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猫の国の動乱
衝突
しおりを挟む<<各艦隊>>
いよいよミャウシア艦隊と連合軍艦隊は艦隊決戦の段階に入りつつあった。
連合軍は10個の基幹艦隊で構成されていて、ミャウシア側も10個の混成艦隊とそれらに更に10個の駆逐艦を主力とする分艦隊が付いている。
それらの配下の戦隊はおびただしい数になる。
これまでの視界不良による両軍入り乱れる戦闘で多少損耗していたが戦力的には健在だった。
現在は概ね東西に列を成すように展開していたが、互いの配置は正確に把握していない。
偶然列をなした状態なのだ。
そうとは知らずに両陣は徐々に接近していく。
<<ミャウシア海軍旗艦>>
「ではグレースランド軍側の方々を信じろということですね」
「今はそうとしか言えません。ですが王女殿下の存在はグレースランドにとって大変大きいものです。やる価値は十分にあります」
「わかった。君たちの言い分を信じよう」
ミャウシア海軍旗艦ではフニャン達と司令官の話し合いがまとまり、行動に移すこととなった。
<<各艦隊>>
最初に戦端が開かれたのは中央の艦隊だった。
ミャウシア海軍の2個混成艦隊とポンポタニア軍の4個遊撃部隊が初めに砲撃戦を交える。
最初の20分のソミューニャ級3隻の奮戦でポンポタニア軍の戦艦1隻が大破戦闘不能になるも続く砲撃でミャウシア軍は2隻の巡洋艦と5隻の駆逐艦を一気に失う。
さらにポンポタニア軍の高性能な艦隊型潜水艦が肉薄からの魚雷攻撃で陣形を乱され巡洋艦1隻と駆逐艦3隻を失ったミャウシア軍は形勢不利と見て東へ転進する。
ポンポタニア軍は当然のごとく追撃を始めた。
次いで東側は雨天の中ミャウシア軍の4個混成艦隊が南下していてそれをかすめるようにグレースランド軍4個艦隊が北上しており、両者は不意な遭遇戦を始めるも視界が悪すぎたことによる超至近砲撃戦で一撃撃沈が相次いだのでお互いにかすめた後はビビってそのままやり過ごしてしまう。
結果として両軍の駆逐艦12隻が撃沈した。
グレースランド軍は敗走するミャウシアの艦隊を挟み討つため更に北西へ前進を続け、ミャウシア側はそれを追うように北西へ転進。
夜間になるとグレースランド軍艦隊が自位置を見失いがちになったことで挟撃を断念し、後退していたミャウシア2個混成艦隊も逃げきりに成功していた。
そこでグレースランド軍艦隊とポンポタニア軍艦隊は南東で孤立していたミャウシア4個混成艦隊を袋叩きにするため全力で東進する。
一方、西に展開していたミャシア3個混成艦隊と遅れていた1個混成艦隊はそのまま東側に戦いが流れるとは考えていなかったので駆けつけようとするのでいっぱいで遊兵と化しているようだった。
しかし南で遅れていたザイクス軍2個遠征艦隊が北進を続けていたので東進するミャウシア4個混成艦隊と鉢合わせになり砲撃戦に発展。
ザイクス軍は数でも戦艦でも圧倒するミャウシア艦隊に太刀打ちできなかったため、巡洋艦1隻と駆逐艦6隻を撃沈され、こちらもまた東に転進して離脱を図る。
それからは深夜から夜明けにかけて濃霧で何も見えなくなったことから両軍は微速航行して戦闘どころではなくなってしまう。
だが気温が上がり霧が晴れると比較的天気が良好なことから互いの配置を正確に把握した。
この時、東のミャウシア4個混成艦隊は半包囲されていることに気づきやむを得ず退路のある大陸方面に退却を開始した。
若干足の鈍いミャウシア艦隊は追撃を受けるもソミューニャ級が後方火力でも優れていたので追撃中でも迂闊に近づけなかったので戦闘は低調だった。
もちろん大陸まで逃げると完全に退路がなくなるので危機的状況には変わらない。
