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猫の国ミャウシア連邦
猫の国の侵攻1
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<<ミャウシア陸軍航空基地>>
二人の士官と多数のパイロットたちが向かい合って整列していた。
「こんにちわ。私はフニャン・ニャ・チェイナリン少佐です。今日から諸君ら第118飛行隊第2中隊の隊長に着任します。こちらは副官のアーニャン・ミラクリス大尉です」
「どうもよろしく」
「この飛行隊は皆精鋭揃いと聞いて私はとても心強く思います。その諸君らの隊長に恥じない働きができるよう精一杯努力していく所存です」
フニャンは中隊のパイロットたちに挨拶や訓示をする。
そのパイロット達は小声でぼやいていた。
「あの隊長どう思う?」
「ああ、ネニャンニャ族だ」
「そ、まさかあの最弱の弱小部族の小娘があたし達の上官でしかも少佐ときてる。ありえなくない?そもそも士官にネニャンニャ程度の部族なんて入れないんじゃなかったの?」
「だよな、おかしすぎるぜ。少なくとも正攻法じゃなれるはずない」
民族、部族差別が激しい陸軍ではフニャンのような少数部族は差別にあってしまうのだ。
そしてフニャンが小声の音源に顔を向けて喋る。
「では質問の時間とします。何か聞きたいことはありますか?できる限りの範囲でお答えしたいと思います」
それにのってパイロットたちは質問をぶつける。
「よろしければ少佐殿の経歴をお聞かせください」
その質問にフニャンは間を開けて答える。
「そうですね、疑問に思ってもしかたないでしょう。私は元海軍士官学校出でつい先日まで海軍航空隊の士官をしておりました。そこで訳あって海軍から陸軍に転向し、階級も中尉から少佐に昇格したばかりなのです。その詳しい経緯は機密となっているのでお話することはできないですが、その役職に足る働きは必ず果たしますのでよろしくお願いします」
突飛もない内容にパイロットたちはポカンとする。
そのイレギュラーな内容は当然納得できるものではなくつい最近まで自分たちと同格だったことに怒りを覚えるものも少なくなかった。
しかし精鋭揃いで利口な彼らはそんなことは口には出さなかった。
「他に質問がないようであればリーダー機のパイロット以外はこのまま解散とします。時間をいただきありがとうございました。では解散とします」
打ち合わせが残っているパイロット以外はそのまま解散していく。
その彼らはフニャンが見えなくなると不満たらたらだった。
残ったパイロットはフニャンと確認と打ち合わせを行う。
「では格闘戦ではなく速度戦で挑めというのですか?そもそもNY-1Aは低中高度機に特化した機体です。わざわざ敵の得意な高高度に上がってやり合うなんておかしいですよ」
「でも資料を見る限りグレースランドの戦闘機との戦闘はかなり苦しいものになっている。たしかに敵を引き込んで戦うのはありだけど相手の練度が高いと一方的な戦いになってしまう。しかも敵機は低空でも旋回力があるから尚更エネルギーを保持しつつの数押しが重要。それに第1中隊の隊長もそれで行っているのでは?」
「あの人は特別なだけです。それより本当にこれでいくんですか?」
「うん。とりあえず地上支援は少しおろそかになるけどこれで制空戦を少しでも有利にする」
「わかりました。では並行して戦術変更訓練の準備をします」
「ありがとう。訓練には私も上がる」
こうして残ったパイロットも解散した。
フニャンとアーニャンは自分達にあてがわれた士官室へ向かう。
「ずいぶん怒ってましたね。それに挨拶となると隊長も柄じゃないのにいっぱい喋らなくちゃだし」
「仕方ない」
「まあ訓練のときにあいつらをけちょんけちょんにすれば納得させられるかもしれませんよ」
