アルカディアンズ ~とある世界の転移戦記譚~

タピオカパン

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猫の国ミャウシア連邦

模索する人々2

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<<ミャウシア陸軍省>>

とある部屋に2人の将軍が座って対談していた。

「タルル将軍、これが作戦計画です。将軍の要望通りの手順で作戦を進めますので詳しい内容がここに記載されています」

「どれどれ」

タルル将軍は計画書に目を通す。

「いいぞ、これに基づいて作戦を発令する。各部族軍の配置も悪くない、これならいざこざもおこらんだろう。人員と物資はどれくらいで準備できる?」

「ざっと3日です」

「ほう、なかなか手際がいいな。威張り散らすだけのガンシア中将とは大違いだ」

「そんなに言ってもらえるとはありがたいです。あとゥーニャ書記に知られるとまずいですのでなるべく内密に通信や会議もできるだけさてください。書記の密偵はそこかしこにいますから。計画が狂うとドミノ式に遅れが出ますので」

「わかった、そうしよう。下がっていいぞ」

「では私はこれで」

ニー参謀総長そう言うとタルル将軍の執務室から出る。
ニー参謀総長は陸軍省の別館にある自分の執務室へ歩いていく。
執務室に着くとニュイ少将が待っていた。

「おや?少将、こんな時間に遊びに来てくれるなんて嬉しいな」

「冗談は置いて、参謀総長。お耳に入れたい話が」

「どんな話?」

「どうやら先日壊滅した海軍の先遣隊の生き残りが東方前線で発見されたようです」

「・・・それを知っているものは?」

「発見者と現場指揮官と前線司令官です。それより上は私だけです」

「口止めは?」

「もちろん、機密保持を厳命しました」

「いつも裏方をこなしてくれて悪いね。これが今後の足しになるといいんだけど。ところで生存者は今どこに?」

「占領区の前哨基地です。後方に下げて騒がれたり脱走されてはまずいと思いまして」

「セオリー通りだね」

ニー参謀総長はそう言うとそそくさと身支度を始める。
ニュイ少将はそれを少し呆れた様子で見る。

「よし、少将。またお願いなんだけど留守をいいかな?正直タルル将軍の相手に飽きちゃってさ。後は作戦実行まで特にないからさ、お願い!」

「わかりました。早くしてくださいよ?」

「もちろん」

そう言うとニー参謀総長とニュイ少将は執務室を出る。
ニー参謀総長はその日のうちに飛行機に乗って前線の飛行場へ向けて出発した。


前哨基地

陸軍に保護されたフニャン達は食事を取っていた。
食事はもっぱら缶詰だったが6人はとても満足そうにそれを食べる。

「マジで缶詰うますぎでしょ!」

ウーがマシンガンのように発言していた。
しかし5人はお構いなしに缶詰食を口に頬張る。
実際、6人の栄養状態はそこまで良くなかったからだ。

先日ネズミ風の亜人を助けた後、助けた娘に案内され売られた村人も助け出し備蓄食糧も取り返していた。
彼らに身振り手振りをして、してほしいことをなんとか伝えたら喜んで食料を分けてもらうことに成功しており、順調に旅をすることができると考えていたがそれは甘かった。

というのもアッテリア人は肉食多めの食事が彼らにとってバランスが良いのだが提供された食料は野菜や穀物がメインでタンパク源は魚の干物と少しの大豆だけだったのだ。
ないものをねだる訳にはいかず旅を敢行したところ早々に栄養不良になってしまった。
とは言ってもないよりは断然いいので飢餓を回避することはできていた。

「そういえば拳銃いいんですか?落としたってことで?」

「いい」

ウーの質問にフニャンは短く答える。
村人を助けた後、拳銃の使い方を教えて6発分の弾とともに譲っていたのだ。

ウーは少し考えた後軽く返事する。

「了解」

6人の食事は続く。
その頃基地のゲートから2台の車が入ってくる。
車列は司令官宿舎の前に着くと停車し、将校が部下を引き連れ下る。
そのうちの一人がテントなどを見て呟く。