ところが大陸沿岸は悪天候で視界が悪く追撃中にもかかわらず連合軍艦隊はミャウシア4個艦隊を見失ってしまう。
更にそこへザイクス2個遠征艦隊とそれを追うミャウシア4個混成艦隊が後ろから突っ込んでくる形になる。
途中偶発的な交戦でソミューニャ2隻が魚雷攻撃で大破し連合軍戦艦2隻が撃ち負けて大破した。
そんな中で天候が回復し両軍は再度全軍の配置を把握する。
その配置に各艦隊の司令官はゾッとする。
それは退却していたミャウシア2個混成艦隊も再度南下して加勢していることが判明し、完全に両軍20km四方の中に収まるように密集していることがわかったからだ。
しかもこの時、両軍は南北から迫りつつあり15分後にはぶつかる。
無秩序に動けばこうなる可能性も当然あったわけだが、こうなると消耗戦もいいところなので流石の好戦派の提督もさおざめてしまう。
まさかの事態に混乱が広がるがそれを意図していたも者たちがいた。
「そろそろだな」
そんな声がいくつかの艦隊の司令官から漏れる。
両軍が及び腰になったと思われたところで突然一部の艦隊が速力を上げて距離を詰め始めたのだ。
しかもその艦隊の司令官たちは皆戦いに懐疑的な司令官の艦隊ばかりなので好戦派の司令官たちは困惑してしまう。
「どういうつもりだ?」
「わかりません。ですが支援しなければ各個撃破されます」
「そうだな。やむを得ん、我々も突入するぞ」
そんな風に各艦隊が引きずられて突入を開始した。
そして有効射程に入り砲撃戦が始まと誰もが考えていた中、更に驚くべき事態が起きた。
両軍先頭の艦隊が一向に砲撃を始めないままどんどん距離を詰め始めていくのだ。
両軍の指揮官たちは大いに混乱してしまう。
ミャウシア艦隊
「おい、ニャマルカム大将配下の艦隊はどういうつもりで攻撃しない?それどころか敵も打ち返してないぞ!」
「提督、大将の混成艦隊群が我々の進路を専有し始めました!このままでは転蛇出来ずに敵と正面衝突します!」
「何い?」
グレースランド艦隊
「第4艦隊と第2艦隊の司令官を呼び出すんだ!何の真似か問いただせ!全艦砲撃戦用意!」
「総司令官!先程通信で入った情報です。エリザ王女が先頭のミャウシア軍艦隊のあの戦艦に乗艦しているとのことです。第2、第4艦隊司令官はそれを理由に攻撃停止命令を下したと...」
「はあああ?!」
「ミャウシア艦隊が第4艦隊、第2艦隊をすり抜け本艦隊に接触します!」
「なっ?!転進しろ」
「間に合いません!そのままかわして停船しないと混雑の末に衝突します!」
「ええい、くそ!」
ポンポタニア軍
「全艦停船せよ。繰り返す全艦停船せよ!」
「どういうことだ!先やり合って潰し合うのを期待したのになぜこうなる?!」
「提督、何かに掴まってください!左舷前方から超大型戦艦が微速ながら接触してきます!」
ズゴオオオオオオン
「うお!」
最終的に少し外側にいたザイクス軍艦隊とミャウシア軍の駆逐艦戦隊を除き3軍が入り乱れる形で密集し、身動きが取れなくなってしまった。
衝突した艦も多数あり、中には3隻が接触してだまになってくっついてしまった艦船達もいた。
その陣容はまるで観艦式の無秩序バージョンとでも言うところだが、その数は第二次大戦の並の観艦式の5倍の規模はあった。
見渡す限り船、船、そして船だった。
しかもここで完全に快晴になったことで両軍の航空部隊が大陸から多数飛来する。
戦闘が始まれば航空魚雷の乱れ打ちが始まるところだがそんな状況ではない。
お互い空気を読んで監視飛行するだけだった。
こうして一時的かも知れないが、海峡周辺全域での戦闘がほぼ停止していた。
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