差して言った。
「「このクズ!」」
「はぁ!?」
な、何で俺が!?
「ま、まさかがっくんがここまでクズになってるなんて……明らかに大毅の仕業ですね。よし決めました今日から大毅は敵《ヴィラン》です。正義の名に懸けて必ず潰します」
……あっ、ごめん大毅。変なのに火を着けちゃったようだわ。
心の底から悪友に謝罪する。
「全校生徒の前で性別詐称、同級生の家をメイド服周りに加えてカラオケで合コン潰しなんて……楽斗、貴方はどこまで落ちれば気が済むのかしら。恐ろしい子っ!」
「おいちょっとまて、全校生徒の前で性別詐称は姉さんの所為だろうが!それにメイド服周りは宗吾の所為だし……まるで俺が変態みたいに言うんじゃねぇよ!」
「「え?」」
「「え?」じゃねぇよ!」
なんだその反応は……俺は変態じゃないって言うのに、こんなにピュアだと言うのに失礼な。
……本当にピュアな人は自分のことをピュアと言わないなんてことに気づかない楽斗は心の中でそう愚痴る。
「……ていうか、菫、そろそろ帰れよ!」
「えー泊まってく」
「昨日は土曜だったから許したが今日は日曜!明日学校だろうが!泊まらせねぇよ!」
「そうね、楽斗の言うとおりよ!帰りなさい」
「ちぇー。わかったよ帰る!じゃっ、まったねぇえ!!!」
そう言い残すと、菫は帰っていった。
静けさが空間を支配する。
((菫がいないだけでこんなに静かなんだな))
そんな中、二人は感動を覚えていた。
やがて、気を取り直した流音が一言。
「……楽斗、課題やった?」
「あっ!」
「……仕方ないわね。今日の当番あなただけど、私がご飯作っといてあげるわ」
「え……何でそんなに優しいの?」
いつもなら強引にでも作らせようとする筈なのに。そう思い驚愕を露にすると、流音は照れ臭そうに……
「そ、その代わり私がファッションバトルに負けたって話は門外無用にしてよね!」
「……おっけ!」
菫に口止めしてない時点で手遅れ感が半端ないが、俺は二つ返事で頷いた。
「……で結局どっちが勝ったんだ?」
夕方。何故か当たり前のように流音と共に帰って来た菫の話を聞いていた楽斗は結果を予想しながら、確認のため問いかけた。
いや、まぁ結果は明らかなんだけどな。横で姉さんが顔真っ赤にして手で覆い隠してる時点で丸分かりって言うか……。
「ふっふっふ、結果を知りたいですか?」
「早く言え!」
焦らしてくる菫にムカつきつつ、催促すると菫はクルリとその場で回って自分を指差して宣った。
「接戦の上……いや私の圧勝でした!」
ですよねー。言っちゃ悪いけど姉さんのセンスは独創的っていうか個性的っていうか……はっきり言って壊滅的だからね。
ファッションビッチの菫に勝てるはずがないよねー。
「おや?あんまり驚かないようですが……まさか私が勝つと信じてくれてました?」
「いや違うな」
「違うと言いますと?」
「逆に姉さんが勝つ姿が思い浮かばなかっただけだ。姉さんファッションセンスないもんな―――ふぎゃ!?」
回し蹴りを横腹に食らってしまった俺は潰れた蛙のような奇声をあげる。
「ふぁ、ファッションセンスがないってどういうことよ!」
「い……いや…………もう認めろよ」
例え相手がファッションビッチ(笑)だとしても、ファッションバトルに圧敗だったことには代わりはない。
そういう含みを持って痛む腹を押さえながら言うと、
「ち、違うわよ!審査する人の目がおかしかっただけよ!」
おっと、そう来ましたか。あくまでも自分は悪くないって言う完全なる責任転嫁。
「……でも、るーねぇ。審査してくれた人、百人くらいいたけど、るーねぇの票ゼロ票だったじゃん」
す、すげえ。確かに圧敗とは聞いていたがまさかの100対0だったとは。どんだけ壊滅的……ゴホンゴホンッ。独創的なセンスしてるんだよ!
「ひゃ、百人全員が目に病を抱えていたのよ!」
たまたまショッピングモールに行きたまたま審査員を務めてくれた人が全て目に病を抱えていた!?どんなドキュメンタリーだよ。もう一周回って奇跡のレベルだろうが!
あまりの言いぐさに吹き出しそうになったが、ギリギリ耐える。……そろそろ腹筋が崩壊しそうだ。話を変えよう。
「……そういえば俺も今日大毅に誘われてカラオケ行ったんだけどさ―――」
「えっ?カラオケ!?」
「なになに詳しく聞かせて!kwsk!」
案の定かかってきてくれた二人に今日の詳細を話した。
◇
「―――で女子が全員帰っちゃって何故か俺達がクソオ……同級生男子に怒られたってわけよ。解せないだろ?」
全て話終えた俺はすかさず同調を求める。
「……そうね、クズね」
「極めてクズですね」
ホッ、どうやら二人ともクソオがクズだって分かってくれたようだ。
と思ったら二人して俺を指差して言った。
「「このクズ!」」
「はぁ!?」
な、何で俺が!?
「ま、まさかがっくんがここまでクズになってるなんて……明らかに大毅の仕業ですね。よし決めました今日から大毅は敵《ヴィラン》です。正義の名に懸けて必ず潰します」
……あっ、ごめん大毅。変なのに火を着けちゃったようだわ。
心の底から悪友に謝罪する。
「全校生徒の前で性別詐称、同級生の家をメイド服周りに加えてカラオケで合コン潰しなんて……楽斗、貴方はどこまで落ちれば気が済むのかしら。恐ろしい子っ!」
「おいちょっとまて、全校生徒の前で性別詐称は姉さんの所為だろうが!それにメイド服周りは宗吾の所為だし……まるで俺が変態みたいに言うんじゃねぇよ!」
「「え?」」
「「え?」じゃねぇよ!」
なんだその反応は……俺は変態じゃないって言うのに、こんなにピュアだと言うのに失礼な。
……本当にピュアな人は自分のことをピュアと言わないなんてことに気づかない楽斗は心の中でそう愚痴る。
「……ていうか、菫、そろそろ帰れよ!」
「えー泊まってく」
「昨日は土曜だったから許したが今日は日曜!明日学校だろうが!泊まらせねぇよ!」
「そうね、楽斗の言うとおりよ!帰りなさい」
「ちぇー。わかったよ帰る!じゃっ、まったねぇえ!!!」
そう言い残すと、菫は帰っていった。
静けさが空間を支配する。
((菫がいないだけでこんなに静かなんだな))
そんな中、二人は感動を覚えていた。
やがて、気を取り直した流音が一言。
「……楽斗、課題やった?」
「あっ!」
「……仕方ないわね。今日の当番あなただけど、私がご飯作っといてあげるわ」
「え……何でそんなに優しいの?」
いつもなら強引にでも作らせようとする筈なのに。そう思い驚愕を露にすると、流音は照れ臭そうに……
「そ、その代わり私がファッションバトルに負けたって話は門外無用にしてよね!」
「……おっけ!」
菫に口止めしてない時点で手遅れ感が半端ないが、俺は二つ返事で頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる