アルカディアンズ ~とある世界の転移戦記譚~

タピオカパン

文字の大きさ
30 / 47
猫の国の動乱

仲間を増やす2

しおりを挟む

<<ミャウシア軍斥候部隊>>

フランス軍部隊とグレースランド軍部隊の撤退に際し、北西側からミャウシア軍の別の部隊が近づいていた。
今の所振り切れると考えられているが、その部隊の斥候が先行して近づいているのを既にフランス軍のドローンが確認している。
撤退に支障があれば排除しなければならないが、今回は特殊な事情でこの斥候部隊を捕縛するという荒業をやってのけようとしていた。


ニーナを先頭にニャーラ、フニャンが斜面を歩いてミャウシア軍偵察部隊に近づく。
できる限り近づきつつ偵察部隊には気付いてない素振りをして拾ってもらう機会を伺う。

「やっぱりこれ失敗するんじゃないの?」

「...」

「ねえ」

「夜月に祈りましょう」

「もっと自信が付きそうな返答してよ...」

「こいつ、口数少なすぎでしょ」

新入り二人はリーダーのフニャンに不満たらたらだった。
最悪失敗すれば自分たちは斥候に撃たれるだけにアドレナリンが吹き出していた。
そしてフニャンの口数の少なさというか必要以上には喋らない性格に面白くないやつと呆れていた。

ちなみに夜月に祈るというのは彼らの文化、宗教に関係している。
夜を神聖な時間として捉え、月を神のように崇めている自然信仰から生まれた言葉である。
実際彼女たちは夜行性に近く、自然な睡眠サイクルでは夜起きている時間が長い。
さらにフニャンの出身部族ネニャンニャ族が惰眠部族と言われるのは彼女たちの種族の中で睡眠時間が最も長い一日12時間であることが由来であった。

ピィィィィィ!