「うん」
そうこう喋っているうちに部屋の前に着く。
そこには女性一人と男性一人が壁によっかかっていた。
「やあ、待っていましたよ。君が新任のフニャン君ですね。私は第1中隊隊長のミンスク少佐だよ。」
テンション高そうな女性士官が挨拶する。
「フニャン少佐です。指揮所ではお会いしませんでしたね」
「うん、好きじゃないんだあそこ。それより君強い?」
「私ですか?」
「そうそう。君の戦い方見てみたいんです。もう戦闘機は用意したから早速乗りに行こう!」
「それは困ります」
「大丈夫。根回ししたし当直も買収済みです」
フニャンはニャンスクを見つめる。
ニャンクスも終始笑顔でフニャンに期待の眼差しを送り続け、先に口を開く。
「あんまり喋んないタイプみたいだけど目を見てわかりました。持ってるものは持っているんですね。なら尚更君を見てみたくなりましたよ。こうなったら引き下がらないですよー」
ニャンクスはニコッとするとフニャンの手をかってに取る。
フニャンは少しして困った顔を浮かべ始めアーニャンを見る。
アーニャンも困った顔をするが間を置いて首を縦に振る。
そしてフニャンは再度ミンクスを見て言う。
「わかりました」
「ありがとうですよ。じゃあ早速10番格納庫前に行こうか!」
こうして四人は格納庫の方へ歩き始めた。
格納庫前に着くとご丁寧に4機の戦闘機が駐機され発進可能なよう整備済みだった。
「ミンクス少佐っていつもこんなハイテンションなんすか?」
「そういうわけじゃないんですけど楽しい時はとりわけ」
アーニャンの質問にミンクスが答える。
フニャンはいつもの眠そうな顔で機体の点検を始めた。
「点検してあるよ?」
ミンクスはフニャンにそう言うが黙々と点検していく。
そして給弾機を開けると表情が険しくなり、ミンクスをじっと見る。
給弾機には実弾の弾薬ベルトが装填されていた。
「実はね、ニー参謀総長からの命令でこんな感じで一度遊んであげてほしいって仰せつかっているんです」
「な」
アーニャンはミンスクの言葉に驚く。
「拒否しないことをオススメしますね。あの人はクレイジーだから、何をするかわからないよ」
「あんたも十分クレイジーやん!」
「どうする?」
フニャンはミンスクの問いかけに無言だったが笑顔をじっと見続けてから答える。
「乗った」
アーニャンは混乱してしまったが最終的に腹を決めた表情になる。
こうして4機のレシプロ戦闘機が飛行場から離陸し、編隊を組んで飛んでいく。
そしてしばらくして目的の空域に入る。
「それでどうするんすか?」
アーニャンがミンスクに無線で質問する。
「チームデスマッチですよ。生き残ったら勝ち、全滅したら負け、生死は問わずです」
「そもそもバレたら軍法会議ものですやん。まさか指揮所の連中もグルなんですか?」
「いえ、無関係です。グレースランドかザイクスとの戦闘を言い訳にします。ニー参謀総長のお気に入りといえば彼らも深くは詮索はできませんですよ」
「陸軍のそういう闇が深いところ、うちは嫌いで仕方ないですわ」
アーニャンは少し悪態をつくが誰も気にしたりはしなかった。
「それじゃあ始めますか。あの雲に全員で突入したら開始です」
フニャンとアーニャンはハンドサインを送り合い用意を整える。
一方自信があるのかミンスクたちは何もしなかった。
そして全機雲に突入する。
視界が真っ白になりどれがどこにいるのかフニャンのコックピットからは全く見えないがアーニャンと打ち合わせした通り一気に加速したうえで緩やかに高度を落としていく。
速度を示すタコメーターは330ノットを差し、少しだけ機外の風切り音がする。
少したって雲の下に出るとアーニャン機も300m離れた雲の下から姿を現す。
フニャン機もアーニャン機も示し合わせたように変針して上昇を開始した。
(どうしますか?)