「さて楽しみだなあ」

ニー参謀総長は宿舎に入っていく。

「参謀総長、お持ちしておりました」

基地司令官が出迎えの挨拶を行う。

「ありがとう。ところで例の士官は?」

「今食事中ですがすぐに呼び出します」

「いや食事が終わってからでいいよ。それと彼らの発見日時なんだけどこの日付でお願いするよ」

司令官にメモを手渡す。

「海軍にこの日付で?なかなか不思議ですが何かお考えがあるのしょう。わかりました。そのように」

「頼むよ」

その後食事が終わったフニャンは呼び出されて司令官宿舎のテントに連れて行かれる。
フニャンは連れて行かれる理由を何も聞かされていなかった。
テントに入るとそこには中性的な見た目の高級将校が一人だけ椅子に座っている。
フニャンはすかさず敬礼する。

「海軍航空隊所属フニャン中尉であります」

高級将校は立ってニッコリしながら敬礼して返す。
誰が待っているかも聞いていないフニャンは将校の階級章や勲章を見てそれが陸軍参謀部のニー参謀総長だと少し間をおいて気づく。

「やあ、君が例の派遣部隊の生き残りなんだね。私は陸軍参謀総長のニー中将だよ。いきなり押しかけて悪かったね」

「いえ、ですが参謀総長がわざわざお越しになるとは思いませんでした」

「まあね。将軍ともなると色々あるんだよ。いろいろプレゼントを持ってきたんだけどその前にあの空域で何があったのか聞かせてほしいな」

参謀総長はニコニコしながら単刀直入にフニャンに言う。
フニャンは動せずに返答する。

「それは海軍上層部の了承の上ででしょうか?」

「んーん」

参謀総長はあっさり否定する。
フニャンはほんの僅かに顔が引きつる。

「私は海軍所属です。まずは海軍を通してから話してほしかったです」

フニャンはだんだん状況を飲み込めてきたのか言葉を選んで発言する。

「そんなこと言わずにさ、どんなことがあったのかすごく興味があって一番乗りしちゃったんだよ」

ニコニコした表情だがほんの僅かに鋭い目つきが一瞬だけ見える。

少し間を置いてフニャンは聞く。

「プレゼントの内容を聞いていいですか?」

「もちろんだよ。そう来ると思った!」

参謀総長はニコニコしながら答える。

「まず君たちには陸軍に転向してもらってその上で3階級昇進させようかな?」

「少佐、ですか?」

この時にはフニャンは汗をかいていた。

「うん、本当は大尉にしようと思ったんだけど予想に反して実直でなおかつ利口そうだから少佐でいいかなって今考えた」

「私だけですか?」

「アーニャン君も同様の処遇は考えているよ。他は未定」

フニャンはしばらく黙ってしまったが決意したように言う。

「よろしければですが部下は海軍に戻してやってください。時期が来れば用済みでしょう?」

参謀総長は少し考えた表情を浮かべてから言う。

「君がそう言うならそうしよう。その間、君の直属の部下のままでもいいよ」

「あ、ありがとうございます」

「じゃあ本題に入ろうか」

「...はい」

フニャンは話し始めた、敵の実力を、仲間がどうなったかを。
フニャンの話は続く。

二人が部屋を出た時、外は既に真っ暗になっていた。

「とても興味深い話をありがとうね。ちゃんと話は付けるから安心して。それじゃまた」

参謀総長はそう言うと外に止めてあった車に乗り込んで出発する。
車内では参謀総長がボツりと呟く。

「やたら賢いそうなやつだったな。良質な手駒になりそうだが、あの目...、使いづらそう」

車は土煙をあげて走っていく。
車列が出発するのを見送ったフニャンは自分たち用にあてがわれた宿舎に歩いていく。
この時自分を連行した兵士はいなかった。
そういうことかとばかりにため息をつくといつもの眠そうな表情とも悲しそうな表情とも言えそうな顔で夜空を見上げる。
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