口笛がミャウシア軍偵察部隊がいる方から聞こえてきた。
そっちを見ると遠くでこっちに来るよう合図を送る兵士が見える。
予定通り釣ることに成功する。

そして時間を少し遡る。

「斥候を捕まえる?」

フニャンの提案に一同が驚く。

「うん。さっきあなたの上官が別の部隊が近づいている趣旨の発言をしていたと思うんだけど違ったかな?」

「いや、合ってる。フランス語わかるの?」

「いくつかの単語は覚えることができた」

「すご...」

「多分、偵察部隊が先に進出していと思うんだけど...」

「ああ、既に居場所は割れている。あの斜面からこっちを見ているらしい」

「この距離から見つけたの?」

「小型偵察機でね。捕まえるならすぐに部隊を編成することを進言してくる。相手はたかだか2個分隊だが、ミャウシア人は耳がよすぎて近づくのが難しいのがなあ」

「それなら手はある」

「どんな?」

「私達が囮になる。その隙きに裏に回って。私達は前方の音を拾うのは得意だけど後ろは多分あなた達より疎かよ」

「囮になるの?危険すぎだよ」

「無策に近づけば銃撃戦になることもあり得る。上手く行けば完全に囲んだ上で降伏を狙えるこの策はベターだと思う」

「....わかった。とりあえず上官に話す。ここで待ってて」

「了解」

ナナオウギと中隊本部へ歩いていく。
フニャンは新しく加わった仲間に問い詰められる。

「囮って?」

「連合軍から逃げてきたのを装って近づき、タイミングを見計らって人質を取る」

「えええ?!」

「その間に彼らが斥候を取り囲んで投降するよう説得する。できなければ兵力を引き離すよう後退して人質をいただいていく」

「失敗したらどうすんの?」

「...」

「そこまでして負傷したやつ助けたいの?」
「助けたい。....絶対死なせない」

フニャンは言葉をかぶせるように即答して決意を示す。
新入りはその決意を見てそれ以上聞くのをやめた。

かくして斥候襲撃作戦が発動した。


フニャン達は偵察部隊に取りいる。

「航空隊かお前たち?」

「そうよ。しばらく前に撃墜されて連合軍に追っかけられてたのよ。敵はとてつもなく強力な対空兵器もを持ってる」

「向こうの連合軍に遭遇してないのか?」

「したけど逃げ切った。さっき銃声したでしょ」

作戦開始時に無駄弾を撃ってアリバイ作りをしていたのだ。

「なるほど。敵の数はわかるか?」

「連隊1個半ってとこかしら。戦車中隊が随伴している」

「わかった。よし、全員撤収だ。敵の戦力は概ね予想通りのようだ。味方を収容して下がるぞ」

偵察部隊の指揮官は用を足したのか撤収の指示を出してきた。

「ちょっと待って。歩いたり走ったりして流石に疲れたわ。少し休ませて」

「なんだと」

「ほんとお願いします!ほんの少しでいいんで」

「わかった。10分休憩だ」

「ほんとありがとうございます」

ニーナは指揮官に食い下がって休憩をもぎ取る。
しばらく全員座り込んでいると話が始まる。

「おい。そこのネニャンニャおまえらの仲間か?」

「別の隊の奴よ。あたしも驚いたけど連合に追われた時は働いてくれたからそこは大目に見てやってるだけよ」

「ふん」

「そんなイライラしなくていいんじゃない?あんたB型f?」

ニーナはさり気なく血液型を聞く。
血液型性格診断の迷信はミャウシアにも存在したのでそれを引っ張り出したのだ。

「俺はOf型」

「へえ、悪かったわ」

この言葉にフニャン達はピンときて人質候補がこの男性兵士に決まる。
そしてフニャンは時計をちらちら見て仲間に目で合図を送る。

「どうした?」

偵察部隊の兵士がフニャンに突っかかる。

「時間を確認していました」

「それにしては挙動不審だ。何か隠しているのか?」

兵士はただ単に差別をしているだけで怪しんでなどいなかった。
しかしここで運悪くフニャンの素性が露呈する。

「そういえば昨日航空隊の騒動で言ってたのってネニャンニャじゃなかったか?」

いよいよ怪しまれ始める。
フニャンはやはり自分は来るべきではなかったと思いつつも少し早いながらも行動を起こすことにした。
そしてアクションを起こしたはニーナとフニャンであった。

二人は瞬時に拳銃を取り出して偵察部隊兵士の背中に取り付くと拳銃を背中に当てて人質にとる。
あまりの出来事に偵察部隊の兵士たちはとにかく驚くがすぐに小銃を構えて一触即発の状態が生まれる。

「何のつもりだ!?」

「何って、こういうつもりよ」

ニーナは指揮官を煽る。

「銃を降ろせ。目的は知らんがこのままではただでは済まさない!」

「それはどうかな。ねえ、隊長さん」

「...」

「やはり例の件に貴様ら絡んでるな」

「そんなに怒らなくてもいいのに」

ニーナは少し時間を稼ごうと無駄話するように喋る。
それに気付いたのか偵察部隊は距離を詰めようとする。

「それ以上近づいたらこいつの土手っ腹を蜂の巣にするわよ!下がりな!」

ニーナはフニャンに視線を送る。
もう時間稼ぎできない!
そう訴えている様子だった。

だがここでフランス軍は準備完了とばかりに姿を表す。
四方八方からFA-MAS小銃を構えたフランス軍兵士が現れミャウシア軍偵察部隊は完全に囲まれる。

「な!」

「さてどうするよ?」

「くそ!」

「投降してください。皆さんの安全は保証します。決して悪いようにはしません」

ニーナの発言の後、フニャンは偵察部隊に最後通告を行う。

「貴様、祖国を裏切るか!」

「いえ、タルル将軍に反旗を翻すだけです」

「反旗だと?」

「そうです。我々はタルル将軍に反旗を翻すために連合軍に助力を求める考えです。上手く行けば派遣軍の苦境もなんとかできるかも知れないのです。このような無礼を働いたことはお詫びします。ですがどうか我々を信じてご協力いただけないでしょうか?どうしてもというのであればこの後、武装解除した上ですぐ開放することをお約束します」

「...」

フニャンは願うように返答を待つ。

「全員武器を降ろせ」

期待した言葉を聞けてフニャンはホッとした顔をする。
そして事情を説明し、アーニャンに必要な血を手に入れることができた。
またフニャンは派遣軍の人心は意外に素直なのだと思うようになりあることを思いついた。

だがことはそんな簡単にはいかないのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
コミカライズ企画進行中です!! 2巻2月9日電子版解禁です!! 紙は9日に配送開始、12日発売! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&2巻出版!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、コミカライズ決定いたしました!現在企画進行中!!そしてオリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 12日には、楽天koboにおいてファンタジー5位となりました!皆様のおかげです! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 オリコンランキングライトノベル 週間BOOKランキング 18位(2025年9月29日付)

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

処理中です...