(このまま上昇して帰り道上空で待ち伏せ、私たちを見つけられずにしびれを切らせたミンスクに攻撃を加える。できる限りキャノピーに当たらないように)
(無茶言ってくれますね)
二人はハンドサインで意思疎通し、戦術を固める。
しかしミンスクはフニャン達が思うほど甘くはなかった。
突然雲の雲の中からミンスクの部下、ニチェット大尉の戦闘機が姿を現し、フニャンたちに襲い掛かった。
フニャンの分隊は回避し、アーニャン機が速度のあるニチェット機に燕返しで裏取りしようとする。
しかしここでフニャンの怒号が無線で響く。
「罠だ」
ミンスク機が雲の中から現れアーニャン機目がけて突進してきた。
アーニャンも薄々カウンターが来そうなことは理解していたがまた雲の中から正確に出てくるとは考えていなかった。
だがやられてばかりではない。
雲を出てミンスク機の正面現れたのはヘッドオンを咬まそうとするフニャンの戦闘機だった。
「ヘッドオンお断りしまーす♪」
ミンスクがコックピットで独り言を言うと機体をロールしてフニャンのヘッドオンを回避する。
「なかなかやりますねえ。...!?」
一度すれ違い余裕とばかりに上昇に転じていたミンスク機のすぐ脇にフニャン機が迫っていた。
「エネルギーが多すぎます。初めから速度を稼いでいましたね」
フニャン機はミンスク機を射線には捉えていないが位置関係は200mもなかった。
このまま上昇を続ければフニャン機の射線に捉えられてしまうことは百も承知だったがミンスクは上昇を続け、機内では少し興奮気味に後ろを見てフニャンの攻撃を回避しようとする。
ミンスク機を射線に捉えたフニャンは照準器越しに狙いを定め20㎜機関砲1門、8㎜機銃2門による機銃掃射を浴びせる。
お互い上昇を続けエネルギーが枯れかけておりミンスクの回避もフニャンのエイムもままならなかった。
そして優位に立ったのはミンスクだった。
フニャンの掃射はミンスクの機体に命中こそしたが20㎜弾は当たらず機体に数カ所穴をあけただけだった。
2機のエネルギーがなくなり機体がストールして落ちていく。
立場は反転しフニャンがミンスクに追われることになった。
フニャンは何とかロールしてミンスクの攻撃を回避しようとする。
ミンスクはハイテンションになりトリガーハッピー気味にフニャンに攻撃を加え始めた。
「うおお、強いなお前。そのままペロッと食いたいんじゃー!」
ミンスクはコックピット内で絶叫する。
しかしあたりを見回すとテンションは急激に落ちていった。
僚機のミチェット機がアーニャン機に追い回されたいたのだ。
「あのバカ普通に負けてやがる!アーニャンだったな、やるな!」
ミンスクは頭の中で状況を整理する。
このままフニャンを追撃し続ければクリティカルヒットを出して落とせるかもしれないがフニャンはとても一筋縄ではいきそうもない相手なのは理解していた。
しかもニチェット機は相当に追い詰められている様子だった。
おそらくニチェットより断然強かったのだろう。
つまりこのままいけばニチェットはフニャンより先に落とされ、アーニャンはフニャンとロッテ戦術に出ることは容易に想像できた。
そうなればアーニャン機にカウンターを決めるくらいしか勝機がなく、それもアーニャンの実力を考えれば絶望的だった。
「やりますね。やりますね。やりますね!」
ミンスクはそういうと変針してアーニャン機に迫ろうとする。
フニャンもそれを追いかける。
混戦の様相を呈し始め、燃料や残弾が怪しくなっていく。
そして切り出したのはフニャンだった。
「ミンクス少佐もう十分でしょう。このままじゃ共倒れです!」
フニャンが無線で呼びかける。
一方のミンスクはどうするか悩んでいた。
まだ楽しみたいという欲求不満がくすぶっていたが早々に継戦困難だった。
だがその判断に方向性を持たせる無線が飛び込んできた。
「空襲警報発令!繰り返す、空襲警報発令!犬耳どもが大規模な反攻に出た。上がっているもの直ちに基地防空に着き、上がれるものは直ちに離陸して向かえ撃て!」
「こちらミャンス基地、奇襲で航空機を全損!第11空域が穴になった!敵の爆撃編隊はそっちへ向かうぞ!」
まだまだ無線で怒号が飛び交い続ける。
この時さすがのフニャンやミンスク達も戦うのをやめていた。
「どうやら大騒ぎのようだね」
「まだやるつもりですか?」
「いやニー参謀総長には僕から言っておきますね。君たちは合格どころか十二分だったよ。そのうちまたニー参謀総長のわがままを聞くことになるだろうけどその時は君たちも当事者だよ」
フニャンたちはため息をつく。
「じゃあ行きますか」
ミンスクがそういうと4機は北西へ変針して飛び去って行った。
二人の士官と多数のパイロットたちが向かい合って整列していた。
「こんにちわ。私はフニャン・ニャ・チェイナリン少佐です。今日から諸君ら第118飛行隊第2中隊の隊長に着任します。こちらは副官のアーニャン・ミラクリス大尉です」
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フニャンは中隊のパイロットたちに挨拶や訓示をする。
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「あの隊長どう思う?」
「ああ、ネニャンニャ族だ」
「そ、まさかあの最弱の弱小部族の小娘があたし達の上官でしかも少佐ときてる。ありえなくない?そもそも士官にネニャンニャ程度の部族なんて入れないんじゃなかったの?」
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そしてフニャンが小声の音源に顔を向けて喋る。
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それにのってパイロットたちは質問をぶつける。
「よろしければ少佐殿の経歴をお聞かせください」
その質問にフニャンは間を開けて答える。
「そうですね、疑問に思ってもしかたないでしょう。私は元海軍士官学校出でつい先日まで海軍航空隊の士官をしておりました。そこで訳あって海軍から陸軍に転向し、階級も中尉から少佐に昇格したばかりなのです。その詳しい経緯は機密となっているのでお話することはできないですが、その役職に足る働きは必ず果たしますのでよろしくお願いします」
突飛もない内容にパイロットたちはポカンとする。
そのイレギュラーな内容は当然納得できるものではなくつい最近まで自分たちと同格だったことに怒りを覚えるものも少なくなかった。
しかし精鋭揃いで利口な彼らはそんなことは口には出さなかった。
「他に質問がないようであればリーダー機のパイロット以外はこのまま解散とします。時間をいただきありがとうございました。では解散とします」
打ち合わせが残っているパイロット以外はそのまま解散していく。
その彼らはフニャンが見えなくなると不満たらたらだった。
残ったパイロットはフニャンと確認と打ち合わせを行う。
「では格闘戦ではなく速度戦で挑めというのですか?そもそもNY-1Aは低中高度機に特化した機体です。わざわざ敵の得意な高高度に上がってやり合うなんておかしいですよ」
「でも資料を見る限りグレースランドの戦闘機との戦闘はかなり苦しいものになっている。たしかに敵を引き込んで戦うのはありだけど相手の練度が高いと一方的な戦いになってしまう。しかも敵機は低空でも旋回力があるから尚更エネルギーを保持しつつの数押しが重要。それに第1中隊の隊長もそれで行っているのでは?」
「あの人は特別なだけです。それより本当にこれでいくんですか?」
「うん。とりあえず地上支援は少しおろそかになるけどこれで制空戦を少しでも有利にする」
「わかりました。では並行して戦術変更訓練の準備をします」
「ありがとう。訓練には私も上がる」
こうして残ったパイロットも解散した。
フニャンとアーニャンは自分達にあてがわれた士官室へ向かう。
「ずいぶん怒ってましたね。それに挨拶となると隊長も柄じゃないのにいっぱい喋らなくちゃだし」
「仕方ない」
「まあ訓練のときにあいつらをけちょんけちょんにすれば納得させられるかもしれませんよ」
「うん」
そうこう喋っているうちに部屋の前に着く。
そこには女性一人と男性一人が壁によっかかっていた。
「やあ、待っていましたよ。君が新任のフニャン君ですね。私は第1中隊隊長のミンスク少佐だよ。」
テンション高そうな女性士官が挨拶する。
「フニャン少佐です。指揮所ではお会いしませんでしたね」
「うん、好きじゃないんだあそこ。それより君強い?」
「私ですか?」
「そうそう。君の戦い方見てみたいんです。もう戦闘機は用意したから早速乗りに行こう!」
「それは困ります」
「大丈夫。根回ししたし当直も買収済みです」
フニャンはニャンスクを見つめる。
ニャンクスも終始笑顔でフニャンに期待の眼差しを送り続け、先に口を開く。
「あんまり喋んないタイプみたいだけど目を見てわかりました。持ってるものは持っているんですね。なら尚更君を見てみたくなりましたよ。こうなったら引き下がらないですよー」
ニャンクスはニコッとするとフニャンの手をかってに取る。
フニャンは少しして困った顔を浮かべ始めアーニャンを見る。
アーニャンも困った顔をするが間を置いて首を縦に振る。
そしてフニャンは再度ミンクスを見て言う。
「わかりました」
「ありがとうですよ。じゃあ早速10番格納庫前に行こうか!」
こうして四人は格納庫の方へ歩き始めた。
格納庫前に着くとご丁寧に4機の戦闘機が駐機され発進可能なよう整備済みだった。
「ミンクス少佐っていつもこんなハイテンションなんすか?」
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アーニャンの質問にミンクスが答える。
フニャンはいつもの眠そうな顔で機体の点検を始めた。
「点検してあるよ?」
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そして給弾機を開けると表情が険しくなり、ミンクスをじっと見る。
給弾機には実弾の弾薬ベルトが装填されていた。
「実はね、ニー参謀総長からの命令でこんな感じで一度遊んであげてほしいって仰せつかっているんです」
「な」
アーニャンはミンスクの言葉に驚く。
「拒否しないことをオススメしますね。あの人はクレイジーだから、何をするかわからないよ」
「あんたも十分クレイジーやん!」
「どうする?」
フニャンはミンスクの問いかけに無言だったが笑顔をじっと見続けてから答える。
「乗った」
アーニャンは混乱してしまったが最終的に腹を決めた表情になる。
こうして4機のレシプロ戦闘機が飛行場から離陸し、編隊を組んで飛んでいく。
そしてしばらくして目的の空域に入る。
「それでどうするんすか?」
アーニャンがミンスクに無線で質問する。
「チームデスマッチですよ。生き残ったら勝ち、全滅したら負け、生死は問わずです」
「そもそもバレたら軍法会議ものですやん。まさか指揮所の連中もグルなんですか?」
「いえ、無関係です。グレースランドかザイクスとの戦闘を言い訳にします。ニー参謀総長のお気に入りといえば彼らも深くは詮索はできませんですよ」
「陸軍のそういう闇が深いところ、うちは嫌いで仕方ないですわ」
アーニャンは少し悪態をつくが誰も気にしたりはしなかった。
「それじゃあ始めますか。あの雲に全員で突入したら開始です」
フニャンとアーニャンはハンドサインを送り合い用意を整える。
一方自信があるのかミンスクたちは何もしなかった。
そして全機雲に突入する。
視界が真っ白になりどれがどこにいるのかフニャンのコックピットからは全く見えないがアーニャンと打ち合わせした通り一気に加速したうえで緩やかに高度を落としていく。
速度を示すタコメーターは330ノットを差し、少しだけ機外の風切り音がする。
少したって雲の下に出るとアーニャン機も300m離れた雲の下から姿を現す。
フニャン機もアーニャン機も示し合わせたように変針して上昇を開始した。
(どうしますか?)
(このまま上昇して帰り道上空で待ち伏せ、私たちを見つけられずにしびれを切らせたミンスクに攻撃を加える。できる限りキャノピーに当たらないように)
(無茶言ってくれますね)
二人はハンドサインで意思疎通し、戦術を固める。
しかしミンスクはフニャン達が思うほど甘くはなかった。
突然雲の雲の中からミンスクの部下、ニチェット大尉の戦闘機が姿を現し、フニャンたちに襲い掛かった。
フニャンの分隊は回避し、アーニャン機が速度のあるニチェット機に燕返しで裏取りしようとする。
しかしここでフニャンの怒号が無線で響く。
「罠だ」
ミンスク機が雲の中から現れアーニャン機目がけて突進してきた。
アーニャンも薄々カウンターが来そうなことは理解していたがまた雲の中から正確に出てくるとは考えていなかった。
だがやられてばかりではない。
雲を出てミンスク機の正面現れたのはヘッドオンを咬まそうとするフニャンの戦闘機だった。
「ヘッドオンお断りしまーす♪」
ミンスクがコックピットで独り言を言うと機体をロールしてフニャンのヘッドオンを回避する。
「なかなかやりますねえ。...!?」
一度すれ違い余裕とばかりに上昇に転じていたミンスク機のすぐ脇にフニャン機が迫っていた。
「エネルギーが多すぎます。初めから速度を稼いでいましたね」
フニャン機はミンスク機を射線には捉えていないが位置関係は200mもなかった。
このまま上昇を続ければフニャン機の射線に捉えられてしまうことは百も承知だったがミンスクは上昇を続け、機内では少し興奮気味に後ろを見てフニャンの攻撃を回避しようとする。
ミンスク機を射線に捉えたフニャンは照準器越しに狙いを定め20㎜機関砲1門、8㎜機銃2門による機銃掃射を浴びせる。
お互い上昇を続けエネルギーが枯れかけておりミンスクの回避もフニャンのエイムもままならなかった。
そして優位に立ったのはミンスクだった。
フニャンの掃射はミンスクの機体に命中こそしたが20㎜弾は当たらず機体に数カ所穴をあけただけだった。
2機のエネルギーがなくなり機体がストールして落ちていく。
立場は反転しフニャンがミンスクに追われることになった。
フニャンは何とかロールしてミンスクの攻撃を回避しようとする。
ミンスクはハイテンションになりトリガーハッピー気味にフニャンに攻撃を加え始めた。
「うおお、強いなお前。そのままペロッと食いたいんじゃー!」
ミンスクはコックピット内で絶叫する。
しかしあたりを見回すとテンションは急激に落ちていった。
僚機のミチェット機がアーニャン機に追い回されたいたのだ。
「あのバカ普通に負けてやがる!アーニャンだったな、やるな!」
ミンスクは頭の中で状況を整理する。
このままフニャンを追撃し続ければクリティカルヒットを出して落とせるかもしれないがフニャンはとても一筋縄ではいきそうもない相手なのは理解していた。
しかもニチェット機は相当に追い詰められている様子だった。
おそらくニチェットより断然強かったのだろう。
つまりこのままいけばニチェットはフニャンより先に落とされ、アーニャンはフニャンとロッテ戦術に出ることは容易に想像できた。
そうなればアーニャン機にカウンターを決めるくらいしか勝機がなく、それもアーニャンの実力を考えれば絶望的だった。
「やりますね。やりますね。やりますね!」
ミンスクはそういうと変針してアーニャン機に迫ろうとする。
フニャンもそれを追いかける。
混戦の様相を呈し始め、燃料や残弾が怪しくなっていく。
そして切り出したのはフニャンだった。
「ミンクス少佐もう十分でしょう。このままじゃ共倒れです!」
フニャンが無線で呼びかける。
一方のミンスクはどうするか悩んでいた。
まだ楽しみたいという欲求不満がくすぶっていたが早々に継戦困難だった。
だがその判断に方向性を持たせる無線が飛び込んできた。
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「こちらミャンス基地、奇襲で航空機を全損!第11空域が穴になった!敵の爆撃編隊はそっちへ向かうぞ!」
まだまだ無線で怒号が飛び交い続ける。
この時さすがのフニャンやミンスク達も戦うのをやめていた。
「どうやら大騒ぎのようだね」
「まだやるつもりですか?」
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本当に、ありがとうございます。
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小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
優の異世界ごはん日記
風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。
ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。
未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。
彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。
モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。
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